社会復帰の支援体制について考える~うつ病で仕事を続けることが難しくなった場合

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出典:Photo by Earl Wilcox on Unsplash

近年、様々な理由から職場でうつ病などを発症し、休職や退職を余儀なくされる人が増えています。うつ病を患った場合、個人差はあるものの半年から、長い人で1年以上仕事を休まざるをえないケースもあります。しかし、その期間に療養すれば「すぐ仕事に復帰できるか」といえば、それは「ノー」です。体力、集中力、ストレス対処能力などを回復させないと、働き続けることは難しいのです。

退職の決断は今はしない

もし、職場に休職の制度があり、それが利用できるのであれば利用した方がいいと思います。「退職などの重大な決断は、先延ばしにするべき」といわれますが、それはなぜでしょうか?うつ病を患うと「冷静な判断が難しくなり、誤った判断に陥りがちだから」ということも理由としてあげられます。しかしそれだけではなく、うつ病になって退職してしまうと、あらためて社会復帰をはたすことは大変難しいからです。しかしながら、職場に休職の制度がないなど、元の職場にもどることができない場合は、退職することもやむをえないでしょう。

復職・社会復帰を焦らず、リハビリをおこなう

「休職して元の職場への復帰をめざす場合」「退職してあらたな仕事を探す場合」それぞれ意味合いはちがうのですが、ここでは便宜上、いずれの場合も「休職」と表現します。

ここで気をつけなければいけないのは、いずれにも共通することですが「焦ってはいけない」ということです。なぜなら、うつ病は再発リスクが高いからです。「もう大丈夫」と考えて復職したはいいが、仕事をするうちに再び調子を崩すことが多いのです。そのため、復職をめざすにあたっては、しっかりとリハビリをおこなう必要があります。では、リハビリはどのように進めるのがいいのでしょうか?

まずは、以前の通勤環境に慣れ、感覚を取り戻すことが必要です。ひとりでできる取り組みとしては、出勤と同時刻に家を出て職場の近くまでいくこと。また、集中力を養うため図書館にいき、一定時間を読書にあてるのもよいでしょう。もし、電車通勤の方でしたら、混雑した電車に乗ることがひとつのハードルになるかもしれません。まずはそれをのりこえることから無理をせず、少しずつ慣らしていきましょう。

「リワーク」について

最近は「リワーク」とよばれる、うつ病などで休職した人の職場復帰を支援するためのプログラムがあります。これは、医療機関や障害者職業センター、就労移行支援、就労継続支援などの施設でおこなわれるもので、休職中のリハビリ段階から職場復帰までの橋渡し的な役割があります。

これに関しては様々な書籍やWebサイトに紹介されていますので、詳しい内容はそちらにゆずりますが、休職にいたった原因を分析したり、生活リズムを整えて「復職後も安定して働き続けられるように準備をする」というものです。復職後の生活リズムに合わせて自分のコンディションをあらかじめ整え、ストレス対処能力を高めることで「長く働くための能力を身につける」という目的があります。

ただし、医療機関で行われる「リワーク」は基本的に、休職中であって本人が「元の職場に復帰する意思をもっていること」を条件としているケースが多いため、退職した人は利用できない場合があります。利用を検討する際には医療機関に確認したほうがいいでしょう。

「リワーク」の期間は個人差がありますが、医療機関で行おこなわれる「リワーク」プログラムの場合、平均で3〜7か月とされています。しかし、この期間プログラムに取り組めばすぐに復職できるとは限りません。また「リワーク」を進めるうちに「調子がよくなったから復職したい」と思っても、自己判断でプログラムを中断してしまうと、復職したのちに再び体調を崩してしまうリスクがあります。そのため、復職の時期については主治医や勤務先と相談し、連携をとって決める必要があるでしょう。

日本で「リワーク」が普及し始めたのは最近のことです。その一方、うつ病などによる休職者が増えていることから、体調を安定させながら復職を支援する「リワーク」の価値は高まっているといえます。

体調が思わしくないときは、「職場に迷惑をかけてしまう」ことで復職をあせってしまいがちです。そんなときは「リワーク」の活用を選択肢として検討してみるのも方法です。「リワーク」プログラムは医療や福祉分野など、それぞれの専門家によって考えられた実用的な内容で、自身の体調やペースに合わせてプログラムを選択することができます。

復職に向けて「ひとりでリハビリに取り組むことは難しい」と思っていても、専門家や支援者と相談しながら進めることで、心強く思うこともあるはずです。まずは、主治医や支援機関などに相談することをおすすめします。

参考文献

【うつ病の正しい知識「リワーク(復職支援)とは」】
https://www.rework-program.jp

romanesco

romanesco

約2年前に自身二度目となるうつ病を発症。それを理由に勤務先を退職。
それ以降、再就職を果たすためにどのような支援が受けられるのか検討していましたが、「障害者就労移行支援事業所」の存在を知り、利用を開始。現在に至っています。
利用開始後は徹底して自己分析を行い、自分に合った働き方を見つけるための試行錯誤を行っています。

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