ゲームプレイ配信サイトTwitchでADHDタグが流行っている?

発達障害
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主に現行世代のゲームプレイを配信するプラットフォーム「Twitch」。ゲーム実況の生配信に向いているとされ、特にプレイステーション4などでは誰でも簡単に配信できる体制が整っており、ネタバレになりそうなところを隠す配慮を備えたゲームタイトルまで存在します。

Twitchでは他の動画サイトと同様に、検索用の「タグ」を付けることができます。配信するゲームのハードに留まらず、ジェンダー・性的指向・人種・国籍・身体障害・メンタルヘルスといったマイノリティ向けのタグも350種類以上備わっています。

その流れで「ADHDシールド」なるスラングおよび噂が出回っています。なんでもタグに「ADHD」と入れることで不適切発言などによるBAN(アカウント停止)を防げるというらしいのですが。

ポリコレ隆盛と誤BAN

いわゆるポリコレ(ポリティカル・コレクトネス:政治的正しさ)の隆盛を受け、Twitchでも2020年半ばから嫌がらせやヘイト発言の根絶が掲げられ、厳しいガイドラインとチェック体制そして処罰が始まりました。2021年になると更にヘイト対策を運営に求める声が高まります。

ところが、動画配信サイトが厳しい監視体制を敷くと何でもないことに悪意を見出す「誤BAN」が頻発します。サイトは違いますが、YouTubeの動画サムネイルやTwitterの漫画広告などで伏せ字やいいかえ(必死→必○、相殺→相さいなど)が多いのもAI判定の機嫌を損ねないための作戦です。

厳しいヘイト対策は有名配信者でも容赦なくBANされる程です。一方で、ニキビ治療の影響で顔が少し黒くなったことに言及したりボイスチャットで味方に「逃げろ」と発言したのが、黒人差別と判定されBANになったケースもあります。

もはや戦争と化しつつあるポリコレの荒波は、誰がためにある概念かを忘却の彼方へ追いやったまま破壊と規制だけ先鋭化しています。なんとなくですが「虫歯建設株式会社」のあちこち走り回って歯を滅多刺しにする映像が思い起こされます。

ADHDシールドの噂

TwitchのBAN判定が厳しすぎるのではと囁かれだしたのが2022年に入ってからで、先述したニキビ治療でBANされた話も同年1月初旬のことです。同時に、Twitch内で奇妙な配信が注目され始めました。

配信の内容はアニメ番組を視聴するというものでした。勿論これはアニメの違法配信にあたる行為で、Twitch内でも明確にBANの対象とされます。実際に同様の配信をしたユーザーがBANされた事例もあります。しかし、この配信は9万人の視聴者が居たにもかかわらずBANはされませんでした。なんとも奇妙なことです。

動画には「ADHD」のタグが付いており、これがBANを防いだのではないかという憶測がどこからか飛び出しました。それが独り歩きし、いつしか「ADHDタグを付ければ多少の失言も見逃してもらえる」という噂として広まったわけです。「ADHDシールド」の噂です。

ADHDの特徴に「衝動性」というものがあり、思いつきで行動して失敗したり周囲を振り回したりといった困り事に繋がっています。いってはいけないことを思わずいってしまう失言も衝動性の一つでしょう。

かくして、過剰なほどのBANチェックから身を守る目的でADHDタグが流行したというのです。しかし、元凶となる違法配信動画がADHDタグでBANを免れたと証明するものは無く、Twitch側がADHDに何かしらの配慮をしているかどうかもわかりません。

噂は噂でしかないのですが、ADHDタグが流行っているのは言葉尻を捕らえて、不利益を押し付けられることにウンザリした人が多いことの表れかもしれません。決していいたい放題したくてタグを付けているわけではないはずです。

ADHDの人々は当然困る

噂でしかないというのにタグでADHDを装われては、実際のADHD持ちが当然割を食ってしまいます。Twitch側の過剰反応にも原因の一端はあり、ポリコレを殊更に意識したことで無関係の人々が不自由を押し付けられる笑えない構図が成立しているのが現状です。関係のない所が大きな不利益を被るあたり、今のポリコレを戦争状態と形容するのは決して的外れといえません。

難しく考えるのを避け、腫れ物に触れるような扱いをしていては、分断が残るだけです。差別用語に目くじらを立てるばかりでなく、単語の意味と使ってはならない理由と似た発音の言葉をレクチャーする等の苦労は買ってでもしてほしいものですね。臭い物に蓋をする姿勢は完全なる逃避であり、問題に向き合う姿とはかけ離れています。

参考サイト

Twitch配信者がBAN対策で「ADHD」タグを乱用 背景に真偽不明の“抜け道”
https://kai-you.net

ADHD(注意欠陥・多動性障害)|ゆう心のクリニック
http://mental-patho.com

遥けき博愛の郷

遥けき博愛の郷

大学4年の時に就活うつとなり、紆余曲折を経て自閉症スペクトラムと診断される。書く話題のきっかけは大体Twitterというぐらいのツイ廃。最近の悩みはデレステのLv26譜面から詰まっていること。

注意欠陥多動性障害(ADHD)

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