就労継続支援B型事業所に長居しない方がいい3つの理由

仕事

unsplash-logo Dylan Gillis

障害者の社会進出や復帰への足掛かりとして、就労継続支援B型事業所を利用する場合があると思います。A型に比べて雇用契約を結ばない代わりに柔軟な通所スケジュールを組める特徴があり、週2、3日からスタートして生活リズムを取り戻すなどの運用が出来ます。ただ、B型事業所の利用が長引くのは宜しくないです。障害の程度にもよりますが、いずれキャリアアップはするべきでしょう。その理由を、個人的な経験も交えてご紹介します。

まず生活は不可能

B型事業所は雇用契約を結ばないため、給料ではなく「工賃」が出ます。その工賃は週5全日出てようやく月1〜2万円と安く、とても暮らしていける金額ではありません。もちろん通う日数や時間が少なければ工賃は更に減ります。私が見学で回った範囲では工賃無しの事業所さえありました。何故ここまで安いのかというと、事業所の受ける仕事が軒並み低賃金で、その少ない報酬から工賃を出している為です。世知辛い事情があるにせよ工賃の低さはB型事業所の欠点です。この低い工賃で暮らしていくには実家かグループホーム住まいでなければ無理でしょう。

キャリアアップには週5必須

安い工賃では暮らせません。せめて最低賃金は保証されているA型事業所へ行きたいのが人情でしょう。しかし、こうしたキャリアアップに際しても問題が存在します。最初のうちは「週3で通う」「この曜日は午前だけ」といったリクエストが通るのですが、B型を出てステップアップするには週5で全日通うことが必須になる場合が多いです。つまり、B型の長所である柔軟な通所スケジュールはいずれ破綻するわけです。私の経験ですと、「そろそろA型に行きたい」と障害者職業センターに相談したら「今の通所スケジュールじゃ無理。週5で午前も午後も通いなさい。」と言われました。キャリアアップを志すならば、B型唯一の長所を捨てることになるのです。

加えて、2018年4月から改正された事業所の報酬設定が「平均工賃月額」を基準とするようになったのも痛い点です。平均工賃月額は週5全日で出ている利用者の数に依存していますので、部分的通所(利用時間が少ない分工賃も下がる)の利用者が多いと運営上不利となります。「はじめから週5通所」が望まれるという懸念もあり、こうなると何のためのB型事業所か分かりません。

精神的負担が強い

週5日通って安い工賃を貰う生活だけでも長引かせたくないのですが、最終的には作業所の環境次第です。一刻も早く次のステージへ移りたいレベルから、一日でも長く在籍していたいレベルまで変動しますが、大抵は前者になるでしょう。B型事業所の利用者はA型や移行支援に比べて重い障害を持つ方が多い傾向にあります。それに合わせて職員の態度も子ども扱いが多くなり、作業もほとんどが単純な軽作業です。人によってはその状況が続くと自尊心が削れていきます。私のケースなのですが、精神を摩耗する環境に週5日早退無しで通い続けた数ヶ月間は率直に言って苦痛でした。子ども扱いしない利用者仲間と職員、そしてA型事業所へ移れたことは今でも感謝です。

ここからはTwitterで見聞きしただけの情報なのですが、劣悪なB型事業所にもなると「勝手に通所スケジュールを変える」「無許可で利用者の印鑑を作る」「利用者同士でカーストが出来ている」などと物凄い環境にさえなっている模様です。まぁ所詮ネット情報なので信じるかどうかは任せます。

B型事業所の利用を長引かせてはいけない理由を、自分の経験も交えて解説しました。結局は環境次第という話になるのですが、金銭面や作業内容に関しても生業とするには無理があります。それでもB型事業所を利用し始めるのであれば、「変なプライドは捨てなさい」と追加でアドバイスしておきます。または就労移行支援をお勧めします。あちらは2年の期限付きですが、B型事業所で1年過ごすよりも得られるものは明らかに多いので、生活リズムを正す程度の目的ならば移行支援にした方がよいでしょう。

参考文献

成果主義の強化により減収、重度者排除へ 障害福祉サービス 報酬改定影響調査:土佐のまつりごと
http://wajin.air-nifty.com

遥けき博愛の郷

遥けき博愛の郷

大学4年の時に就活うつとなり、紆余曲折を経て自閉症スペクトラムと診断される。書く話題のきっかけは大体Twitterというぐらいのツイ廃。最近の悩みはデレステのLv26譜面から詰まっていること。

関連記事

人気記事

施設検索履歴を開く

最近見た施設

閲覧履歴がありません。

TOP

しばらくお待ちください