トラウマを克服した日
暮らし
出典:Photo by Towfiqu barbhuiya on Unsplash
わたしには子どもの頃からのトラウマがありました。それは、12歳年上の兄に対する恐怖心です。
恐怖で抑えつけられた少年時代
母・兄・姉と暮らしていた少年時代でしたが、母と姉は仕事の関係で留守にすることが多く、夜は兄とふたりで過ごすことが多くありました。
兄との夕食では、すでに成人していた兄は酔っ払いながら、色々な話を投げかけてきます。
わたしがそれに対して、期待にそえない返事をしたり反応がイマイチだと「ちゃんと聞いてんのか!」と怒りながら箸や色んなものを投げつけてきました。
それにより、わたしは兄や年上の人と食事をすることがとても怖くなりました。
じゃれ合いか暴力か
兄との時間は食事に限りません。
食後には運動時間のような感じで、お互いにタオルを持ってタオルでしばきあうスパーリングのようなことをしました。
しかしこちらは10歳~12歳くらいで、兄は20歳を超えています。兄は現場仕事をしたりサーフィンをしていたので、体力には自信がありました。
わたしは一方的に攻撃を受け、痛い痛いと逃げ回るものでした。
兄としては弟とじゃれあっているくらいだったのでしょうが、かなり辛く苦しいものがありました。
きっかけをくれたのは子どもたち
そういった経緯があり、兄には反抗することもできず、大人になっても強く言い返すことはできませんでした。
そんな負け癖のついた人生でしたが、先日すこし転機が訪れました。
少し前になりますが、兄が娘と息子(わたしからすると姪・甥)を連れて遊びにきました。
子どもたちからすると、おばあちゃんの家に遊びにきてテンションは最高潮です。狭い家ながらも、縦横無尽に駆け回り、1階2階をつなぐ急な階段でも遊んでいました。
兄は食卓で母の料理を待っていたりして、子どものことはあまり見ていませんでした。
少し話が逸れますが、わたしの幼馴染で唯一と言っていいほど心から信頼している同級生「Tくん」がいます。
Tくんは幼少期に妹を事故で亡くしており、その後に別の妹が事故で全身不随になっています。
Tくん本人や親御さんから苦労の話やネガティブな話を聞いたことはありませんが、子どもの頃の事故で人生が大きく変わることがあるというのを身近で感じていました。
わたしはTくんの妹を思い出し、姪や甥が階段で大きなケガをしてしまうことが怖くなりました。
それにより少し精神状態が不安定になったわたしは家を飛び出し、その日は家から逃げていました。
過去の自分を振り切って
その翌日、わたしは決心し、兄に正直な気持ちを伝えました。
「家で騒ぐのは子どもやから楽しいし全然いい、ただ大きなケガをして一生のことになったら、目を離していた親は何のために居る?子どもから目を離すならわたしに完全に任せるか、自分でしっかり見守ってくれ、それができないなら連れてくるな。そして子どもにも危険性を教育してくれ。」
こういった内容のことを伝えました。
わたしが兄に自分の正直な気持ちを、真正面からぶつけるのは初めてのことだったと思います。
兄は素直に受け止めてくれ、今後は子どもと共に身の周りの危険性をしっかり再確認してくれることになりました。
世の中の兄弟であれば、ごく普通の会話だと思いますが、わたしにとっては暴君のような存在の兄への忠告。とても勇気がいる行動でした。
そんな怯え切ったわたしを、心の奥から奮い立たせてくれたのは、幼馴染のTくん一家のみんなとの思い出だと思います。
勇気ひとつを友にして
そのあとも、母と兄弟全員が集まり食事をする機会が生まれたり、ほんのわずかではありますが家族の結束が強まった気がします。
自分のトラウマを克服するのに一番必要だったものは「勇気」でした。


