公立学校教員の場合~障害者の就職に関わる社会資源の利用について、まずどこへ相談にいけばいいの?

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出典:Photo by Burst on Unsplash

障害者の法定雇用率が2021年3月1日に引き上げられました。また、障害者雇用義務の対象に精神障害者が加わりました。民間企業は2.3%、国や地方公共団体は2.6%、教育委員会は2.5%、が義務付けられたのです。そして民間企業は努力目標から義務にかわりました。

では、公務員についてはどうでしょうか。公務員はもともと義務付けだったはずですが、実際は法定雇用率を達成していないところがいまなおあります。

精神疾患を患う公立学校教員が休職した場合の復職と転職

最近、教員の働き方改革がいわれるようになってきてから、教育委員会の法定雇用率の達成状況も話題になってきました。多くの教育委員会では法定雇用率に届いていません。また届いているところも、そのカウントには、学校事務員がふくまれいることから、教員だけに限るとさらに達成率はさがります。

教育委員会は障害者雇用率を国に報告するため、年1回障害者手帳をもっている人を調査します。とくに最近話題になっている教員の精神疾患の障害については「手帳をもっている人は法定雇用率とてして国に届けることに(強制ではないが)同意してください。この届け出によって不利な扱いはしません」などと書いた紙と同意書がくばられます。

しかし、ここでは不利な扱いはしないとは書いてありますが、合理的配慮については一切ふれられていません。したがって同意しても、これまでと同じ条件で働くことにはかわりはないです。同意したら給料がさがってもいいから「配慮いただいて働く」という多様な働き方の選択肢は用意されていません。また休職した場合、復職支援のシステムもととのっていないのです。

うつ病をわずらう私の場合ですが、復職するなら「特別は配慮はできないから、元のところで100%の力で最低1年は勤めれてらわないと困る」といわれました。

教員が病気で休職した場合、籍があるうちはいろいろ手厚い福利厚生がありますが、雇用保険に入っていないため、退職すれば即収入を失います。終身雇用を前提とした制度がいまなお続いているのです。

元の職にもどるために医師から診断書をもらって休職しているのですから、それ以外の動き(たとえば転職活動など)はしてないけないというのは、筋が通っているようにみえます。またハローワークの職員は「紹介状を出す際に4時間以上就労可能の診断書が必要ですが、休職が必要な診断書がでているのに、就労可能の診断書は出ないでしょう」といいます。

しかし、これは民間企業の場合の想定に思えます。民間企業の場合、雇用保険にはいっていますから、退職してからも雇用保険をもらいながら就職活動ができます。また雇用保険の財源でおこなわれている様々な事業、たとえばハローワークの紹介で、職業訓練を受けるといったこともできます。しかし、公務員である教員の場合はそれができません。ですから退職の前に動き出さなければなりません。ある精神科医は「この10年で民間は障害者雇用がすすみましたが、公務員の方がおくれていて、かなり深刻な状況だと感じます」といいます。

さらに、最初に相談にいったらいいとおもわれる障害者就業・生活支援センター(就ポツ)もその財源が雇用保険をもとにしているので、利用対象は基本的に民間企業につとめる人となっているそうです。(これについては最近公務員の問題が深刻化していることから支援に入ってもいいとなったそうです。)

就職のための社会資源の利用

行政、福祉、医療、と社会資源それぞれが充実してきた、とは思います。しかし、利用させていただく側から見れば、どこをどう利用すればいいのか、そもそも最初にどこへいけばいいのか、だれに相談すればいいのか、わかりにくく知らない人も多いのではないでしょうか。

さらにこれら3つはどのように連携しているのでしょう。地域差もかなりあるのではないでしょうか。市役所の障害者担当窓口があるという人もいるでしょう。しかし、公務員の世界は数年で部署がかわってしまうので、全然ちがうところから異動になった方は、あまりご存知ないようです。

自治体は身体障害者についてはかなり把握しています。生まれつきということも多く地域とのむすびつきも強いのでしょう。しかし、精神障害者の場合は、途中で対象となることも多く、そしてそもそもオープンにするかどうかも自分できめればいいわけですから、役所からいってくることはないという事情はわかります。

しかし、自分が社会資源を利用できる対象なのかどうか、困っている人は多いのではないでしょうか。医者もこちらからいい出さない限り、積極的には話しません。私にとって、手帳がもらえる対象というのも、自立医療支援制度も 障害年金がもらえる対象というのも、医療併設デイケアがあることも、就労移行支援時要所を利用できることも、精神に特化した訪問看護があることも、すべて最近になってわかってきたしくみです。

私の場合

私の場合について紹介します。まず、私は主治医に休職期間がながいから、復職のための訓練をどこかでしたいと相談しました。教員の場合は地方公共団体にもよりますが、復職支援がなく、あっても系列の共済組合の病院がやっている復職支援プログラムだったりします。 私の場合は主治医から「(病院は)遠すぎるので現実的ではないからやめたほうがいい。いくなら、クリニック併設のデイケアにいったらどうか」と紹介されたました。

私ははじめてデイケアにいきました。このころ、デイケア(医療)と就労移行支援事業所(福祉)の区別がついていませんでした。デイケアは「復職支援」なので、転職は想定されおらず、情報もはいってこないです。転職の可能性も考え、それを視野にいれて動くのは難しいです。

復職の可能性もあるけど、転職の可能性もあるから両方をふまえて、スムーズに活動するのはどこへ相談にいけばいいのか調べました。すると就労移行支援事業所というのがあるのをみつけました。しかし自宅の近くには就労移行支援事業所はとんどなく、電車で1時間ほとかかるところを10か所ほど見学にいき、医師と相談してきめたのです。

ところが、福祉機関となる就労移行支援事業所に通うためには、市役所に「受給者証」を発行してもらわないといけません。市役所の障害者担当窓口へいくと、厚生労働省の事典のようなものをだしてきて「ここにこうかいているでしょう」と対象外みたいにいわれました。そこで私は「国の方針はそうかもしれないですが、地域の実態に応じて先取りで対応してくださっている自治体は多くあります」と答えました。そうしたら「会議で話し合って結果を報告します」とのことで、結局「受給者証」は発行していただけたのです。

しかし、市役所の職員はデイケアも就労移行支援事業所のことあまりご存知ないようで「就労移行支援事業所のパンフレットをコピーさせてほしい」とわれました。さらに「デイケアと就労移行支援事業所の併用はできないからどちらか一方にしてください」ともいわれましたが、これは間違いだと思います。地域差がかなりあるようです。そもそも就労移行支援事業所、特に精神の人を主な対象としているところはまだまだ都会など一部に限られるようです。

私は教員の場合でも、困ったらまず最初に相談にいくのは、障害者就業・生活支援センター(就・ポツ)がいいのではないかと思っています。厚生労働省が委託した法人であり、どこの地域にも必ずあると思うからです。教員の場合でもこれからは相談にのっていただけそうです。

私の場合は「相談にいつでものるし、職場との話し合いについても希望があれば同行もします。ただ、教員の方の支援はまだ実績がありませんが……」といわれました。これから変わっていってほしいです。

また、地域の法人はその地域の福祉施設や事業所との連携はあるので、すんでいる地域で仕事を探す人にはいいのですが、そもそも地域に仕事自体があまりない場合や少し遠い所への就労でもいい場合は、就労移行支援事業所に通い、ハローワークとの併用で情報を集めるのがいいのではと思っています。

まとめ

行政機関として、市役所の障害福祉課やハローワークの障害者専用窓口があり、医療機関として精神科や心療内科および、そこに併設のデイケア、そして訪問看護があります。福祉機関として障害者就業・生活支援センター(就ポツ)、就労移行支援事業所があります。

それぞれ支援内容について、やっていることが重なっている場面もあります。身体障害者の場合は生活も仕事も住んでいる地域に限定されることが多いため、どの地域にも必ずあり、地域との連携が充実している障害者就業・生活支援センター(就ポツ)に相談にいって、そこでアドバイスを受けるのがいいかと思います。

精神の場合は、地域で仕事を探すのが難しいかもしれませんが、その一方で電車通勤での移動も可能なら、少し遠い所でも通勤できるので、様々な企業と連携している就労移行支援事業所を探すのがいいのではと思います。

必要な手続きは、市役所の障害福祉課でおこない、就労移行支援事業所で職業訓練、職場実習の斡旋、定着支援を受け、時折ハローワークの求人も参考にしていくのがベストだと思います。

そして、生活面での支援は、精神に特化した訪問看護の利用がいいでしょう。訪問看護は医療の分野でありながら、医療機関から独立していることもあり、とくに服薬期間が長期にわたあっている場合や、複数の医療機関にまたがって治療をうけている場合は、いろいろ相談しやすいでしょう。

くまのみ

くまのみ

元公務員です。うつ病もちです。就労移行支援事業所に通いながら就職をめざしています。

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