双極性障害にも種類がある〜I型・II型

うつ病 双極性障害(躁うつ病)

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双極性障害の方は、うつと診断されてしまうことも多く、実際に双極性障害という診断にたどり着くまでの期間は、なんと平均で8年間だそうです。診察時に躁状態だと「性格の問題」と判断されたり、うつ状態だとそのままうつ病と診断されてしまうのが、双極性障害が正しく診断されにくい理由でしょう。また、躁うつには一定の周期がありますが、医師は患者さんの元々の性格を知っているわけではないですから、いつの状態が正常であるかを判断するには、長期間患者さんを観察する必要があります。実際に、私もうつの診断から双極性障害と診断されるまで15年程かかっていますし、何かきっかけがないと、ずっとうつと診断され、効かないお薬を飲み続けながら、謎の体調不良と戦っていくはめになりかねません(私の場合は一度倒れ、大きな病院に転院して再検査したのがきっかけでした)。

ただでさえ発見が難しい双極性障害には種類があり、より発見が難しいものがあります。一般的に言われる、非常に気分が高揚する躁状態をともなうものを双極性障害I型と呼びますが、躁状態の気分の高揚感が小さい、いわば躁状態の症状が小さいもの(軽躁状態)を、双極性障害II型といいます。具体的には「激しい躁が1回以上あり、人生に重大な影響を及ぼすレベルの躁が7日以上」続くのが双極性障害I型なのに対し、「それほど困らない程度の高揚感が4日以上」と、躁の重症度が異なります。かと言って、双極性障害II型がI型より軽い障害というわけではありません。うつの期間が長いのです。双極性障害I型のうつの期間が一周期の1/3なのに対し、II型では1/2となっています。また、うつの症状も重く、自殺率もI型より高いと言われています。

双極性障害I型の躁状態は非常にわかりやすいですが(それでも正しく診断されないことが多いですが)、II型の軽躁状態は「性格が明るくなった」「なんとなく楽しい」など、性格のブレに埋もれていまい、気づかれないことが多いです。ただでさえ双極性障害は自ら病院に行かないことが多いですが、II型ではなおさらその傾向が強くなってしまいます。また、わかりやすい変化がないため、うつのときに病院に行けばうつ病と診断され、軽躁状態に向かう段階で病院に行けば、うつ状態が改善に向かっていると思われてしまうこともあるようです。

最近では、この双極性障害II型だという方が増えているようです。というのは、少しずつ双極性障害にスポットライトが当たるようになってきた昨今、精神科などでも双極性障害を疑って治療するケースが増えたり、患者側が得られる情報や知識も増えてきていたりといったことが原因だと言われています。ちなみに双極性障害の障害有病率(一生に1回治療が必要となる確率)は、欧米のケースですが、双極性障害I型が1%、双極性障害I・II型併せて2〜3%にも及ぶとのことです。日本ではI型・II型併せても0.7%程度と言われています。これが文化的社会的な差なのか、人種的に差が大きいのかはわかっていないそうですが、それでも100人に1〜3人ほどの双極性障害の人がいるはずです。

最後ですが、「双極性障害と診断するほどではないが、双極性気質である」ソフト・バイポーラーというものも存在します。薬物による治療は必要なく、心理療法などでよりより生活を送れるということです。これは双極スペクトラムという考え方に基づくもので、双極性には様々な段階が存在するということであり、ソフト・バイポーラーなど程度の異なる双極性を持った人々を含めれば、かなりの数の人が双極性をもっている、または気付いていないだけで、誰しもが少なからず双極性を持っているかもしれない、とは言い過ぎでしょうか。

参考文献

厚生労働省 双極性障害(躁うつ病)
https://www.mhlw.go.jp

講談社「双極性障害(躁うつ病)の人の気持ちを考える本」
http://bookclub.kodansha.co.jp

コウ

コウ

30代男性。10代でうつの診断をうけ、その後就職もしていたが、30歳頃に双極性障害の診断を受ける。趣味は音楽全般。

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