ASDって何だろう~自分も当てはまっていた?

発達障害

出典:Photo by Zoran Borojevic on Unsplash

「ASDって名前は聞くけど、実際どういう障害なのかよく分からない」

これが私の認識でした。学生時代に耳にしたこともあれば、SNSで公言している知人もいます。身近にASDの存在を認知していても「ASDって何?」と聞かれると、首をかしげてしまいます。聞いたことや接したことがあっても、具体的にどのような障害か分からないままでいたのです。

今回はASDについて知ろう、考えようとして私なりの調べたこと、そして私の思いを書かせていただきます。

ASDって何?

ASDとは「自閉症スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害」のことで発達障害のひとつです。以前は「アスペルガー症候群」とも呼ばれていました。生まれつきの脳機能の異常によるものと考えられていますが、原因については分からないことが多いです。研究の中で、親の育て方やしつけ方は無関係であることが分かっています。

脳機能の異常といっても、一体どんな特徴があるのか?調べると様々なものがでてきます。今回は調べた中から一部、特徴の例をあげていきます。

主な特徴
・相手の気持ちを想像すること、その場の「雰囲気」や「暗黙のルール」を理解するのが苦手
・言葉の使い方が独特で、ユーモアやお世辞などを理解することが難しい
・耳から入ってくる情報処理が不得意で、会話についていけなくなることがある
・見通しの立たない状況では不安が強いが、見通しが立つときはきっちりしている
・決められた手順やスケジュールにこだわり、新しい状況や予想外の事態への対応を嫌がる
・大勢の人がいるところや気温の変化などの感覚刺激への過敏さで苦労している

このようにコミュニケーション面で「困難」や「苦手」をいだいていたり、こだわりが強くみられる特徴があります。

場に沿わない発言によって「空気が読めない」といわれたり、こだわりによって言動が無意識にキツくなり「怒りっぽい」といわれることがあります。しかし、本人に悪意のないことがほとんどなのです。前者は「自分の意見を素直に伝えた」だけ、後者は「自分のこだわりを理解してほしいと必死になっていた」だけ。このように、本人と周りで温度差がある状態になっているようです。

ASDとコミュニケーション

コミュニケーションに困難が多くみられるASDですが、まずは本人が自分の特徴・特性を把握することは大切とされています。そして周囲がその人への適切な接し方を知ることで、コミュニケーションの困難が解決されるかもしれません。今回はその方法を紹介します。

「生活上の具体的なルールを決める」これは、周囲が求める常識的なことや暗黙のルールの把握が困難なため、具体的にして共有することでおたがいのギャップを埋めることができます。例えば「日曜日の掃除当番は交代制にしよう」といった感じに明確に伝えるといった感じです。

ルールを決めたり話し合うときは、感情的にならないことも大切です。近い関係の相手には「いわなくても分かってほしい」と思いがちです。相手に伝わらないことがもどかしく、キツい言葉になってしまうこともあるかもしれません。

しかし、ASDの人に対しても感情的に不満をぶつけてしまうと、関係が悪化してしまう恐れがあります。これは相手の気持ちを想像することが苦手な特徴があるからです。そのため、改善してほしいことがあるときは、小さなことでも具体的に話し合い、一緒に解決していく姿勢を示すことが大切です。

このような工夫を凝らしても、価値観の違いなどギャップが埋められない場合もあります。その場合は、カウンセリングや家族療法という方法があります。第三者の視点から状況を整理することで、おたがいにとってよい距離感や環境を知るきっかけになるかもしれません。

コミュニケーションに困難があっても、おたがいの理解によって歩み寄ることができるものだったのです。

今になって関心を持ったのは

今まで身近にいても知ろうとしていなかったASDのことを調べ、コラムにしたことには理由があります。

関心を持ったきっかけは医師から診断書でした。私の主な症状はうつ病だったのですが「従たる症状」の欄に自閉症スペクトラム障害……ASDと記載されていたのです。診断書を受け取るまで、私はその事実を知りませんでした。自分にもそういった面があるのだと示されたことで、初めてちゃんと知ろうと思えたのです。

自分に置き換えて考えた際、心当たりのあることがいくつかありました。それが自分の性格であり当たり前のことだと思っていて、日常生活に支障をきたすものではないと考えていたのです。周りの環境や家族に恵まれていたからだったのかもしれません。

知ってから、振り返る

私自身が、例の中で一番当てはまると感じたのは「耳から入る情報処理が苦手で会話についていけなくなる」ことです。

聴覚検査で引っかかったことは一度もありませんでしたが、人と話しているときに周りがざわざわしたり、複数人の会話になると声が拾えなくなることがよくありました。隣や対面などの近い距離で会話していても、声は聞こえるけど内容が理解できなくなるのです。他にも、話が長くなると途中から理解が追い付かなくなり、聞こえているのに頭が働かないような状態になることも多かったです。

「聴覚に問題はないけど、私は耳が悪いんだな」と原因や理由を気にすることなく漠然と考えていて、できるだけ相手の声が拾えるよう気をつけるようにしてきました。それでも、ときどき声が聞き取れずに聞き返したり、何度も聞き返すのは気まずくて誤魔化すこともありました。今思えば、これはASDの特徴が表れていたのかもしれません。

最後に

ASDについて調べていくと、私と同じように「自分の性格だ」と思い込んでいた方も多くいるようでした。大人になってから診断を受ける方も多く、人によっては分かりにくいものでもあります。だからこそ、家族や周りの人との話し合いや理解が大切になるのだと、私自身もASDだと診断された今、ようやく実感しています。

参考文献

「発達障害の特性(代表例)|厚生労働省」
https://www.mhlw.go.jp/index.html

もこ

もこ

一年前にうつ病を発症、退職して就労移行支援事業所に通い始める。自分の障害や特性を少しずつ理解しながら、好きなことを楽しんで生きていきたい。

趣味は絵を描くこと。好きなものを好きなときに、自分の思うままに描きたい。

自閉症スペクトラム障害(ASD)

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