薬物中毒者をモンスター扱いするのはもう卒業しろという指摘について

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Photo by Ramon Buçard on Unsplash

皆様は、薬物乱用防止の啓発広告といえばどのようなものを思い浮かべますか?泣く子を尻目にやつれていく「キッチンマザー」や、キャッチーな言い回しの「薬物やめますか?それとも人間やめますか?」といった広告で育った方は、残念ながらかなり古い常識に毒されている世代ということになります。私が2010年頃に見た作品では、幻覚から逃げようとしてマンションから飛び降り、遺骨はほとんど残らず遺族も受け取りを拒否して無縁仏というエンディングでした。ともあれもう既に、薬物中毒者をモンスター扱いする文化からは卒業せねばならない時代へ突入しています。

まず、「一度でもクスリをやると人間ではなくなる」という論法は合っているようでいて実は過剰に単純化された代物です。依存症と一生付き合っていかねばならないのは事実ですが、薬物に支配されていくスパイラルや容易に相談できない心理状況など様々な要素が絡み合うこともまた薬物依存の問題をより困難で強固なものにしています。

また、「薬物依存に対してはこのような相談先がある」という情報も最近ではセットになっています。「セーフティネットの存在を教えたら、余計に乱用が増えるのでは?」と思われるでしょうが、寧ろ万一の場合にとるべき行動や頼るべき相談先を示している方が早期発見に資するという考え方にシフトしているのだと思います。

旧来のモンスター化では、啓発したところで却って他人事として片付けられる運命にありました。それに、いたずらに恐怖を煽っても薬物中毒者へのスティグマを強める結果にしかならず、その強いスティグマのせいで「モンスターに思われるくらいなら相談したくない」と相談先から遠ざけ薬物スパイラルをより深化させていきます。逆に、実態と乖離したモンスター化により却って薬物を甘く見られるリスクもまた存在します。

「ダメ。ゼッタイ。」の伝統が脈々と続く裏で、時代に即したアップデートもまた続いています。現在は、薬物の具体的な影響やリスク、蔓延する誤情報、それに伴う周囲への悪影響、そして万一の場合の相談先までセットで教えています。薬物に近づけないだけでなく、薬物のせいで困っている人を孤立させないこともまた重要視されているのが最先端のスタイルと言えるでしょう。単純なモンスター化で薬物の害を知った気になるのはいい加減に卒業せねばならないかもしれません。


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遥けき博愛の郷

遥けき博愛の郷

大学4年の時に就活うつとなり、紆余曲折を経て自閉症スペクトラムと診断される。書く話題のきっかけは大体Twitterというぐらいのツイ廃。最近の悩みはデレステのLv26譜面から詰まっていること。

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