リアリティーショー、もう限界でしょう

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Photo by Kevin Kandlbinder on Unsplash

法務省がネトフリ配信の恋愛リアリティーショー「ラヴ上等」とコラボし広告を打ったことがかなり問題視されています。更生保護の重要性を訴えるためのタイアップ企画だそうですが、小指の先がない全身刺青の男をはじめとするヤンキー達が偉そうにふんぞり返っている中で更生がどうのこうのと言われても説得力に欠けることは否めません。

ネット言論、特にXではヤンキーの更生物語が蛇蝎のごとく嫌われており、「マイナスからゼロに戻っただけで褒めちぎるのはおかしい」「最初から真面目に生きている方が偉い」「非行や不法行為で苦しんだ被害者を無視するな」といった反発の声はよく聞かれます。更生そのものを否定する姿勢は社会復帰の妨げとなり治安的にも逆効果なのですが、「裏で泣いている真面目な人々を想え」という意見自体は理解の及ぶ範囲にあります。まあ、ヤンキー及び更生物語に対する反発とは往々にして「陰キャが騒いでるだけ」と一蹴されるのがオチではあるのですが。

法務省はタイアップの理由について以下のように述べています。
「この作品は、参加者それぞれが過酷な生い立ちや過去の罪など生きづらさを抱えながらも自分と向き合い、葛藤し、他のメンバーや地域の方々との関わり合いの中で少しずつ成長していく姿が描かれており、更生保護が大切にしている『人は変われる。一緒なら』というメッセージとも通じることから、この度タイアップさせていただくことになりました」
ラヴ上等は実際に法務省が言っているような番組かもしれませんが、広告を見た人の大半は内容を知りません。そうなると、全身刺青のアウトローが更生だの何だのと偉そうに語っている珍妙な構図にしか見えない訳です。

それに、リアリティーショーそのものがもはや限界を迎えて久しい「オワコン」なのではないでしょうか。「ガチンコ!」や「あいのり」といったテレビ時代の産物ならば通じていたことも、ネットやSNSの発達によって誤魔化しがきかなくなっています。リアルを謳いながらサクラやヤラセに頼らざるを得ない矛盾が放置されたまま年月ばかりが経っている以上、ジャンルとしての「老い」が重なっていることは疑いようもありません。

その「老体」を大きく痛めつける出来事がありました。「テラスハウス」の放送に伴う誹謗中傷が起こした木村花さんの死です。本気とヤラセの境界が曖昧なリアリティーショーの特性が、ネットリンチを起こした原因の一つと考えられるでしょう。しかし誰も彼もネット言論の凶暴性にばかり目を向けており、この件を通じてリアリティーショーというジャンルの持つ老いや病理が顧みられることはありませんでした。「ラヴ上等」の炎上で制作陣が心配しているのも、第二の木村花が出やしないかということだけです。

究極の笑いと信じて送り出したのがダダ滑りした「男磨きハウス」や、分不相応なコラボを受けたばかりに悪目立ちした「ラヴ上等」は、ジャンルとして著しく老いたリアリティーショーが未だに若いつもりで足掻いている証です。しかし、あんな作品ばかり生み出しているようでは、エンタメとして嫌な老い方をしていると言わざるを得ません。

法務省には、更生保護の重要性を伝えるにあたって適切なコラボ先が幾らでもあった筈です。例えば、保護司が主役でドラマや映画にもなった漫画「前科者」は、直接更生保護に携わる人間が中心であり、テーマと合致しています。もしかしたら過去に一度組んだことがあるのかもしれません。もしくは、出口支援の中でも自立準備ホームに焦点を当てた漫画「帰る家がない犯罪者たち」も良いと思います。

国の機関であるからには色々な出版社や制作会社などと交渉しに行けるパワーがある筈なので、適切なコラボ相手を自力で探して権利元へお伺いを立てるのも容易でしょう。若者向けにアピールしたいのであれば、やはりマンガやアニメが安牌になるのではないかと思われます。

参考サイト

法務省:Netflixの「『ラヴ上等』シーズン2」と更生保護のタイアップポスターについて
https://www.moj.go.jp

法務省「全身入れ墨ポスター」に抱いた嫌悪感の正体…『ラヴ上等』とコラボも“見た目の説得力”が一瞬で牙をむいたワケ
https://toyokeizai.net

遥けき博愛の郷

遥けき博愛の郷

大学4年の時に就活うつとなり、紆余曲折を経て自閉症スペクトラムと診断される。書く話題のきっかけは大体Twitterというぐらいのツイ廃。最近の悩みはデレステのLv26譜面から詰まっていること。

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