就労移行支援事業所に再び通えるようになるまで~気分変調症による気分の落ち込み

その他の障害・病気

出典:Photo by Matthew T Rader on Unsplash

私は「気分変調症」を患っています。気分変調症は持続性抑うつ障害とも呼ばれ、うつ気分が2年以上にわたって続いたり、気力や自尊心の低下、さらに決定力の低下や主体性の喪失などの症状がみられる障害です。大学時代に症状が重くなり、中退して就労移行支援事業所に通所を始めました。

しかし、しばらくすると気分変調症による気分の落ち込みで、事業所に通所できなくなってしまったのです。このコラムでは、引きこもり状態から徐々に通所できるようになっていくまでの体験談をお話します。

就労移行支援事業所に通えなくなった

通所を始めてしばらくは問題なく通えていたのですが、朝起きて無気力状態や、気分が落ち込んで動くことができない日が増え、だんだんと通所することができなくなっていきました。

やがて、最初はできていた欠席の連絡も億劫になり、数日間連絡なしに欠勤して職員から心配の連絡が来ることもままありました。職員もいろいろ相談に乗ってくれましたが、欠席連絡も電話からメールの定型文になり、やがて気持ちの落ち込みがない日も顔を出すのが気まずくなり、全く事業所にいけなくなってしまいました。

朝起きてベッドから出て、床で寝転んで気分をごまかすようにスマートホンを眺め、親の用意してくれたものを食べ、心配の言葉も聞こえないふり……。ついには通所どころか1人で家を出ることもほとんどできなくなりました。通所できなかったこと、自分がなにか実りあることも、そして生活さえもできていないこと。そんな自己嫌悪だけがどんどんと膨んでいきました。

そして、通院以外に家を出ることがない、ほぼ引きこもりになった状況から変われず、半年近くが経ったのです。

転機は緊急事態宣言

家を出ることもできず、職員とはメールでやり取りするだけ。そういった状況が続いていたある日、ついに転機が訪れました。2020年4月7日に緊急事態宣言が発令されたのです。事業所では緊急事態宣言への対応として、すべての直接通所を停止して、通所者はWeb会議サービス「Zoom」を用いたオンラインでの研修になりました。

オンラインでの研修は、引きこもりになっていた私にも参加しやすく、職員や他の通所者との顔合わせや、会話をすることができました。おかげで、緊急事態宣言が解除されるまでのほとんどの日、研修に参加でき、ずっと感じていた顔を合わせることへの気まずさも取り除くことができました。

緊急事態宣言が解除されると、通所もオンラインではなく直接通所に切り替わります。私はといえばこれまでとは違い、週に1回程度は通所できるようになりました。数週間はそんな状態が続いていたので「通所できる日を増やしていきたい」と職員と相談し、週の前半はオンラインでの通所、後半は直接通所という形で様子を見ることになりました。

結果、週の前半のテレワークは問題なく通所でき、週の後半の直接通所はほとんど参加できませんでした。もしかすると「事業所への通所ができない」のではなく「外へ出ることそのものができない」のではないかと、職員と話しになりました。

そのことについて、職員に相談に乗ってもらう中で私は「他人と自分を比較して、自分を周りよりも劣ったダメな存在だと感じる」悪い癖があること、それによって周りの目が気になり、外へ出ることへ恐怖を感じていると気づいたのです。

認知行動療法

そこからは「認知行動療法」を用いて思考の癖をコントロールしつつ、通所していくことになりました。認知行動療法とは自分の物事への考え方や受け取り方、つまり認知に働きかけて気分を楽にしたり、行動を良い方にコントロールする治療方法です。今回は、悪い考え方をしてしまったとき、そう考えた理由と、その反証となる別の事実をもとに考え方を変えていく手法を取りました。

自分が他人と比較して劣っていると感じる理由は「働いていないことへの負い目」や「大学中退など、嫌なことから逃げてきたことへのコンプレックス」です。そこで職員の助けを借り、反証として「今は働いていないのではなく、働く準備をしている」「通所できない日もあるが働くことを投げだしたわけではない」「自分は他者と比べて劣っているわけではない」というものを挙げ、「そもそも他者と自分を比較する必要はないのだ」と自分の思考を修正していきました。

最初はほとんど効果を感じられず、この行為に意味があるのかと投げ出したくもなりました。ですが何度も繰り返し自分に言い聞かせていると、次第に気分が楽になっていきました。

認知行動療法だけでなく、他人との比較を軽減するために別の工夫もしました。例えば、電車の中でイヤホンをして他人に目を向けないようにしたり、周りからの目を気にしないためにスーツで通所したりといったものです。

おかげで、徐々に直接通所が出来る日が増えていき、テレワークも徐々に減らして、ついには1週間フルで直接通所をすることができるようになったのです。

おわりに

現在は体調も生活リズムも安定し、気分の落ち込みにも対処できるようになりました。なんと、2カ月以上欠勤なしで通所出来ています。これからも自己理解を深め、対処できることを増やして、就職活動にむけて取り組んでいくつもりです。

このコラムが、私と同じで外に出ることへの恐怖や、自己嫌悪を抱えて苦しんでいる方の助けになれたなら幸いです。

参考文献

【持続性抑うつ障害(気分変調症) | こころの疾患マメ知識 | 奈良の心療内科・精神科 |「JR奈良駅前こころのクリニック」】
https://jr-nara-cocoro.com/

【認知療法について | 認知療法とは? | 認知行動療法活用サイト「こころのスキルアップ・トレーニング(ここトレ)」】
https://www.cbtjp.net/

【認知行動療法 | 飯田橋メンタルクリニック公式ページ|千代田区 飯田橋駅徒歩3分の心療内科 精神科】
https://www.iidabashi-mental.jp/

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3度の飯とテレビゲームが大好き。現在就労移行支援事業所に通いながら就労を目指して迷走中。

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