今改めて振り返る私の歴史~周囲が感じる発達障害の傾向

パニック障害・不安障害 発達障害

出典:Photo by Crystal Jo on Unsplash

身近にいる「少し変わった子」「何だか心配な子」に「どうしたらいいの?」「このままでいいのか?」と、心にモヤがかかってしまっている方へ。母から聞いた「発達障害」当事者である私の幼少期の頃の傾向を、ひとつの例として紹介します。

時間は掛かるが、やり出すと早い傾向

幼年期、周りの子どもが「ハイハイ」を始める時期、私は一向にしなかったにもかかわらず、段階を飛び越していきなり「よちよち歩き」を始めたそうです。また、赤ちゃん言葉を発する時期になっても、話さなかったそうです。さすがに母は心配したようですが、おばあちゃん(母からみて実母)にいわれた言葉を信じて、私の成長を見守ってくれました。

おばあちゃんは「今、この子はしっかり人の話を聞いて、頭に言葉を溜めてるんやで」「心配せんでもええ、大人になってしゃべられへん人はおらんよ」と、母にいったそうです。やがて、私はすらすら言葉をしゃべり始めたそうです。

多くの乳幼児は、まず単語単位で言葉を発するところから始まり、徐々に話し言葉として他人とコミュニケーションを取りはじめます。しかし私の場合は、単語単位の発音段階を飛び越して、いきなり「話し言葉」で話だしたそうです。

段階をひとつ飛び越えて成長する私をみて、母は「やり始めるのは人より時間が掛かるけど、やり出したら人より早いスピードで学んで、結果的に周りとの帳尻が合う子なんだ」と、感じたそうです。

納得いくまで取り組みたい子ども 誤解を招きやすい傾向

学生(特に小学生)時代については、基本的に友達はいませんでした。自分から友達の方へいこうとしないし、友達になること自体を嫌がるような一面があったようです。

小学校1年生のある日、私が一向に家に帰ってこなかったことがあったそうです。心配した母は、学校へ電話を掛けたそうです。すると担任の先生から、まだ教室にいることを伝えられました。どうやらその日、図画工作の授業があり、作品の状態に納得がいかなかったのか、授業が終わって他の生徒達が皆下校していく中でも、私は作品製作を止めなかったようです。担任の先生が、私の見守りを兼ねて仕事を教室でしてくれていました。

担任の先生は母に「この子は自分が納得いくまで、取り組みたい子なんです」といったそうです。「できるところまで見ていますから大丈夫です」と言われたので、母は私の帰りを待ったようです。

私は正直、その先生の事をあまりよく思っていませんでした。なぜなら単純に厳しかったからです。ただその先生は、母に私のいい所も伝えていたらしく、よく面倒みてくれていたみたいです。

高学年にあがり、当時の先生から、私は「授業中も上の空で、話を聞いていない子」という印象があったそうです。気をよくしなかった母は、通っていた学習塾の先生に相談したそうです。すると学習塾の先生は「外を見たり上の空だったり、話を聞いていないような印象はあるけど、実際話したことについて質問したら、ちゃんと答えます」「それがあいつのペースで、あいつの学び方です」といってくれたそうです。

他人からは「大丈夫なのか?」と思われながらも、自分のペースでしっかり学びを積み上げていく特徴は、今でも大きくは変わりません。振り返ってみて、社会人として就業していたときにいわれた「本気度を感じられない」「積極性がない」「やる気がない」など、誤解を招きやすい傾向は、昔からあったものなのかなと感じました。

「障害」という言葉について

「障害」という言葉は発達障害に限らず、社会(環境)の中で生きていく上で、当事者にとって障害になる特徴という意味であり、一般的に治療を必要とされる病気とは異なるものだと思っています。

今は「発達障害」といった診断名があり、世間的にも認知度が上がってきています。しかし、私がまだ幼いころは「発達障害」という言葉はまだまだ浸透しておらず、個性として捉えられていたかと思います。私自身も最近まで「発達障害」という言葉を知りませんでした。「障害」という言葉には当事者として少し違和感を感じています。

日本の現代社会の特徴で、組織の一員として求められるのは平均であり、なんでも率なく平行作業としてタスクをこなせる人材こそ、世間からみた普通であり、前提条件なんだと感じます。そしてこれこそ「平均=前提条件」を満たしていない私のようなアンバランスな人間が、社会人として生きにくいと感じてしまう理由のひとつだと思います。その「生きにくさ」こそが障害であり、定型発達の人々の中では「発達障害」として、社会生活を送る必要があるのだと思います。

まとめ

周囲との成長のテンポや順序は個々人で異なります。その中でも「発達障害」とよばれる子どもはこれらの差が、より顕著なのかもしれません。目に見えないからこそ、まずは理解することが、大切になるのかなと思います。

身近な子どもたちにこのような傾向が見られる場合でも、必要以上に比較せず、ありのままを見守り、当事者がSOSを発したとき、否定せず、冷静に対応を考えることが、当事者に対しての適切な配慮に繋がります。

参考文献

【知って向き合うADHD|塩野義製薬 / 武田薬品工業 ADHDについて知ろう】
https://www.adhd-info.jp/

【どんぐり発達クリニック|発達障害|東京都世田谷区 千歳烏山 ASD 自閉症・アスペルガー症候群・ASD(自閉症、アスペルガー症候群)とは何か】
https://www.donguri-clinic.com/

【こころの健康情報局 すまいるナビゲーター | 大塚製薬 自閉スペクトラム症とは・自閉スペクトラム症の子どもの特性】
https://www.smilenavigator.jp/

【NHK健康チャンネル 発達障害の症状・大人の「自閉スペクトラム症(ASD)」とは?特性の理解が大切!】
https://www.nhk.or.jp/kenko/

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2015年「パニック障害」を発症。2018年「発達障害」の診断が下る。就業支援機関での活動を通じて、これからの生き方や社会との関わり方、障害特性との向き合い方等を日々模索中……。

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