「外に出て欲しくないが、血税で養いたくもない…」精神・発達障害者を苦しめる社会の我儘

発達障害 その他の障害・病気
Photo by Leon Seibert on Unsplash

ネット言論を眺めていれば露悪的な言い草の一つや二つはすぐにでも見つかります。特に精神障害や発達障害に対する悪口は一定の賛同を得ており、このまま被害者の会でも結成されるのではないかという勢いです。ただ、あれらは不思議なことに「ヘイトスピーチ」とは見做されないみたいですね。

「精神障害者は危険なので外に出て欲しくない。生活費は国が負担して一生家から出ないようにすべき」という定型発達者と思しき書き込みを時々見かけます。発達障害含む精神障害者が社会に出ない仕組みを作れとは何とも滅茶苦茶な要望ですが、驚くことに当事者ですら一部は賛同しているというのです。なお、本稿でいう「精神障害者」は発達障害も含めたものとしておきます。

社会でやっていける自信が無い

推測ですが、「精神障害者は外へ出るな」の言説に当事者の一部すら賛同するのは、自分が社会人として生きていく自信を失っているのが一因と思われます。あくまで一因の推測なので、他に理由は幾らでもあるのかもしれませんが。

既に社会からドロップアウトしたうえ、社会復帰には就活という大きな壁が立ちはだかります。職があったとしても、将来設計のうえで「詰んでいる」状態かもしれません。(広い部屋に越せない、結婚できない、親の介護が出来ない等)

QOLが一生上がらないのが精神障害のせいであるとするならば、ヤケを起こしたくもなるでしょう。その結果、当事者の一部は「自分たちだって無理に社会へ出たくはない!外に出ないでやるから国が養え!」と売り言葉に買い言葉な態度を取っています。

そんなものはごく一部で、大多数は社会復帰なり経済的自立なり目指していると思うのですが、諦めたくなる気持ちは分からないでもありません。

そういえば、以前取り上げた「職場の発達障害に潰される」などというnote記事(現在は削除済み)が大反響を呼んでいましたが、あれも「障害者が無理に働かなくていいよう、福祉が充実してほしい」という旨が書いてありましたね。

どんな答えでも納得しないだろう

では要望通りに、外出禁止を代償に生活費を保障するよう改革すれば満足となるでしょうか。そんな訳ありませんよね。生活保護叩きの例を出さずとも、職無しが国税で養われていることに不公平感を抱いて反発する層が現れることなど分かり切っています。

結局のところ、世間の声というものは一貫性のない我儘でしかありません。「精神障害者が外出しなくて済む仕組みを作れ」だの「精神障害者を我々の血税で養うのは不公平」だの、如何に小難しい理論武装やセンセーショナルな言い回しで尤もらしくコーティングしても、中身は子どもじみた騒がしい放言に過ぎません。

嫌悪感と被害者意識を剥き出しにして相手の加害者性をやたらと強調する手合いは、どのような対応を取っても納得することは決してありません。仮に呑んでも、また次を要求することは明白で、これを繰り返せば仕舞には「この世からの退場」を呼びかけることでしょう。

理由は分からないが激しく憎んでいるようだ

ところで、発達障害アンチ界隈の王子とも形容すべきTwitterアカウントが存在します。彼は凍結対策なのか直接敵意を示すような書き込みはせず、経験談などを装って発達障害者への悪感情を暗に煽るスタンスをとっています。随分前に取り上げた発達障害出禁イベントを擁護していたのも彼です。

ある時は、凶悪事件の犯人が逮捕されている画像を出して、「犯人の幾つかの外見的特徴から、自閉症であることは明らかだ」とマスクで半分隠れた顔だけで発達障害診断をしていました。悪い意味での有名人に発達障害説を唱えるリスクを知っているのでしょうか。

またある時は「発達障害の診断が下りても大丈夫、障害年金を貰えば食っていける」とアドバイスする風を装い、まるで発達障害者が年金や生保だけで生きているような誤解を植え付けようとしていました。年金が下りるかどうかは手帳の等級しだいで誰でも受け取れるわけではないのですが、それについては伏せています。

極めつけは「自分に批判や反論をする発達障害者どもがいたが、そいつらは例外なくうつの悪化や自殺未遂で蒸発した」と嘯き、自己正当性を主張しています。凶悪犯と発達障害を結び付けようとしたり、誤解を与える出鱈目なアドバイスをしたり、批判に対し発達障害を絡めて人格否定をしたりと、様々な行動の根底には発達障害への憎悪が蠢いているようです。

少し調べてみたところ、2019年前後には既に「発達障害に理解があると装いながら、当事者をブロックしまくっている」「プロの発達障害を名乗る割に、わざと手帳を受けて金が浮いたなどと差別発言が凄かった」と悪名が囁かれていました。それ以前には発達障害者とトラブルになったという噂もあります。

何故そこまで発達障害を憎むようになったのかは知りませんが、発達障害者を差別しているから定型発達とは限りません。自分が発達障害でありながら発達障害を憎んだり差別したりする者は一定数存在しているようです。人生を諦めた発達障害者が他の発達障害を叩く構図は、浅ましくもどこか物悲しさを感じさせます。

遥けき博愛の郷

遥けき博愛の郷

大学4年の時に就活うつとなり、紆余曲折を経て自閉症スペクトラムと診断される。書く話題のきっかけは大体Twitterというぐらいのツイ廃。最近の悩みはデレステのLv26譜面から詰まっていること。

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