私の障害特性とその対策~腎機能障害、高次脳機能障害、双極性障害

その他の障害・病気

出典:Photo by Pierre Bamin on Unsplash

私は「腎臓の機能障害」「高次脳機能障害」「双極性障害」の3つを抱えています。 それらの障害の発症経緯と障害による困りごと、自分なりの対策について書いていきます。

各障害の発症経緯

「腎臓の機能障害」

本来、健常者の場合背中の腰あたりに腎臓が2つ備わっています。私の場合は片方が無形性、もう片方の腎臓も形成が不十分な状態で生まれました。

その影響により、私が中学3年生のころには既存の腎臓機能が限界を迎え、親類より片方の腎臓をいただき腎臓の移植手術を受けました。

手術前は腎臓による血液浄化作用が十分でなく、本来尿として排出されるべき体内の毒素や余分な水分が体から抜けず、常に倦怠感や味覚異常などの症状がありました。

「高次脳機能障害」

小学校1年のときに横断歩道上で車にはねられ、脳に大きな衝撃を受け傷ができたことにより発症しました。

事故当時は意識がなく、また頬にもぱっくり割れた傷ができるなど重傷を負った状態で病院に搬送されました。

数日後に意識は戻りましたが、それまであったことを思い出せない「記憶障害」、上手く歩けない、また階段の昇り降りをすることができない「歩行機能の障害」がありました。

また当時から言葉がでにくかったり、学校の勉強についていけないと思うことがよくありました。

「双極性障害」

1社目の企業を在職時に、知識や経験、適性のない仕事に配属された関係で職場への適応に失敗し適応障害、うつを発症しました。

認知行動療法や抗不安剤・睡眠導入剤の処方を受けましたが、仕事を上手くさばくことができなかったため職場の人間関係が急速に悪化し、不眠や不安の症状が強まりました。

病気の発症後は、私の苦手な電話対応などの業務を一時的に免除してもらえるなど、配慮があり何とか職場に戻ることができました。しかし、1年周期で異動があり、それにともないそれまでコミュニケーションをとっていた上司や、業務が変更になったことから、そのたびに新しい仕事や人間関係に慣れなければいかず、腎臓や高次脳機能障害などのハンデを抱える私にとって、難しいことでした。

入社3年目ごろには、商品の在庫管理というある程度適性のある業務に配属されましたが、前任者が手つかずにしていた残務や管理システムに致命的なエラーがあり、その対応のほとんどを自分でしなければいかず、躁の症状が発現しました。

具体的には、実績データの抽出や需要予測、メーカーとの調整や現場の緊急の要望に応える中で「これだけ頑張っている自分は偉いんだ」と勘違いし、家族に対して横柄な態度を取ったり、相手が辛くなるようなひどいことをいったりしていました。

また業務上の問題が発生した場合は、その対策を考えるため何日も寝ずに過ごし、また家では食事を取らないなどの極端な行動を取ることがありました。

確かに業務上の問題の一部は改善しました。しかし、そのことが躁の症状に拍車をかけ、ストレスが限界を越えると家庭内で暴れ回るなど手が付けられない状態になることがありました。

各障害の現状

「腎臓の機能障害」

移植手術後、腎機能の数値は緩やかに悪化していますが病状は大崩れすることなく落ち着いています。しかし、数値の遷移を見るたびに自分は残りの人生の時間を消耗しているんだと恐ろしく感じることがあります。また、腎臓が悪い状態で生まれてしまったことに関して深く悔んだり、とても悲しく感じることがあります。

「高次脳機能障害」

現在、家族に助けてもらいながら、問題なく日常生活をおくれています。しかし、買い物の会計時など、咄嗟に行動をしなければいけないときに極端に焦ってしまいます。また人前で話をするときにすぐに言葉がでてきません。脳の処理速度が遅いため、いわれたことや仕事について理解が追いつかない場面があります。

「双極性障害」

抗うつ剤の処方を受け安定した睡眠が取れるようになり、希死念慮や苛立ちについては今はコントロールできています。しかしながら、強いストレスを感じた場合、酷く気分が落ち込む、もしくは異常に活動的になるなど病状が悪化する危惧があります。

日常生活での困りごと

3つの障害を総合して日常生活で現在抱えている困りごとについて書いていきます。

1 疲れやすい

腎臓の機能障害、高次脳機能障害の関係で元々の基礎体力が低く、何かをしようとするとエネルギーを他人より多く消費してしまうためかなり疲れやすいです。

疲れすぎると寝床から起き上がれないことがよくあったので、これからはそのような症状が出ないようセルフケアをする必要があります。

2 あせると失敗しやすい

高次脳機能障害の影響により処理速度が低く、何かをしなければいけないときに対応が遅れるまた難易度が高いと対応ができずそのままTodoを失念してしまう傾向にあります。

3 がんばり過ぎると不眠の症状がでる

疲れすぎると起き上がれなくなる可能性があります。

対策(対処、配慮)

3つの障害を総合して、自分なりの対策を書いていきます。

1 無理しない

仕事も日常生活もがんばり過ぎないということです。

障害の関係でできないことは多いと割り切り、苦手なことは相談したり出来る人にまかせてしまう必要があります。

かといって、まかせるばっかりでは人間的にどうなのかということがありますので、できないことを少しずつできるようにする努力をする必要があると感じます。

2 疲れすぎない

疲れすぎた場合不眠が悪化し、体調に大きな悪影響を与えます。

自分のできるライン、できないラインを設けることで限界を越えないよう気をつける必要があると感じます。

3 得意なことをして自己効力感を高める

できないことも多いですが、習慣化・ルーティン化したことについては自分でも負担が少なくできます。

毎日の生活に少しずつやるべきことを組み込むことで、自分のQOLを高めることにも繋がると思います。「継続は力なり」です。

自分の生活を向上しようと少しずつ意識・努力することでなりたい自分になれます。

4 自分と相手に求めすぎない考え方

これまでは仕事をすれば職場にしっかり貢献しなければいけない、何をするにしても上手くやらなければいけないと思い込み、心身に高い負荷をかけながら仕事をしていました。

しかし、がんばり過ぎると体調を損ない、安定して働くことが難しくなるため、すこしずつ自分のできることを着実におこないます。また、そうすることができれば問題ないと割り切って、他の同僚と自分の仕事ぶりをむやみに比較しないことも重要だと思います。

想定される困難(職場)

「仕事がうまくできない」

高次脳機能障害により、業務の指示が理解できなかったり、対応するのに時間がかかることが想定されます。これまでの就労経験の中でもそのような場面は多々ありました。

「人間関係のトラブル」

他人より仕事をするのが遅い、できないことがある、ということはその人の大きな欠点となりえます。相手が多少優しい人であっても障害を理由に仕事をしなくてもよい、と許しをえることは難しいでしょう。仕事ができないことを理由に周りの人から攻撃を受ける可能性は十分にあります。

「体調の悪化」

仕事は疲れます。日常生活を送るだけでも多少の疲れは生まれますが仕事をすればなおのこと疲れます。

疲れたままでいるとより体力を消耗し、限界が過ぎれば回復するのに数日を要して、その間仕事にいけないことが想定されます。

今から準備できること

「決まった時間に働くことに慣れる」

就労に関する訓練を受け、職場に行きそして仕事をする経験を重ねなくてはいけません。その中で自分はどれくらいの仕事であれば翌日以降に支障が出ずにできるのか、またどのようにすれば自分なりに仕事を上手く回せるのか、方法をつくらなければいけません。

もちろん、職場や立場によって周りから求められるものは変わります。その場に合わせ最低限必要なアウトプットができるよう工夫をしなければいけません。

「トラブルにならないコミュニケーションの仕方を学ぶ」

他の人と違うことは、その人にとって明確な不利益となる場合が多いです。なぜなら、人は自分と異質なものを目にすると、攻撃し排除する行動をとるよう遺伝子的にインプットされているからです。

コミュニケーションは多くても少なくてもよくありません。またやり方やその内容にも気を配る必要があります。周りの反応を見ながら、仕事に支障がでないよう気をつけた発言を心掛ける必要があります。

「配慮事項について考える」

指示をメモ書きにしてもらう、業務をどこまですればよいか、いつまでに対応するかといった仕様をあらかじめ上司と共有しておきましょう。

また、どのような環境であれば自分は作業しやすいか、また目標を効率よく達成するにはどう対応すればよいか、といったハウトゥーを知りそれを実践する必要があります。 障害の対策の基本は配慮と対処です。

相手にお願いする、また自分でも仕事がしやすくなるよう努力することで、働きやすさが断然違ってきます。

「自分のできるラインを見極め粛々と行う」

仕事を行う中で自分のできるラインを見極めます。できることをやる、できないことは他の人にお願いすることで、長い勤務時間も乗り越えることができ、また業務を通して社会や職場に貢献でき自己効力感も高まります。

「自分にも人にも期待しない考え方」

本来、人は独りで多くのことをおこなえません。他の人と協力しながら物事に対処することでこれまで社会を発展させてきました。

肩の力を抜いてできることに集中すれば、時間はかかるかもしれませんが少しずつ、そしてやがては人として大きく成長することができます。

まとめ

障害を持って生きるということは、自分の弱点を認めそれを埋める努力をし、ときには他人に頼りながら生きていくことだと思います。

初めての就職では「何がなんでも他の人と同じように働かなければいけない」と無理をして、体調を崩すことが多々ありましたが、今後は自分のできるラインを決めしっかり持ち場を守りながら生きていきたいと思うのです。

参考文献

【腎臓の働き - 旭化成ファーマ】
https://www.asahikasei-pharma.co.jp

【Medical Note:高次脳機能障害】
https://medicalnote.jp/

【厚生労働省:みんなのメンタルヘルス「双極性障害」】
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/

Eclipse

Eclipse

腎臓の機能障害と高次脳機能障害、双極性障害と付き合いながら生きています。
自分の体調に合った職場を探すことを目的に就労移行支援事業所に通っています。
日々丁寧に健康的に過ごすことを志し生きています。

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