就労移行支援事業所に通っている障害者ドットコムのライター4人に聞いてみた

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「就労移行支援」というサービスを皆さんはご存知ですか?

就労移行支援とは、主に障害をもつ就職希望者に対して障害にあわせた応募書類作成のサポートや訓練、実習を通して就職活動を支援する福祉サービスです。詳しくは「就労移行支援」で検索するか、コラム「就労移行支援事業所に通ってみて思ったこと〜2018年を振り返って」などを参考にして下さい。

今回は就労移行支援事業所に通所している4名の障害者ドットコムライターにお話を聞いてみました。

質問① 自分の障害について思うこと
質問② 就職活動への不安
質問③ コメント、メッセージ

ヒロシ(双極性障害/20代男性)

①私は自分の障害をハンディキャップだと感じています。気分が良くなったとしても躁なのかどうか常に疑わなければなりませんし、躁でない時は基本的に鬱状態になってしまいます。どれくらいの気分から躁状態なのか線引きが難しいです。躁状態になり、気分がいいからといって良いことばかりというわけでもありません。躁状態は人を傷つけるようなことを言ったり、イライラしたり、最悪警察のお世話になることもあります。というわけで私は躁にも鬱にもメリットが感じられませんでした。 

②配慮が不安です。私は自分でも出来る限り対策していますが、鬱や躁になる可能性があります。働いても配慮がないと長期就労に繋がらないと思います。 

③生きる事は簡単なことではありません。生きているだけで凄いことなのです。みなさん健常者や障害者に限らず生きづらさを感じていると思いますが、なんとか生き延びていきましょう。
   

舞台装置(LD-書字障害・広汎性発達障害/20代男性)

①私にとって自身の障害は邪魔な物という認識が強いです。私はLDという障害を持っており、その中でも私の場合、文字を書くことが非常に苦手です。文字を書くことが苦手だという事はあまり理解されません。見た目では分からない為、学校や役所は文字が書けて当然という態度で接してきます。また私の経験上、この特性が有利に働くことはありませんでした。文字が書けないと一般的な学校の勉強にも健常者よりも時間がかかってしまいます。その為、私にとってこの障害は枷でしかありません。唯一この障害で良かった事は障害を通して沢山の人に出会った事です。その出会いは私の人生において最高の宝だと思います。

②まず大きな所では、自身の障害が非常に大きなハンデになるかも知れないという不安があります。そしてもう一つは、自分の将来に対しての漠然とした不安です。前者の不安は就労移行支援のサービスを利用し、支援者の方と一緒に自身の障害がハンデになりにくい仕事を探して行く中で少しずつ薄れてきました。後者の方は残念ながら、このご時世どうにもならないと思います。

③私の短い人生の中で最も役に立ったのは人との繋がりです。20年そこらの蓄積でもこんなにも役に立つのであれば、長く生きればもっと役に立つ物になると思います。ですので皆さんも人との繋がりや周りの人を大切にしてください。きっとそれは、あなたの人生をより良いものにすると思います。 

機械仕掛けのマリオネット(双極性障害/40代男性)

①自分の障害については気分安定薬で落ち着いた症状なっており、仕事の内容によっては武器にもなるかと思っています。ただ、双極性障害はうつ病よりも認知と理解をされているようには思えません。

②必要な配慮と不必要な配慮があり障害者だからといって十把ひとからげの配慮は必要ないと思っています。例えば障害者だからといって単純なルーチンワークばかりを与えられると、会社への満足度が下がるでしょう。そういうところから再び病んでいったりすると思っています。大切なのは必要な合理的配慮を施して頂き、健常者と同じ仕事をさせて頂くのが一番良いと思っています。

③厳しいことを言わせて頂くと、合理的な配慮を履き違えた障害者が散見されることです。障害者の法定雇用率はありますが、障害者のために会社がわざわざ業務を作ったりする義務はありません。合理的な配慮とは何かを改めて考えてみてはいかがでしょうか?

ハイパーアクティブキッド(うつ病・ADHD傾向/40代男性)

①ADHDに関しては今まで個性だと思っていた部分で、周囲の人もそういう認識だったと思います。うつ病に関しては何度も繰り返したことで苦労しましたが、ADHD傾向が背景にあることが大きな原因の一つとある程度分かってたことで、しっかり対策がとれれば良いかと思います。うつ病が精神障害の疾患に該当し、様々な制度を利用するために障害者手帳をいただきましたが、元々自分は健常者という認識だったので、障害者枠の賃金水準など、障害者を取り巻く社会的環境の違いに驚くことが多いです。例えば、会社で眼鏡やコンタクトを利用する方は多いと思いますが、それを理由に雇用条件や人事評価に違いがあったりはしないと思います。「障害」という一括りだけで同じように扱わず、その多様性に目を向けていただきたいです。就労移行支援事業所に通うことで障害を持つ方に出会う機会が増えましたが、それぞれの個性や可能性はまさに千差万別だという事を肌に感じています。

②障害を持っているというイメージが長期的なキャリアキャリア形成にどのように影響するか気になります。配慮を求めすぎるとその反面誰かに負担がかかる事もあると思いますので、自分で取れる対策と助けを求めるバランス感覚を適切に持てるかが心配です。また、自分の傾向を把握し、様々な対策を取ってはいるものの、またうつが再発してしまわないか。してしまった場合にどう被害を最小限に抑えられるか正直心配です。
 
③訪日外国人や外国人雇用など、最近では多様性やダイバーシティという言葉をよく耳にします。その中に障害を持つ方々の多様性も皆様の頭の中に入っているとよりよい社会になっていくのではないかと、願っています。あらゆる立場の人がそれぞれの多様性と能力を発揮させ、全体の経済が潤うことへの根拠として、「比較優位」という経済学の概念が最近気になっています。
これが全てではないですが私はこの概念に少し勇気付けられました。

参考文献

リカードが発見した貿易の大原理 「比較優位」|出世ナビ|NIKKEI STYLE
https://style.nikkei.com

障害者ドットコムニュース編集部

障害者ドットコムニュース編集部

「福祉をもっとわかりやすく!使いやすく!楽しく!」をモットーに、障害・病気をもつ方の仕事や暮らしに関する最新ニュースやコラムなどを発信していきます。
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