障害の特性で許されますか?
暮らし
私は以前、働くことが難しくなった時期に、福祉サービスである自立訓練、B型作業所、就労移行支援を利用していました。
このコラムを読んでくださっている方の中にも、過去に福祉サービスを利用していた方や、現在利用している方がいるかもしれません。
今回は、私が福祉サービスを利用していた中で、理不尽に感じたことについて書きたいと思います。
福祉サービスは、本来、生活リズムを整えたり、社会生活に必要な力を身につけたり、就労に向けた準備をしたりするための場所であり、利用者にはそれぞれ異なる障害特性や性格があります。
だからこそ、お互いに配慮しながら安心して過ごせる環境が必要なのではないでしょうか。
「障害があるから仕方ない」で終わらせていいのか
私が自立訓練を利用していた時、他の利用者から必要以上に話しかけられたり、連絡先を教えてほしいと言われたりしたことがありました。
帰宅する時、気づいたらすぐ後ろにその人がいたこともあり、私は恐怖を感じました。
また、発達障害のある女性から、必要以上に話しかけられたり、突然攻撃的な言い方をされたりしたこともあります。
私はスタッフに相談しました。
しかし、私から見ると、具体的な対応が十分にされているようには感じられませんでした。
「他の利用者さんに迷惑をかけてはいけません」
そういった注意をしている姿は見かけました。
でも、私は疑問に思いました。
「何が迷惑なのか」
「なぜ相手が嫌がっているのか」
「具体的に、どの行動をやめなければいけないのか」
そこまで本人に伝える必要があるのではないでしょうか。
もちろん、障害の特性によっては、相手の表情や態度から「嫌がっている」と察することが難しい場合もあると思います。
だからこそ、周囲が具体的に伝えることが大切なのではないでしょうか。
被害を受けた側が我慢する必要はないと考えています。
私は「障害があること」そのものを問題にしたいわけではありません。
障害があっても、一人ひとりが尊重されるべきだと思っています。
ただし、
障害があることと、相手が嫌がる行為をしても許されることは別問題です。
相手が嫌がっているのに、何度も話しかける。
連絡先を断られているのに何度も聞く。
相手が避けているのに追いかける。
そういった行動によって、誰かが恐怖や苦痛を感じているのであれば、支援する側が介入する必要があると思います。
私は、これ以上その環境にいることで自分の状態が悪化することを避けるため、退所することを選びました。
今でも当時のことを思い出すと、怖かったという感情が残っています。
以前、SNSで、子どもの頃に近所の人から付きまとわれ、追いかけられて逃げたことで身体に傷が残ったという体験談を目にしたことがあります。
その投稿には、「障害があるから許されるわけではない」という意見もありました。
私は、その言葉について考えさせられました。
障害の有無にかかわらず、他人に危害を加えたり、恐怖を与えたりする行為については、きちんと考える必要があります。
例えば、
「友達になりたい」
「仲良くなりたい」
「恋人になりたい」
そう思う気持ちは自由です。
でも、相手も同じ気持ちでなければ、その関係は成立しません。
少し話しかけてみて、相手がそっけない。
会話を続けようとしても避けられる。
そんな時には、「今は距離を置いたほうがいい」と判断することが一般的には求められると思います。
ただ、障害特性によって相手の感情や距離感を読み取ることが難しい人もいます。
だからこそ、本人だけに任せるのではなく、支援者が「ここから先はやめよう」と具体的に教えることが重要なのではないでしょうか。
その後、私は別のB型作業所を利用しました。
そこでは、スタッフの対応がかなりしっかりしていました。
これまでの経験について施設長に話したところ、
「うちはダメなことはダメと、本人が分かるようにはっきり注意しています」
と言ってくれました。
実際、ある利用者が他の利用者にしつこく話しかけている場面では、スタッフがすぐに注意していました。
「仲良くしたいと思っても、○○さんは一人で過ごしたいんやから、しつこく話しかけるのはアカンで」
そんなふうに、本人が理解できるよう具体的に伝えていました。
私は、この対応を見て安心しました。
「こういう支援をしてくれる場所もあるんだ」と思えたからです。
相手に悪意がなかったとしても、相手が嫌がっているのであれば、その行動をやめる必要があります。
それを本人に分かるように伝えることも、支援の一つなのではないでしょうか。
「配慮」と「我慢」は違う
障害特性があるからといって、すべてを本人の問題として責めるべきではありません。
一方で、障害特性を理由に、被害を受けている側がずっと我慢しなければならないのも違うと思います。
必要なのは、
「障害があるから仕方ない」でもなく、
「問題行動をする人だから排除する」でもなく、
本人が理解できる方法で、してはいけないことを具体的に伝えること。
そして同時に、被害を受けている利用者の安全や安心を守ること。
私は、それが福祉サービスにおける「支援」の一つだと思っています。
しつこくされて怖いと感じた時に、我慢する必要はありません。
「障害だから仕方ない」と自分に言い聞かせて、傷つき続ける必要もありません。
困った時はスタッフに相談していい。
距離を取っていい。
その場所から離れるという選択をしてもいい。
そして支援する側には、問題が起きた時に、双方が安心して過ごせるよう具体的に対応してほしいと思います。
福祉サービスは、障害のある人を支えるための場所です。
だからこそ、利用者の誰か一人が我慢することで成り立つ場所であってはいけないと思います。
障害には、それぞれの特性があります。
その特性を理解し、必要な配慮をすることは大切です。
でも、「配慮すること」と「何をされても我慢すること」は、決して同じではありません。
障害がある人も、ない人も、相手の尊厳や安全を守ることは大切です。
そして、本人だけでは難しいことがあるなら、周囲が具体的に伝え、支える。
「ダメなことはダメ」と伝えることは、決して冷たい対応ではないと思います。
むしろ、本人が社会の中で人と関わっていくために必要な支援なのではないでしょうか。
私自身、過去の経験を思い出すと今でも苦しくなることがあります。
だからこそ、同じような思いをする人が少しでも減ってほしい。
「嫌だったけど、障害だから仕方ない」と一人で抱え込む人がいなくなってほしい。
そして、福祉サービスを利用するすべての人が、安心して通える場所になってほしい。
私はそう願っています。


