住宅会社のパナソニック ホームズと提携し、障害者のグループホームを展開する株式会社恵(めぐみ)の取り組みについて、インタビュー取材しました

暮らし

写真:グループホーム ふわふわ北

障害者グループホームを取り巻く環境

日本では、何らかの障害を持つ方が国民のおよそ7.6%(964.7万人)※1に相当するとされています。そのうち、グループホーム(共同生活援助)で食事や入浴等の介護や日常生活上の援助を受けている方は約14万人※2おられ、年々増加傾向にあります。中でも、障害の重い方ほど、顕著に増加しています。これは、加齢等による障がいの重度化、親の高齢化や「親亡き後」の家庭内ケアの継続困難などが影響しているものと考えられます。こうした状況を背景に、2018年、国は生活の場であるグループホーム整備の一環として、1施設に20名が入居可能な「日中サービス支援型」障害者グループホームを創設しました。

※1.出典:内閣府発行 令和3年版障害者白書 参考資料「障害者の状況」
https://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/r03hakusho/zenbun/pdf/ref2.pdf

※2.出典:厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課 社会保障審議会障害者部会(第121回R3.11.5)
https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000851065.pdf

なぜ、住宅会社が障害者グループホームに携わるのか

パナソニックホームズ株式会社で事業企画と商品企画を担当する、小野一郎様に話を伺いました。

「当社は、住宅建築だけでなく、2000年から20年以上、医療・介護施設の建築に携わり、これまでに1,900棟以上の施設建築を受注してきました。また、障害者グループホームも、2001年より建築をしてきましたが、2018年の「日中サービス支援型」が創設されてからは、取り組みを本格化させ、累計220棟以上の建築請負を担当させていただきました。大きく受注を伸ばさせていただいた理由の一つに、当社グループの「ケアリンクシステム」というサブリーススキームがあります。」

ケアリンクシステムとは

「ケアリンクシステムは、グループホームを運営する事業者様と土地・建物のオーナー様をマッチングする仕組みです。当社が土地・建物のオーナー様へ施設の提案を行い、建築します。その後、グループ会社の不動産会社がオーナー様から施設を一括で借り上げる「マスターリース」を行い、運営事業者様へ転貸する「サブリース」を行います。2010年に介護事業者向けにスタートしたこの仕組みを2020年に障害者グループホームに拡充しました。ケアリンクシステムは、オーナー様にとっては当社グループ会社が契約先となることでの安心感や金融機関からのローンが付きやすいなどのメリットがあり、運営事業者様にとっては初期投資を抑え、スピード感のあるグループホーム事業の展開が可能となります。
当社が障害者グループホーム事業に携わる意味は、住宅会社として50年以上培ってきた住まいづくりのノウハウを生かし、万が一の災害から利用者様を守れるような強い構造体の建物と、利用者様やスタッフの方々にとって過ごしやすい空間や設備をご提供することにあります。さらに、運用面において株式会社恵様のように利用者を第一に考える運営事業者様と提携することで、良質なグループホームを数多くご提供することが可能となり、不足する障害者グループホームの課題解決の一助にしていきたいと考えています。」

グループホーム運営を行う株式会社恵(めぐみ)の取締役執行役員の天地崇彰様にお話を伺いました。

愛知県名古屋市に本社を置く株式会社恵さんは「ケアリンクシステム」を利用して全国にグループホームを展開する企業の一つです。他所では受け入れられない重度障害者を積極的に受け入れながら、24時間365日、サービスを提供し、障害者グループホームのスタンダードづくりを進めています。

──障害者のグループホームを展開しようと思ったきっかけを教えてください

「10年前に、高齢者のデイサービスをスタートし、次にヘルパーステーションを始めた中で、行政から障害者向け対応が不足していると聞き、移動支援の制度に携わることで、障害児との関わりが増えました。利用者のご家族と接する中で、障害児を持つご家族は、将来に不安を抱く方が多く、重度障害の場合、グループホームに入れないと思っておられる方が大半でした。実際、多額の入居金を求められたり、土日預かりを断られたり、軽度障害者を対象としたグループホームが多い印象でした。そこで、当社では、他の施設で断られてしまうような重度障害の方を受け入れてきました。今では、全国114カ所の障害者グループホームを運営するに至っております。」

──恵さんのグループホームにおいて何か強みはございますか

「パナソニック ホームズと提携することで、グループホームを20年、30年の長期でサブリースします。これは、入居者にとって長期にわたり安心して暮らしていただけることはもちろん、土地・建物オーナー様にとっても安心につながると思います。また、施設は全て新設ですので、綺麗で、設備も整っています。これは、入居者の方だけでなく、働くスタッフにおいても働きやすい環境と言えます。」

──スタッフにはどのような素養が要ると思いますか

「いつも伝えているのは、“挨拶・掃除・身だしなみといった誰でも出来ることを全力で全うすること”です。これがサービスの“質”につながります。福祉は経験や資格があればいいというものではありません。重度の方を相手にしていくとなれば、最終的に求められるのは道徳や倫理観です。私も含め、経営幹部が現場で長年経験してきたことから言えることですが、“想い”があることで、入居者へ心のこもった支援につながると考えています。」

──地域との関わりはどのようになさっていますか

「我々は土砂災害や津波などの自然災害も想定しており、地域の方と避難訓練をしています。一緒に避難訓練をして頂けませんかとお誘いすると、地域住民の方にも積極的に参加していただけることも多いです。それと同時に、利用者の経歴などをご紹介することで、グループホームに暮らす方達について地域の方に具体的にイメージしてもらいやすくなります。初めは多少の偏見があったとしても、避難訓練を通じて知り合いになっていただくと皆さんの意識が変わっていくことを感じています。」

──今後力を入れていきたいことはありますか

「今は、シェア拡大の時期だと考えています。当社は、関東や中部に加え、東北・北陸、西日本にも順次、展開する計画です。これは利用者に対して、しっかり選択肢をお示しできるくらいのホーム数を作っていきたいと考えているからです。当社としては、24時間365日、サービスを提供し、障害者グループホームというのはこれくらいの料金で、これくらいのサービスの質、という基準を設けていきたいと考えています。」

──最後にメッセージをお願いします

「地域でお困りの方は多くいらっしゃると思いますので、これを機会にグループホームへ足を運んで頂き、どういう生活ができるのかを知り、一歩踏み出せるきっかけにつなげていただければと思います。」

グループホーム ふわふわ北

〒462-0015
愛知県名古屋市北区中味鋺3-1003-1
TEL052-903-7007
https://www.megumi-fuwafuwa.com/facility/facility-855/

関連

パナソニック ホームズ 福祉施設事業
https://homes.panasonic.com/tochikatsuyou/shogaishafukushi/

株式会社恵 事業紹介
https://www.megumi-fuwafuwa.com/about-us/

パナソニック ホームズと恵の取り組みを紹介した記事
https://prtimes.jp/story/detail/qb29m7H2yOr

障害者ドットコムニュース編集部

障害者ドットコムニュース編集部

「福祉をもっとわかりやすく!使いやすく!楽しく!」をモットーに、障害・病気をもつ方の仕事や暮らしに関する最新ニュースやコラムなどを発信していきます。
よろしくお願いします。

関連記事

人気記事

施設検索履歴を開く

最近見た施設

閲覧履歴がありません。

TOP

しばらくお待ちください