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パーソナリティ障害とは?子どもを取りまく環境が原因

出典:http://www.photo-ac.com


「パーソナリティ障害」は、「PD」(Personality Disorders)とも呼ばれます。以前は「人格障害」や「性格障害」とも呼ばれていましたが偏見的ニュアンスが強いことから現在の名称に変更されました。パーソナリティ障害は、社会的に順応しない著しく偏った行動・物事の捉え方・「内的経験」をすることを特徴とします。「内的経験」とは、その人なりの考え方、感情、思い、気持ち、信念を持つことです。

「パーソナリティ」とは、その人の、物事の見方、反応の仕方、考え方、人とのかかわり方、振る舞い方などの持続的なパターンであり、その人らしさを形成しているものです。このパーソナリティが社会に順応できず、精神的な苦痛を感じたり、自分自身であることにつらさを感じることがパーソナリティ障害です。

パーソナリティ障害の症状


パーソナリティ障害の診断分類として、世界保健機関「WHO」による「ICD-10精神と行動の障害」と、米国精神医学会による「精神障害の診断と統計マニュアル(DSM)」が存在します。今回は米国精神医学会のDSMの分類をもとに、パーソナリティ障害の症状をご紹介します。


①A群(奇異型)

風変わりで自閉的で妄想を持ちやすく奇異で閉じこもりがちな性質を持つ。

・妄想性PD
世の中は危険で信用できないとして、陰謀などを警戒しており、自己開示しない。

・スキゾイドPD
とにかく1人で行動し、友人を持たず1人で暮らすことを望む。

・統合失調型PD
病的ではない程度の風変わりな行動や思考を伴い、人生の早期に表れ通常一生持続する。幻覚や妄想といった「統合失調症」と診断されるような症状はない。


②B群(劇場型)

感情の混乱が激しく演技的で情緒的なのが特徴的。ストレスに対して脆弱で、他人を巻き込むことが多い。

・反社会性PD
少年期の素行症による非行の段階を経て、利己的で操作的な成人となり、人を欺くが、周囲には気づかれにくい。中年になると落ち着くことも多い。

・境界性PD
他者に大きな期待を抱き、非現実的な要求によって人を遠ざけてしまったり、喪失体験をしたときに、自傷行為に至ることがある。不安定な自己の感覚や人間関係があり、衝動的な側面を持つとされる。中年になると落ち着くことも多い。

・演技性PD
自己顕示性が強く、その時に演じている役柄に影響され、大胆に振る舞う。

・自己愛性PD
他者に賞賛を求め、自分が特別であろうとし、有名人との関係を吹聴したり、伝説の人物のつもりでいて、他者の都合などは度外視する。


③C群(不安型)

・回避性PD
人付き合いが苦手であり、批判や拒絶に敏感であり、新たな関係を避けがちだが、スキゾイドPDとは異なり、人間関係は希求しており、親しい人を何人か持っている。青年期前後にさらに回避的になってくることがあるが、加齢と共に寛解してくる傾向がある。

・依存性PD
何かを決めることも、身の回りのことも手助けが必要であると感じている。

・強迫性PD
完璧主義であり、他者に仕事を任せられず、くつろぐことも、気のままに行動することもできない。


④特定不能

2種類以上のPDの特徴を示しながら、単独では診断するほどの重症さはない。

・サディスティックPD
他者に対して表出する冷淡で獰猛で操作的で下劣な行動をとる。

・自己敗北性PD
マゾキスティックPDとも呼ばれる。しばしば楽しい体験を避けたり途中でやめたりし、自分が苦しむような立場や人間関係にひきこまれ、他者が自分を助けられないようにする。

・抑うつ性PD
抑うつ的な認知および行動が特徴。

・受動攻撃性PD
嫌なことを言葉で表さず、故意にゆっくりやったり、忘れたふりをして反抗する。不機嫌な時は、受け身的なやりかたで攻撃感情を表現したり、あてつけや抵抗をする。他人への依存と自己主張の願望との間で葛藤に陥り、自信を失う。


パーソナリティ障害の原因



パーソナリティ障害の原因は多岐にわたりますが、その人の特性と環境に起因します。またトラウマや虐待などの経験の有無や、特異な体験の他に、遺伝子配列の異常が原因であるかもしれないそうです。幼児虐待や育児放棄が成人してパーソナリティ障害につながることはこれまで長きにわたり証明されています。親から暴言による児童虐待を受けた子どもが成人してパーソナリティ障害を発症する確率は、普通に育った子どもの3倍になることも分かっています。


パーソナリティ障害の治療法



パーソナリティ障害の治療は精神療法を中心にして行われます。薬は対症療法として補助的に用いられます。厚生労働省のホームページにおいては、薬物療法では、気分安定薬やSSRIや少量の抗精神病薬が症状の軽減に有効であるとされています。
育児放棄された経験を持つ患者に限り、成人すると症状が落ち着くことがあるそうです。また、一部のパーソナリティ障害では、30〜40歳代までに状態が改善していく傾向(晩熟現象)があるとされています。これは加齢による生理的現象の影響だけでなく、社会生活を通じて多様な人々に触れ、世の中にはさまざまな生き方や考え方があることを知り、それを受容することによると考えられています。



誰しも幼少期につらい体験をするでしょうが、子どもにとって一番安心できるはずの家庭や家族がこの障害の主な原因となっていることは悲しい事実です。我が子を虐待する親は昔同じように親から虐待された経験があるという話を耳にします。子どもを取り巻く環境は時代とともに常に変化していますが、ニュースやテレビに限って見ても、いまだ幼児に対する虐待事件は後を絶ちません。近所づきあいや家族の在りかたが改めて問われています。

障害者ドットコムニュース編集部

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