自閉症スペクトラム障害のある私が就職先で直面しそうな困りごと

仕事 発達障害

出典: https://www.photo-ac.com

今回は、社会性の障害、コミュニケーションの障害、想像力・創造力の障害という「三つ組の障害」を特徴とする自閉症スペクトラム障害のある人が就職先で直面する困りごとの例を「三つ組の障害」別に挙げ、自身が就職先で直面しそうな困りごととその対処法、および今後の課題について考えてみました。

自閉症スペクトラム障害とは?

自閉症スペクトラム障害とは、生まれつきの脳機能の偏りを原因とする発達障害の一つであり、社会性の障害、コミュニケーションの障害、想像力・創造力の障害を特徴とします。これらの障害は、医学的には「三つ組の障害」と考えられています。

以下に、自閉症スペクトラム障害がある人が直面する就職先での困りごとの例とその対処法を「三つ組の障害」別にご紹介しようと思います。

社会性の障害から生じる困りごとの例

(問題点)

・遅刻や無断欠勤が多い。
・見通しを立てるのが苦手なため、期日を過ぎてしまう。
・上司や取引先の相手に敬語を使わない。
・自分のミスを認めず、謝らない。

(困りごと)自閉症スペクトラム障害がある人は、社会で暗黙のうちに「常識である」と考えられていることを理解するのが苦手なので、「自分に悪気はなかった」と思うあまり、ミスをしても謝らないことがあります。この結果、「非常識な人」というレッテルを貼られることがあります。

(対処法)

・遅刻や納期の遅れを受け止め、改善する具体策を目標にする。

まず、遅刻をした事実や納期に遅れた事実を受け止め、反省します。次に、どのようにすれば遅刻や納期遅れをしなくて済むかを考えます。起床してからの準備をルーティン・ワークにし、紙に書き出して実行できるかを試すことや前日にできる準備をすべて終わらせておくことが有効です。スケジュールを視覚的に把握・確認できる場所に置いておき、アラームを活用するといいです。

・敬語はシチュエーションごとの対応を丸暗記する。

敬語は「仕事上のルールの一環」と考え、シチュエーションごとの対応を丸暗記する方法もあります。

・ミスが多い場合は、周囲に相談し、業務内容を変更してもらう。

ミスが多い場合は、ミスを連発し、自己嫌悪を引き起こし、またミスをするという悪循環に陥りかねません。注意点を紙に書き出したり、意識したりしてもミスをする場合は、周囲に相談し、業務内容を自分に合ったものに変更してもらうことを検討することも必要です。

コミュニケーションの障害から生じる困りごとの例

(問題点)

・話が長く、脈絡がない。
・冗談や皮肉、お世辞が通じない。
・思ったことを率直に言い過ぎる。

(困りごと)自閉症スペクトラム障害がある人のコミュニケーションの仕方には、独特の傾向があります。一生懸命に伝えたいあまり、相手の反応を気にせずに延々と話し続けてしまうことがあります。また、言葉を文字通りに受け取ってしまうために冗談が通じなかったり、言わない方が良いことも相手に率直に言ってしまったりします。このため、「気づいたら、周囲の人から避けられている」という状況になることがあります。

(対処法)

・自分の障害特性を報告し、周囲への理解を求める。

信頼できる上司や同僚に自分の障害を相談し、どの範囲の人たちにまで公開するかを決めましょう。自分にどのような障害特性があり、どのようなサポートが必要かを簡潔に報告すると、周囲からの理解や支援が得やすくなり、自分も仕事の進捗状況や悩みを相談しやすくなります。必ずしも全員に報告する必要はありませんので、必要に応じて相談する範囲を決め、サポートを依頼することが大切です。なお、サポートを依頼する際には、自分が障害特性に対してどのような工夫・対策をしているのかを伝えた方が良いでしょう。

想像力・創造力の障害から生じる困りごとの例

(問題点)

・身だしなみに無頓着である。
・先輩社員の助言を受け入れられない。
・集中しすぎて、他のタスクを進められない。

(困りごと)自閉症スペクトラム障害がある人は、一度決めたルールを頑なに守ろうとします。このため、同じ洋服や季節外れの洋服を着てきたり、先輩社員の助言よりも自分のルールを優先したりするため、周囲から「変わった人」と思われてしまうことがあります。

(対処法)

・身だしなみは家族にチェックしてもらう。

身だしなみは家族や周囲の人にチェックしてもらい、アドバイスを受けることが有効です。

・上司や先輩社員の指示や助言を優先し、意識的に報告・連絡・相談を行う。

自分のルールが正しいと思っていても、会社によって仕事の進め方などのルールは異なるので、上司や先輩社員の指示や助言を優先することを心掛けることが第一です。上司や先輩社員に意識的に報告・連絡・相談を行うことが必要です。

・1日の業務量とタスク量を決めておき、必要な場合には、次の仕事に移るように声をかけてもらう。

過集中については、1日の業務量とタスク量を決めておき、その範囲が終われば、それ以上は同じ仕事をしないと設定しておくことが有効です。「ここまで」という線引きが難しい場合は、上司や同僚に相談して設定してもらう必要があります。没頭しすぎている場合には、声をかけてもらい、次の仕事に移るように指示してもらえれば、効率が上がります。

私が就職先で直面しそうな困りごと

例に挙げた社会性の障害から生じる困りごとの中で、私が就職先で直面しそうなものは、ミスをしても謝らないことだと思います。私の場合、この困りごとは「どこがミスなのかが理解しづらい」というところに起因しますので、ここがミスだと指摘されれば謝ります。しかし、私には、ミスを指摘されて謝った後、悔しがり、「二度と同じミスはしまい」と構えすぎてしまう負けず嫌いな性格があります。それと同時に、「ミスをしてはならない」と構えすぎ、良い意味での大胆さを失ってしまう気の小ささもあります。

この困りごとへの対処法としては、可能であれば、入社1年目はジョブコーチをつけてもらい、2年目以降からは徐々に受ける支援を減らしていくようにすることが挙げられます。主治医の先生からも、「できれば、ジョブコーチはつけてもらった方がいい」というアドバイスを頂きました。

例に挙げたコミュニケーションの障害から生じる困りごとの中で、私が就職先で直面しそうなものは、話が長く、脈絡がなくなることがあることだと思います。私は「相手に伝えたい」と意気込みすぎるために、話が長くなりすぎ、「自分が一番言いたいこと」を端的に言うのが難しくなってしまいます。

この困りごとへの対処法としては、「最初に結論を伝え、詳細はその後で伝える。そして、最後にもう一度、結論を伝える」という就労移行支援事業所で学んだ報告・連絡・相談やプレゼンテーションのスキルを実践することが挙げられます。

例に挙げた想像力・創造力の障害から生じる困りごとの中で、私が就職先で直面しそうなものは、過集中です。私は、どんな内容の仕事であれ、「仕事」というだけで肩に力が入りすぎ、ムキになって行ってしまいます。先ほど紹介した、ミスを指摘されると悔しがり、「二度と同じミスをしまい」と構えすぎてしまうのも、ムキになる性格からきていると思います。また、私は責任感や使命感が強すぎて、「絶対に納期には遅れまい」と意気込むあまり、自分を精神的に追い詰めてしまいます。

責任感や使命感はプラスにはたらく局面もありますが、「仕事の間中ずっと責任感や使命感を抱きすぎていると心身ともにもちません。業務中に何かリラックスできる方法を見つけられるようにしましょう」というアドバイスを就労移行支援事業所のスタッフから頂きましたので、過度の疲労を感じた時点で、上司に5~6分休憩する許可を頂き、リフレッシュを図るようにしたいです。

私の今後の課題

私が就職後に直面しそうな困りごとを解決するための一番の課題は、「どういう気持ちで仕事に臨めば、気負い過ぎずに正確に仕事ができるか」、「どのようにすれば、仕事中にリラックスできるか」ということだと思います。

「リラックスするのが苦手」というのは、障害特性とも性格上の問題とも取れますが、職場や仕事に慣れることである程度は対応できるかもしれないと思っています。逆に言えば、職場や仕事に慣れなければならない最初の1年ほどの期間を乗り越えられれば、何とか職場に定着できるかもしれないということです。

サンライズ

サンライズ

40代の男性。2年生で高校を中退。その年にメンタルクリニックを受診し、抑うつ状態と診断される。うつ病と闘い、自身の発達障害を疑いながら博士課程に進学するも、博士号は取れずじまいで単位取得満期退学。これを機に、それまで主治医の方針で「疑い」のまま保留になっていた自閉症スペクトラム障害の診断を受ける。現在は一人暮らし。趣味は読書、音楽(邦楽)観賞、YouTube、クイズ番組を観ること。

自閉症スペクトラム障害(ASD) 発達障害

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