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発達障がい〜神からの贈り物〜,連載コラム 2018.8.10

高IQの生き辛さ~頭が良いのに辛いなんて、そんなことありえるの?(『発達障がい~神からの贈り物~』第21回)

高IQの生き辛さ~頭が良いのに辛いなんて、そんなことありえるの?(『発達障がい~神からの贈り物~』第21回)
『発達障がい ~神からの贈り物~』 第21回 <毎月10日連載>

…今回は思い切って、多くの批判を受けることを覚悟して執筆してみました。どうか、最後までお読みください。…

『天才』という言葉から想像される人物は人それぞれかもしれない。しかしアインシュタインはその代表的な存在の中心ではないだろうか?

IQ160を超えていたと言われる天才中の天才は学生期に2度ほど留年しているのだそうだ。今だったら発達障害の診断をきっと受けることになるだろう。ここで私が注目したいのは、彼の才能が凸凹で、弱い部分が留年の原因になったわけではなさそうであることだ。彼は子供のころから物理学に於いて先生と対立したことがあったようだ。どうやら彼は、彼自身が相対性理論を発表するまで絶対視されていたニュートン物理学に子供のころから矛盾や限界、または疑問を既に持ち合わせていたようだ。だからそういった対立が起きたのだろう。教職側にとっても絶対視されている当たり前のことに根本から意見してくるなんて、『頭がおかしい』という判断しか下せなかったのかも知れない。

先日、戸棚を整理していて私が診断を受けたときの資料が出てきた。WAISという発達障害を診断するときによく使われる試験の結果だ。総合評価、すなわちIQの 欄に130という数値が刻まれていた。人口の約2%にあたる偏差らしい。私はこの数値を見て『こんなに低かったんですか?』と言った記憶がある。自分ごとながら恥ずかしい思い出である。しかし、学生期にIQを測る書物などでは必ず140くらいはあったので、そんな風に思ってしまったのだと思う。その時に対応してくれたケースワーカーは『130以上の評価はなかなか出しづらい、きっとそれ以上は持っていると思われるがなかなか書きづらいものなんです。』と諭してくれた。

発達障害では能力の凸凹が大きいと言われるが、今回はここを論点とするのではなく、高IQがどれほど生き辛いかについて皆さんに知ってもらいたい。先のアインシュタインの例でも挙げたように、自分にとっては当たり前の事象であっても、周りの人たちには理解されない、これがどんなに辛いものかを理解できる人はなかなかいないかもしれない。こんな風な表現をすると、私の自慢話に受け取られるかもしれない。勿論それでもかまわない。しかし、どれほど辛いものか、その本の少しだけでも理解してもらいたい。

高知能機能障害という言葉で表現されることも多いようだが、高IQと発達障害は重なるものかそうでないかの議論の余地は多分にある。そして、高IQで生き辛さを抱えている人の多くが発達障害の診断を受けていると見られる。私にとってはそれはまるでカサンドラの苦しみのように思う。ここでいうカサンドラはギリシア神話のカサンドラそのものであって、今日一般に言われるカサンドラ症候群のこととは全く異質である。

トロイの木馬の中に敵兵が潜んでいることをカサンドラは予知できる能力を持っていた。その能力は太陽神アポロンによって授けられたが、カサンドラはその予知能力で将来アポロンが自分を裏切ることを知ってしまい、アポロンの誘いを断る。憤ったアポロンはカサンドラに新たな能力を授ける。それは誰もがカサンドラの言葉に耳を貸さなくなるように、と。そしてカサンドラは宮殿が焼け落ちてしまうことに悲観するが何もできない。

結婚相手が発達障害だろうがそうでなかろうが、そんな意味でのカサンドラ症候群でなく、物事の本質が見えてしまう、なのにそれを伝えれば伝えるだけ周りから疎まれる、これが本当のカサンドラの苦しみであって、同じ苦しみの中にいるものは現社会にも多く存在するはずだ。

最近では発達障害と言う言葉がメディアなどの努力により大きく市民権を獲得している最中であるが、発達障害に対する福祉の中心は知的障害である。このこと自体に異論はないが、高IQで苦しむものが受けられる施策はほとんど見当たらない。高IQ=頭が良い=何でもできる、そんな風なイメージが根底にあるのだと思う。

私自身の生き辛さは能力の偏りよりもこちらのほうが大きかったと今では思える。そして10年の欝で学び、その生き辛さを受け入れたことで、それまでとは違った平穏がようやく訪れた。しかし、間違っても『自分は頭がいいから苦しい』なんて言えるものではなかった。そんな言葉を発すれば更に社会の窮地に追いやられるのは必然である。巷には自分が高IQであることやギフテッドである、なんて己を表現するものもいるが、そうでないものほどそう言いたがるものだ。

今回は発達障害や鬱とは少し違った角度で話してみたが如何でしょうか?あなたの頭の中にこれまでとは少し違った価値観が芽生えればこの上ありません。

ライタープロフィール
Kei スズキ
Kei スズキ

1969年大阪府泉大津市出身 高知大学農学部卒
ディレクター、スタジオ・ミュージシャン、道化師、学習塾経営など仕事は長続きしないながらも様々な分野に挑戦、一方で離婚を経験したことから10年の欝を経験。そののち2013年に発達障害の診断を受ける。現在はさかいハッタツ友の会の自助活動を中心に、自身の経験を活かし、発達障害者の生きがいや生き方についての啓発活動を行う。

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