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映画「BAD DREAM」〜排除に抗う悪夢の近未来長編映画

映画「BAD DREAM」〜排除に抗う悪夢の近未来長編映画

撮影:五十嵐政人

徹底的な障害者排除の体制が敷かれた架空のディストピア。これを舞台とした自主製作映画「BAD DREAM」が、去る3月20日に渋谷で公開されました。3年前に起こった相模原の障害者施設連続殺傷事件に触発され、MXU監督と「脳性マヒブラザーズ」のDAIGO氏はこの映画の製作に踏み切りました。

「悪夢」の20xx年の日本でひっそり芸を磨く

「BAD DREAM」の舞台は、障害者の徹底排除が掲げられた20xx年の日本です。障害者への迫害が極限まで進んだディストピアで、お笑いコンビ「脳性マヒブラザーズ」のDAIGO氏と周佐氏(ともに本人が演じる)は「再び人前に出る」という夢を抱き、仲間に匿われながら芸を磨きます。

障害者は発見され次第排除され、匿った者も同罪として処罰されるのが作中世界の掟です。その中で、ブラザーズは陽も当たらぬ隠れ家の中、小さな声でいつ披露するかも分からないネタを練り続けています。ブラザーズの仲間も、逮捕されるリスクを承知で必死に匿い、ブラザーズを支えています。

夢と仲間とささやかな楽しみに支えられてきたブラザーズですが、そんな日々も長くは続きません。ブラザーズの相方である周佐氏(演:本人)の病死によって日常が崩壊し、温厚だった主人公DAIGO(演:本人)も隠れ家を飛び出して怒りの叫びをあげるほどにまで変化します。

一方、差別に抵抗するレジスタンスでもテロ行為が出始めます。DAIGOはそうした暴力での訴えに迎合せず、宛てもない放浪を始め、映画は終わります。

植松聖被告へのアンチテーゼ

ヘイトスピーチをはじめとした排外主義の高まりや植松の起こした相模原の大量殺傷事件を受け、映画の製作へと踏み切ったMXU監督。実際に出来上がった作品では、所々に植松へのアンチテーゼやカウンターメッセージが込められていました。

まず、ブラザーズの隠れ家生活はアンネ・フランクがモデルとなっています。これは植松の「ヒトラーが降りてきた」という供述から、映画のプロットとして決まりました。監督はホロコーストをはじめ、歴史上の様々な大量虐殺について映画製作中に調べていたようです。

「beautiful Japan」の落書きが映されるシーンも大きな意味を持っています。これは植松が犯行後にTwitterで書き込んだメッセージです。監督は「自分にとって美しくないものを排除したい欲求」として「beautiful Japan」を目立たせました。植松の「夢」は障害当事者にとっての「悪夢」だというメッセージも含まれています。

製作費50万、協力者は大勢!

「BAD DREAM」の製作費はたった50万円だそうです。経費削減のため全編モノクロにするなど、制作側の努力もありますが、やることは50万円で100分のドキュメンタリー調実写フィクション映画を作ることです。この難題を可能にしたのは、MXU監督に協力してくれた多くの人々です。

MXU監督とブラザーズDAIGOは映像制作を得意とする新潟の市民団体にいがた映画塾に所属しており、「BAD DREAM」より前から協力関係にありました。監督は最悪の場合、DAIGOと二人きりでスマホを使い撮影しようと考えていましたが、いい意味でそうならなかったのです。ブラザーズの相方である周佐氏をはじめ、監督の属する市民団体やブラザーズの所属事務所などがバックアップしてくれました。美術協力・ロケ地協力・上映場所など、新潟市内の様々な団体が監督を支援し、50万円で100分の長編映画が完成したのです。

皆が協力的だったことについて監督は、「根底のテーマに共感して頂けたのではないか。」と述懐します。周佐氏は「本人役でありながらシナリオの途中で死ぬ」という難しい役を二つ返事で引き受けました。真の多様性(ダイバーシティ)とは何か問いかけ、多くの人や団体が理解してくれたのでしょう。

自主制作といえども50万円で100分の長編は破格です。世の中を動かした低予算映画である「悪魔のいけにえ」でさえも4000万円かかりましたから(時代も事情も国もジャンルも予算運用も何もかもが違うので比較にはなりませんが)。

3月20日に公開されました!

去る3月20日に渋谷で「BADDREAM」が公開されました。当日のトークショーにはMXU監督とブラザーズDAIGOのほか、東ちづる氏、今井絵理子参議院議員も迎えていました。トークショーについては、Youtubeで「映画BADDREAM 2019年3月20日東京上映トーク」が公開されています。

観た人のコメントでは、「フィクションとノンフィクションの区別が曖昧になる」「考察には自分が飼っている『植松』と向き合わねばならない」といった感想が述べられています。障害者へのセーフティネットは、何かのはずみで途切れてしまいかねない危うさを持っています。そうした事情が「BAD DREAM」の世界観にリアリティを与えているのでしょう。

  • トーク出演の今井絵理子参議院議員、東ちづるさんほか(撮影:五十嵐政人)

この「BADDREAM」は自主上映会の開催場所を全国で募集しています。あなたの街で自主上映会を開催してみませんか?上映会開催に関するお問い合わせは「映画BADDREAM製作委員会」事務局(Email:baddream20160726@gmail.com)まで。

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障害者ドットコムニュース編集部
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