精神疾患の治療に効果があるという森田療法とは?

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出典:https://www.photo-ac.com


森田療法とは?



森田療法とは、1919年に慈恵医大精神神経科・初代教授の森田正馬によって始められた精神療法です。

森田療法は、対人恐怖症や広場恐怖症などの恐怖症、強迫性障害、不安神経症(パニック障害、社交不安障害、全般性不安障害)、自律神経失調症、心身症等が治療対象であり、これまでに高い治療効果をあげてきています。また、不安が根本にあるケースの慢性的なうつ病や不眠症にも効果が期待でき、ガン患者のメンタルケアなど幅広い分野にも有効と言われています。

性格的傾向として次のような方は特に森田療法の効果が得られる可能性が高いです。

・心配性
・神経質
・完璧主義
・こだわりが強い


病気に至っていなかったとしても、上記のような不安をため込みやす方でも森田療法は有効です。


森田療法の特徴



森田療法の特徴は、神経症の不安や恐怖を排除するのではなく、「受け入れること」「とらわれ」から脱出するという点、また、自分の中にある健康な力や自然治癒力を最大限に生かしていくという点にあります。

「見た目で変なところはないか」、「私の発言でだれか不快に思っていないか」等、こういった不安が絶えず頭の中を駆け巡り、飲み会や誘いを断ってしまう等の回避行動に出てしまうことがあると思います。これらの不安を「気にしないようにしよう」とすることで、かえって注意を強くしてしまい、余計に悪化させてしまうことがあります。このような堂々巡りの状態を「とらわれ」といいます。

悩み・不安・恐怖などの不快な反応は、「より良く生きたい」という意欲と表裏一体のもの。つまり、私たちは「より良く生きたい」という欲望があるからこそ、悩みや不安が生じるのです。

森田療法では、不快な反応を取り去ろうとするのではなく、「あるがまま」に受け入れることが、「とらわれ」の悪循環から脱出する方法だと考えています。

「あるがまま」とは、第一に不安や症状を排除しようとすることをやめ、そのままにしておく態度を養うことです。第二には、不安の裏にある向上したいという欲望を積極的に行動に移していくことです。

森田療法とは、不安を抱えながらも生活の中で必要なことから行動し、建設的に生きることを教え、実践させる治療方法です。

   

森田療法の治療方法



森田療法の治療方法は、入院治療と外来治療があり、治療方法もそれぞれ違います。

入院治療

第1期:絶対臥褥(がじょく)期(7日間)
この間は読書などの気晴らしをせずに、終日個室で横になって寝て過ごします。症状をやりくりしようとする行動をやめて、そのままの自己に向き合うことが目的です。通常、臥褥の後半から心身の活動欲が高まっていきます。

第2期:軽作業期(4~7日間)
臥褥によって高まった活動欲を一時に発散するのでなく、徐々に必要な行動に向かっていくことがこの時期の目標です。この時期から主治医の面接と並行して日記指導が開始されます。

第3期:作業期(1~2ヶ月間程度)
動物の世話、園芸、陶芸、料理など生活に必要な様々な作業に、他の患者さんと共同で取り組みます。作業や生活の実践を通して、症状にとらわれず臨機応変に行動する姿勢が培われていくのです。

第4期:複雑な実際生活期(1週間~1ヶ月程度)
この時期は外泊を行うなど社会復帰の準備にあてられます。


外来治療

最近では上記の入院療法の他に、通院での森田療法も広く普及してきました。外来治療では面接や日記指導を通じて、症状にとらわれた自分のあり方と生の欲望を患者さんに自覚してもらい不安のまま生の欲望にしたがって生活を充実させていくよう促していきます。

また森田理論に立脚する自助グループ「生活の発見会」も全国で活発な活動を続けており、現代の森田療法は入院、外来、自助グループの連携体制が確立しつつあります。


森田療法を実施している医療機関一覧
http://www.mental-health.org/index.html


まとめ



森田療法は、薬物療法や基本的な治療に加えて誰もが持っている自然回復力を生かし、「現状から抜け出すためには、どのような姿勢を身につければよいか」ということを日常の生活の中で探っていくわけです。不安症や、うつなどに悩まれている方は一考してみてはいかがでしょうか。


参考文献

神経症を治す~神経症(不安障害)の治療方法 森田療法
http://www.mental-health.org/index.html

ヨーヘイ

ヨーヘイ

京都の就労支援所で訓練生をしています。20歳で社会不安障害、適応障害と診断され、薬物療法や認知行動療法を経て、就職に向けて日々動いています。
少しでも皆様の役に立つ記事を書いていけたらと思っています。よろしくお願いいたします。

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