アルコール依存症の知見から生まれた「自助グループ」とは

依存症 暮らし
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同じ障害・疾患・悩みなどを持つ人々が自発的に集まったグループを「自助グループ」といいます。専門家の知見だけでなく、他人との支え合いや内心の吐露によるカタルシスといった方面でのメンタルケアが期待されています。

始まりは1930年代のアメリカで、アルコール依存症患者の輪が広がり「Alcoholics Anonymous(AA:アルコホーリクス・アノニマス)」が誕生したことです。このAAが、こんにち様々な分野で形成される「自助グループ」の礎であり原型であるといわれています。

医師に頼らないというイメージを持たれることもありますが、実態はむしろ逆で、医師によっては治療と並行して自助グループへ参加することを勧める場合があるそうです。応じるかどうかは本人の自由となります。

自助グループの効果

自助グループでは共通の課題を抱える人々が話し合うことで、相互に理解し支援し合えるという強みがあります。「共通の課題」も様々で、原点であるアルコール依存症だけでなく薬物・ギャンブル・性・借金・窃盗といった他の依存症は当然のこと、障害・がん・セクシャルマイノリティ・引きこもりなど対象は多種多様です。

当事者だけでなく、家族や友人など日常的に接する人が集まる自助グループも存在します。例えば、障害者の親を対象とするものや身内に依存症持ちがいる家庭のためのグループなどです。

自分ひとりで抱え込まず誰かと共有するだけでも心持ちは大きく違ってきます。自助グループの太祖であるAAでも、設立のきっかけはたった2人のアルコール依存症患者が互いに語り合った経験からです。相互支援・相互理解の大切さはこの時点ですでに示唆されていた訳ですね。

自助グループの集会には共通の課題こそあれ様々な人が集まります。例えば、断酒して長い人間であれば長期的に断酒を継続した時のモデル(将来像)として機能します。また、支援者などが見学していたり、女性限定や若者限定のミーティングがあったりと、集会の形態も様々です。

家族や支援者など本人以外も参加できるものは「オープンミーティング」と呼ばれます。雰囲気を掴みたいときはそこへ参加するか、「オープンスピーカー」という体験談を聞くイベントに行ってみるといいでしょう。逆に当事者のみが参加できる「クローズドミーティング」もあり、本当に同じ悩みを持つ者同士で話し合いたいという人に向いています。

安心して話すためのルールづくり

単純かつ無秩序な集会は、いじめの温床になるだけです。自助グループを自助グループたらしめる秘訣は、グループなりのルールを定めて安心して話せる環境を作り、参加者にもある程度己を律してもらう事です。

よくあるルールとしては、「ミーティングの場で聞いたことは、外やSNSで言いふらさない」というものです。全員に守秘義務を課すだけで場の安心感が増し、赤裸々に語っていい環境が形成されます。語り合うことが自助グループの作用する条件なので、このルールは外せないでしょう。一方、話すことを強制はしていないので、整うまでパスしたり聞くだけの参加に徹したりしてもOKです。

また、ポリシーや不文律として自発性と対等性を重んじています。自発性とは、誰にも強制されていない完全な自己意思による判断です。対等性は、「セラピストとクライアント」という関係ではなく、一人ひとりが対等な仲間として臨むことです。

ルールと言えるものは守秘義務くらいで、事前の連絡や予約や持参品といったものは必要ありません。会場でも自分の本名を出す必要はなく、本人の意志に委ねられています。原型であるAAの時点でAnonymous(アノニマス)が含まれているように、名前を出さず匿名で話し合ってもいいのです。これも話しやすい環境づくりに貢献していますね。

大まかなルールはこのくらいですが、自助グループによっては部分的にルールが変わっていることがあります。例えば、AAを日本式に運用した「断酒会」は実名の開示が求められており、発言せず聞くだけの参加は認められていないそうです。

なお、集会の後で寄付を求められる(するかどうかは自由)ことがあり、寄付金は会場を借りる費用として使われるそうです。これにも、断酒会では会費を必ず納めねばならないなど、グループごとの違いが出ています。自分が参加したい自助グループについて事前に調べておくといいでしょう。

自助グループの弱点

やはり自助グループとて万能ではなく、いくつか欠点を抱えています。人が集まる以上考えられるのはやはり人間関係のトラブルでしょう。一期一会の形式なら心配は少ないですが、同じメンバーで何度も顔を合わせている場合は、上下関係などが出来てしまうかもしれません。自分より下を見つけるのではなく、本気で自分の問題と向き合いたい人にこそ集まってもらいたいですね。

また、実際に集会へ行って帰ってくるだけでも時間を要しますし、地方在住の身ではアクセス面での不安も拭いきれません。その点では生活の圧迫は避けられないでしょう。オンラインでミーティングを済ませられるならば、そちらを検討してみるとよさそうです。

問題が何かしらの形で改善に向かうと自助グループへ参加する頻度や時間は減ってきます。前向きな理由で自助グループと離れていくならば、自立ないし回復といえるでしょう。しかし、自助グループしか人間関係の繋がりが無いのであれば、頻度が減ろうとも参加を続けるべきです。こういう時の「孤独」は怖いですから。

参考サイト

自助グループへ初参加するときに知っておくとよいこと・会場の調べ方や豆知識|ぷるすあるは
https://kidsinfost.net

私が思うアルコール依存症自助グループのメリット・デメリット|依存症からの回復
https://alc-recovery.com

遥けき博愛の郷

遥けき博愛の郷

大学4年の時に就活うつとなり、紆余曲折を経て自閉症スペクトラムと診断される。書く話題のきっかけは大体Twitterというぐらいのツイ廃。最近の悩みはデレステのLv26譜面から詰まっていること。

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