私が精神障害を発症した経緯とその症状への対処法

強迫性障害

出典:Photo by Mads Eneqvist on Unsplash

私は視線恐怖症と聴覚過敏、強迫性障害の症状に悩まされています。過剰なストレスからこれらの症状が生じてきましたが、ひとつひとつ自分なりに工夫して対処することで日々生活しています。

本コラムでは、これらの精神障害を私が発症のした経緯とその症状への対処について紹介します。

視線恐怖症と聴覚過敏の発症

私は高校時代、意図しない形でよくない出来事を引き起こしてしまいました。以降、その出来事についての噂が広まり、ある程度親しかった人や知り合いが周りから離れていきました。そして、直に聞こえる形の陰口を聞いたり、私を露骨に避けるような態度を見たりすることで、人と接することが億劫になり、独りで過ごすことに安心感を覚えるようになったのです。

その後、その出来事についての噂が先生たちの耳に入ったためか、ある時から授業中に先生たちがその噂について揶揄をしだしました。私は聞きたくない、見たくないと思い、授業中ずっと下を向いていたり、目を閉じているようになってしまいました。

その結果いつの間にか気づいたときには、意識を向けていないのに自分の視界に入るものや、人に過度に意識が集中するようになり、視界に入る人を不快にさせてしまっていると思うようになってしまいました。加えて、自分のことについて話されることや、少しでも引っかかる内容を聞くと、耳周りの筋肉が硬直して敏感になり、ひとつひとつの言葉に過敏に体が反応するようにもなりました。

これらの症状は、おそらく精神的にきつい状況に長く身を置きすぎたために、拒否反応として現れてしまったのだと思います。

この自分の視界に入るものに意識が過度に集中する「脇見恐怖症(視線恐怖症の一種)」と耳が言葉に過敏に反応する「聴覚過敏」。このふたつが何度も学校で出ることで、ますます周りに不快感を与え、気持ち悪がられるようになったと思ってしまいました。さらに自分の行動や反応が逐一周りから観察されるように感じだし、自分に向けられる他人の視線にも不安感を強く感じるようになりました。この他人の視線に過度に不安を抱くのが「他者視線恐怖症」と思います。

強迫性障害の発症

上記の症状が出て少しして精神科にかかり、精神安定剤を出されていったん症状が落ち着きました。その後、高校卒業後に浪人して予備校の寮に入ったことで、周りに誰も知っている人がいないひとりぼっちの状態になってしまいました。時間を細かく決められた、逃げ場所がどこにもない状況の中で精神的に不安定になったのです。精神安定剤を全く飲まなかったり、一気にたくさん飲んだりしたために、視線恐怖症や聴覚過敏の症状がまた強く出だしてしまいました。

1人で抱え込んだそうしたストレスが極度に溜まり過ぎたためか、ある時、考えていた言葉が繰り返し頭の中で湧いてきて、まるで溢れ出すように感じ「考えている内容が周りの人にバレている」と考え始めました。そのため周りに考えが伝わらないように、繰り返し思い浮かんでくる言葉を抑制しようと四苦八苦するようになりました。

この症状は「強迫性障害」と思います。後に私の診察をした医師には「周りに考えが伝わってしまうと思う症状は、統合失調症などで特徴的と一般的に言われるが、実際は同じ症状が異なる病気でも生じうるので、あなたの場合、強迫的に物事を思い浮かべる強迫性障害が主要な症状としてあり、その症状に周りに考えが伝わると思う症状が付随していると考えた方がよい」と言われました。そのためこの症状を強迫性障害と形容するのがふさわしいと思います。

大学入学以降の症状の状態

私はこの新たに発症した強迫性障害の症状に耐えられなくなり、予備校の寮から実家に帰ることにしました。実家の中で長く時間を過ごすことで、私は家族との触れ合いを通じて精神的に安定するようになり、精神安定剤を飲むのを減らしていくことができるまでになったのです。

しかし大学入学後、独り暮らしをするようになったため、環境が激変してしまい、また症状がぶり返すようになり、生活リズムが乱れて大学の授業に出にくくなってしまいました。そのため、大学の保健センターで精神科の医師にかかるようになり、精神安定剤を定期的に貰いつつ、突発的な症状にその都度何とか対処して大学生活をある程度の形で続けていけるようになりました。

その後、大学で授業を受けたり、論文を作成することに注力を向けて忙しく行動していくことで、私は自分の知的好奇心を満たしていくことに喜びを感じだし、大学での学びにやりがいを見い出していきました。ただ、自分の人とのコミュニケーションが億劫になる精神障害の症状は常に傍らにあり続けたので、その症状とどう折り合いをつけて今後就職活動に取り組んでいくかで今現在悩んでいる状態です。

そうした中で、精神障害者の就職活動を支援する「就労移行支援」の存在を知り、その事業所に通所するようになり、現在自分の症状と向き合いつつ、自分に合う仕事がどのようなものかを知る取り組みをおこなっています。

精神障害の症状への対処法

繰り返しになりますが、まとめると、私の精神障害の症状は、上記にあげた視線恐怖症(脇見恐怖症と他者視線恐怖症)と聴覚過敏、強迫性障害になります。医師に処方された精神安定剤を飲むことで、過度な不安を抱いて症状が頻繁にでることはなくなりましたが、人と接する機会がある時に症状が突発的に生じる傾向が今も続いています。そのため、自分が対処できる範囲で以下のようなことを日々実践して症状を落ち着かせようとしています。

脇見恐怖症と他者視線恐怖症の症状に対しては、自分や他人の視線が気にならないような状況に身を置こうとすることで、自分がその時に取り組んでいる物事に集中できるようにしています。

また、聴覚過敏の症状に対しては、音に過敏になって耳周りの筋肉が硬直する時に首の筋肉全体をほぐして和らげています。

そして、強迫性障害の症状に対しては、繰り返し思い浮かんでしまう、周りに考えが伝わってほしくない言葉を少しもじって、別の特段意味のない言葉に置き換えてそれを意図的に繰り返し思い浮かべるように工夫して対処しています。

加えて、強迫性障害の繰り返し言葉が頭の中で湧き上がる症状のために、頭の中に必要な情報や会話内容、考えていることを長く留めておかずに逐一口に出したり、ノートに書き出すことなどをして、外部に記録を残し頭の中の情報を整理することも心掛けています。

つまるところ、精神障害の症状が生じてしまう時に別のものに集中して忙しく取り組むことが、自分の症状と付き合っていく際に特に必要となる行動であると思います。

過剰なストレスからこれらの症状が生じてきましたが、ひとつひとつ自分なりに工夫して対処することで日々生活しています。

参考文献

【社会不安障害 - こころの病気について知る - 厚生労働省】
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/index.html

柴原直樹 「対人恐怖症の精神力動」 近畿福祉大学紀要Vol.8(2007) 43-51頁

Toms

Toms

視線恐怖症と聴覚過敏、強迫性障害を高校生、浪人生の時に発症。大学では症状と何とか付き合う術を身につけ、研究を行っています。就職活動を自分一人で進めるのに行き詰まり、今は精神障害者の就職活動を支援する就労移行支援に通所しています。趣味は古本屋巡りです。

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