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暮らし 2019.4.12

アサーションをしてみよう!〜うつ病の人のアサーション・トレーニング(後編)

アサーションをしてみよう!〜うつ病の人のアサーション・トレーニング(後編)

unsplash-logoBrooke Cagle

◀︎前回のページ:アサーションをしてみよう!〜うつ病の人のアサーション・トレーニング(前編)

前回はうつ病の方がアサーションを練習する意義について、アサーションをする前にどのような心構えを持ったらよいかなどについてお話しました。

今回はアサーション・トレーニングを実際に行う手順を以下4つのステップに分けてご説明したいと思います。

ステップ1:アサーティブなコミュニケーションを妨げる思い込みを修正する

ステップ2:アサーティブなコミュニケーションの方法を学ぶ

ステップ3:改善したいと思うコミュニケーションの事例を書き出す

ステップ4:その内容をアサーティブなものに書き換える

ステップ1:アサーティブなコミュニケーションを妨げる思い込みを修正する

アサーティブにコミュニケーションをとろうとしても、どうしても口を開けなかったり、相手の話を聴くことにイライラしてしまうかもしれません。それはもしかしたら、自分の中にあるアサーティブでない思い込みのせいかもしれません。以下にうつ病の方によく見られるアサーティブな会話を妨げる思い込みをいくつか挙げてみました。当てはまるものが合ったら少しずつ修正していきましょう。

1、自分の意見は話す価値がない。言わなくても分かるだろう
アサーティブなコミュニケーションの中では、誰しもが自分の意見を主張する権利があります。どんな考えであっても、相手に伝えたいと思うのなら言葉にして伝える必要があります。頭の中にだけ留めておいても、相手には伝わりません。

2、(聞いてもいないのに行動だけで)相手は○○と考えているに違いないと思う
相手の表面的な行動だけで、「相手は自分に対して怒っている、自分のことが嫌いかもしれない」などその裏にある気持ちや考えを判断することはできません。

3、相手を傷つけるようなことは言ってはいけない
相手がどんな言葉で傷つくかは本人しか分かりません。自分が知らないだけで、自分も相手を傷つけてしまっているかもしれません。どんな人間でも傷つくことは嫌ですが、傷つけないようにして何も話せないのでは、アサーティブなコミュニケーションは成り立ちません。傷つけることを避けるのではなく、傷つけた後どう対処するかを考えておくことで、この問題はよりスムーズに解決できます。

4、葛藤や問題はあることが問題だ。対人間に軋轢はあってはならない
葛藤や問題はあること自体は問題ではありません。前回お伝えしたように、相手は自分とは違う存在です。どんな相手でも意見が食い違い、それが原因で葛藤することはよく起こることです。問題は、起こった葛藤をどのように解決するかです。

5、思い通りに事が運ばないことや失敗することは致命的だ
問題を早く解決しようと、いろいろシナリオを考えても、予期しないことが起こったりして、全てが円滑に運ばないこともあります。また、普段から気をつけていたとしても、自分や相手のコンディションによって、たまに失敗することもあるかも知れません。しかし、完璧にできたかどうかだけが人の評価を決めるわけではありません。失敗したとしても、別の小さなことができているかもしれません。

6、断ることは悪いことだ
アサーションする中で、依頼や要求をされる場面がありますが、その内容が自分には出来ない、したくないものだったりするかもしれませんが、その時は断っても構いません。断る事で相手を傷つけてしまうから断れないと思う人もいるでしょう。しかし、断らないことには、自分の考えが伝わりませんし、それではアサーションしたとはいえません。断った後、どう互いが納得する結論を導けるかが重要なので、断る事自体は悪い事ではありません。

7、自分の考えや気持ちは全部伝えておくべきだ
アサーションをする権利は誰しもが持っていると述べましたが、逆にアサーションをしない権利も持っています。相手が疲れていて、話を聴いてくれそうにないと思った時はアサーションせず、考えや気持ちを伝えないこともしても良いのです。アサーションとは逆のことのように思えますが、「しない」を選んだという意思が働いていることがポイントです。言いたいのに「できない」こととは別の行為です。また、例え伝えようと思ったとしても、自分の中にある感情や気持ちを全て相手に伝えることには限界があります。どこまで伝えたいのか、どこが一番伝えたいのかをはっきりさせ取捨選択できるようになることが必要です。

8、○○であるべき、○○すべき、必ず/絶対○○しなくてはいけない
うつ病の方に多く見られる考え方です。アサーションする場だけでなく、普段の生活の中でも「○○できたらいいな」と言い換えてみましょう。目標としたことを完璧にやろうとせず、心のハードルを下げる練習をしてみましょう。アサーティブなコミュニケーションが上手くいかない時、「○〇であるべき」、「○○すべき」、「必ず/絶対○○しなくてはいけない」がつく言葉を思い浮かべていないか確認してみましょう。

ステップ2:アサーティブなコミュニケーションの方法を学ぶ

アサーティブなコミュニケーションをするには具体的にどうしたらよいのでしょう。以下のポイントを意識しながらコミュニケーションを取ってみましょう。本文では、以下3つだけ取り上げましたが、アサーションに関する専門書により多くの事例や説明が載っていますので、深く学びたいと思われる方はそちらも参考にしてみて下さい。

1、アイメッセージで伝える
アイメッセージとは「私は/僕は」を意識して会話することです。自分の考えや気持ち、欲求に対して、「自分の意見である」と強調することがポイントです。自分の意見に責任を持っている、(相手の意見を憶測だけで断定しないで)相手を一人の個人として尊重しているという意思を表すことができます。例えば、「あなたの意見は間違っている」ではなく、「私はあなたの意見は間違っていると思います。」と伝えてみましょう。

2、相手の話を聴く
アサーションは、自分だけでなく、相手も大切にするコミュニケーションです。なので、一方的に話をするだけでは成立しません。相手の意見も踏まえ、話をすることが必要です。つまり、話す事と聴くことは同時進行の作業です。相手の話に興味を持ち、場合によっては質問をしたり、自分の意見を述べてみましょう。自分の話ができずに終わってしまうのではないかと思う方は、ぜひ質問のタイミングで自分の言いたいことを言ってみましょう。

3、言葉以外のアサーションをする
言葉以外にも自分の気持ちを表現する方法があります。視線や表情、姿勢、相手との距離、声のトーンなどが挙げられます。相手の話を聴いているという事をうなずく事で伝えたり、身振り手振りで言葉では伝えきれないニュアンスを表現することも出来ます。言葉以外のアサーションをする際に注意したいことが、行動と言葉で伝わる情報を一致させることです。内容はポジティブなことを言っていても、行動と言葉に違いがあることによって、攻撃的に聞こえたり、消極的に聞こえたりします。行動と言葉に矛盾が生じると相手はどんな感情を抱いているのか混乱し、どう対応してよいか分からなくなってしまいます。例えば、大丈夫だよと言っているのに低く小さい声で苦しそうな表情をしてたらどうでしょうか。これらの言動は、感情表現に歯止めをかけた事により起こるものです。感じている感情をそのまま伝えるようにしたり、言動がどうしても不一致になってしまう場合は、その状態になっていることをそのまま伝えてみましょう。

ステップ3:改善したいと思うコミュニケーションの事例を書き出す

アサーションのコミュニケーションがどんなものか分かったら、今度は自分の生活の中でどんな場面のコミュニケーションを改善したいのか考えます。もっとうまく気持ちや考えを伝えられたらなと思う場面を思い起こし、ノートにその時の会話や場面を書き起こしてみましょう。書き終えたら、その隣にその時自分はどんな気持ちだったのか、どんな気持ちを本当は伝えたかったのか書きます。

状況:会社の面接で「何か配慮して欲しいことはありませんか?」と聞かれ、「しゃべるのは苦手ですが、休憩中など話しかけてくれると嬉しいです。」と言った。

気持ち:本当は話しかけてほしくないのに、逆のことを言ってしまった。話しかけないでほしい、と本当は言いたかったが、失礼になるとは思い言えなかった。休憩中はあまりしゃべりたくないし、一人でいたい。

ステップ4:その内容をアサーティブなものに書き換える

当時の事を詳細に書き終えたら、今度はアサーティブな会話にするにはどうしたらよいか考えます。どう変えて良いか分からない時は、アサーションを勉強している病院の心理士の方などにアドバイスを貰ってもいいかもしれません。

改善例

会社の面接で「何か配慮して欲しいことはありませんか。」と聞かれたら、「合理的配慮としてお願いしたいことがあります。会話をすることは仕事上問題ありませんが、休憩中は一人にさせてもらえると嬉しいです。」と素直に伝える。

まとめ

今回はうつ病の人の視点からアサーティブな会話をするためにはどうしたらよいか考えてみました。うつ病の方々だけでなく、コミュニケーションで困っている方、アサーションに興味を持っている方々の参考になれば幸いです。

参考文献

「うつ病の認知療法・認知行動療法(治療者用マニュアル)」みんなのメンタルヘルス総合サイト
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/index.html

「うつ病の認知療法・認知行動療法(患者さんのための資料)」みんなのメンタルヘルス総合サイト
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/index.html

「よくわかるアサーション 自分の気持ちを伝えよう 自分も相手も大切にする気持ちのよい自己表現」
監修:平木典子 出版:主婦の友社

「夫婦・カップルのためのアサーション」著者:野末武義 出版:金子書房

ライタープロフィール
haru
haru

あまいものと中華料理が好きな24歳です。数年前海外大学院を中退。帰国後、うつ病と診断。一人暮らしをしながら就活をしています。現在アサーションやセルフモニタリングを勉強しながら人との関わり方や自分の保ち方を模索しています。

  • HSPと、ともに。
  • 発達障がい〜神からの贈り物〜
  • 生きる!生きる!心の叫び
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