精神科入院〜医療と福祉の間で感じたこと

その他の障害・病気

出典:https://unsplash.com

精神科病棟には色々な人が入院しています。病院の中で形成されていくコミュニティー中で私が経験した事例をご紹介したいと思います。看護師は患者の事情に合わせて1人1人に対応が違うことはありません。画一的に接する。つまり個別の事情に合わせた特別対応はしないです。精神の病気は見た目上分かりません。それであるが故に特別待遇すると患者からのクレームに繋がるからです。

入院中の公衆電話横に掲示している苦情申し出窓口に電話する人はかなりいる

急性期病棟は閉鎖空間で、対応する看護師も画一的に接するという原則を徹底するため、話半分であしらう傾向が強いです。それはなぜか、精神科の入院患者は軽症、重症も同じ空間にいるので不定愁訴はいちいち聞いていられないためです。例えば、私が入院中に病室にバリケードを作って立て篭もった際に、制圧され左肩の関節を押さえつけられ半分脱臼しかけていたと思います。その後、看護師に制圧された時に肩を痛めているから鎮痛消炎剤(湿布薬)をくれと言っても、分かりましたと返事はしますが鎮痛消炎剤(湿布薬)出てきません。3回目に強く抗議をした際に看護師は主治医に肩を痛めている事を伝えましたか?と言ってくるわけです。普通の病院だったら、看護師に訴えれば看護師が医師に確認して処方するでしょう。精神科の入院患者は不定愁訴が多いので看護師から伺いを立てることがまずもってないのでしょう。だから、苦情申し出窓口に電話する人が多いのだと思います。

ここは刑務所のようなところだという患者も結構いる

精神科の急性期病棟は刑務所なのか?私の感想はYESでありNOでもあります。刑務所に行ったことがありませんので分からない面もありますが、少なくとも保護入院以上の患者は憲法で保障されている、移動の自由(居住移転の自由)が制限されているので、あながち間違いではないのかも知れません。未知の環境に入院させられ管理統制されるという意味では禁固刑に近いのかも知れません。でも日中の患者同士の繋がりを自由に持てるという面では刑務所ではありません。

入院患者に何か問題があった場合は看護師が対応するという原則

私は認知がしっかりしていた時には、他の患者さんの行為を制止することもありました。それは他の施設から転院されてきた患者さんで、挨拶代わりに自動販売機で飲料を大量に購入して配り周っていました。半分認知症も進んでいらっしゃたようで自動販売機の中に5カップぐらい重なってぐちゃぐちゃになっていました。その状態を制止して看護師に対応を促すのですが問題行為時に看護師が現認していないと対応できないと言われました。患者が制止すると病院的にも話がややこしくなるのでしょう。理屈は分かるのですが監視の目が全く行き届いてない状況なのでそこは改善するべきだと強く思いました。

患者の苦情で、別の患者に行動制限をかけるのは本当に正しいのか

ある日、急性期病棟に患者さんが新しく入院されてきました。その方の病名は存じてはおりませんが、人の行動を逐次実況される方でした。ある時、別の患者さんが実況されるのが大変しんどい看護師に苦情を入れたところ、その実況する患者さんを時間を区切って他の患者さんと隔離したのです。実況されるのが大変しんどいという苦情だけで、部屋に外から施錠をして閉じ込めるやり方に私は疑問を感じました。一時的に閉じ込めたところで何も変わらないからです。小さい子が悪いことをした時に親が子どもを暗い部屋や押し入れに閉じ込める構図に似ています。しかし、今回の状況では、精神疾患に起因する処置で、看護師が付きっ切りになると病院全体が回らなくなってしまいます。この点が精神科の入院での問題点なのかも知れません。

患者同士の繋がり、笑い、別れ

私は実況する患者さんが大好きでした。それは人の行動を実況する以外の害はないからです。他人の行動を実況することで実況される側が監視されているような気分になるのでしょう。その患者さんは1人でいることが多くとても寂しそうでした。だから私はあえて接触してコミュニケーションを取ることにしました。実況するのが好きな人なのだから、私が自分の行動をリアルタイムで実況して、実況する患者さん解説者にさせてみては面白いのでないかと思ったからです。狙いは当たりました。実況する患者さんは凄く笑ってくださいました。何日も何日も手を変え品を変え笑わせ続ける日々が続きました。

その行動が正しかったのか拙かった私は今でも自問自答することがあります。そのきっかけは実況する患者さんに言われた一言でした「○○さんはずっと私のそばにいてくれる訳ではないでしょう。あなたはいずれ退院されるのだから・・・」その一言は寂しい感情に満ちていました。寂しさを紛らわしてあげようと私の取った行動は、余計に寂しさを増幅させるだけだったのかも知れません。私が退院する時も寂しさを我慢している感じでした。

精神科に入院して

障害者に限らず独居高齢者などのメンタルケアの難しさを感じました。付かず離れず画一的に接する対応というのは人の温もりがあってこその福祉とは遠く、あまりにもビジネスライクであると思いました。でもそれは皆を平等に処遇するという考え方に基づけば仕方のない事なのでしょうか。

機械仕掛けのマリオネット

機械仕掛けのマリオネット

双極性障害の40代男性です。平成19年にうつ病を発症。経過療養中に双極性障害に移行。一度は社会復帰を果たすも悪性症候群を発症し退職。現在は復職目指して訓練中です。

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