事業所様ログインはこちら

障害者ドットコム

 >  > 発達障害のある子どもや赤ちゃんのかんしゃく(癇癪)とは?その症状・原因・診断・対処法は?
障害・病気 2019.3.17

発達障害のある子どもや赤ちゃんのかんしゃく(癇癪)とは?その症状・原因・診断・対処法は?

発達障害のある子どもや赤ちゃんのかんしゃく(癇癪)とは?その症状・原因・診断・対処法は?

unsplash-logoTim Bish

発達障害の子どもや赤ちゃんのかんしゃく(癇癪)に悩んでいませんか?いくらあやしても夜泣きが治まらない、パニックになると泣き叫んで暴れる、自分や他のモノに手を上げる等のかんしゃくは、何故起きるのでしょう。発達障害の特性をふまえたかんしゃくの特徴や背景、対処法について教えます。

発達障害の子どもはかんしゃくを起こしやすい?

子どものかんしゃくとは、「欲求不満に対する感情の爆発的な反応」です(辞典)。赤ちゃんの場合は、生理的な不快感を養育者に伝える手段となります。子どもの場合も、自分の欲求が満たされない状況に対し、自分の感情をコントロールしたり、適切な言葉で相手に伝えたりする能力が未発達です。そう考えると、子どもや赤ちゃんの泣く・怒る、という行為はむしろ自分の気持ちを伝える手段であり、それがこじれたものをかんしゃくと呼べます。ただし、発達障害のある子どもや赤ちゃんのかんしゃくは通常よりも激しく、本人も周囲も困ることが多いです。

事例①夜泣きの激し過ぎる赤ちゃん
発達障害の赤ちゃんA君は、夜泣きが激しいです。夜中、両親は交代でA君に子守歌を聞かせ、寝付かせるのに一時間もかかります。秋冬にも関わらず、A君が常に汗だくなのも気がかりです。しかし、眠ったA君を慎重に寝台へ下ろした途端、数秒もたたぬ間にA君は再び泣き叫びます。しかも、つかまり立ちができるようになると、ベビーベッドの柵を掴んで激しく揺らしながら、耳を裂くような大声で泣くので、両親も恐怖を覚えました。

事例②パニックを起こすと自分や物にあたる子ども
発達障害の小学二年生Bちゃんは、普段大人しいですが、何の前触れもなくパニックをよく起こします。この間の移動教室の前も、Bちゃんは突然大声で叫んだかと思いきや、自分のおでこを机に叩きつけるのです。びっくりした先生がBちゃんを止めようとしましたが、Bちゃんは聴き入れません。両親によれば、Bちゃんは時折自宅でも叫びながらものを投げつけ、自分の頭を打ち付けるようです。危ないことは分かっていますが、止めようとするとBちゃんが余計に嫌がって暴れてしまいます。

事例③順番を守れずに、他の子どもにすぐ手を上げてしまう子ども
発達障害の小学四年生C君は、とても短気でせっかちです。休憩中、ブランコの順番待ちをしていた他の子どもを押し退ける、授業中に手を上げたらもう話し始めるのです。他の子どもや先生に注意されると、C君はすぐに平手で相手を叩くか、かー!と怒り叫びながらそっぽを向きます。一度かんしゃくを起こすと、C君にはもう周囲の声すら入ってきません。ただ、怒っている時のC君の瞳は時折悲しそうです。

発達障害の子どものかんしゃくは何故起きる?

発達障害の子どもや赤ちゃんが、激しいかんしゃくを起こす理由は、本人や周囲との関係等様々ですが、以下のことが考えられます。

①感覚過敏によるストレス
発達障害の感覚過敏が、かんしゃくの背景にあることも多いです。通常であれば平気なはずの感覚刺激に対しても、本人は強い苦痛を感じます。小さな音も耳障りな騒音に聞こえる、人の顔の大群や光がまぶしく歪んで見える、人に触れられると痛い、異様に熱がりか寒がり等があります。感覚過敏による苦痛や外部からのストレスが重なることによって、子どもは我慢の限界を超えてしまうのです。事例のA君の夜泣きも感覚過敏によるものだ、と両親は考えました。わずかな音で目を覚ますほどの聴覚過敏や体温の過敏さが確認できます。

また、不安や欲求不満を別の刺激にふけることで誤魔化そうとするケースもあります。Bちゃんの自傷行為も、自分では対処しきれない状況や、自分をコントロールできないことへの恐怖が高じた結果だと言えます。自分で自分の頭を打ち付け、その行為に集中することによって恐怖や不安を誤魔化し、自分をコントロールする安心感を得ようとします。自閉スペクトラム症の活動家であるドナ・ウィリアムズさんも、同じ行為をした経験があり、自己刺激行為と呼んでいます。身近な例で言うと、爪を噛むクセもストレスや欲求不満を誤魔化すために刺激を求める行為です。

②自己表現が苦手
発達障害で自閉スペクトラム症の場合、言葉の発達がゆっくりめで、他者とのコミュニケーションの難しさを持ちます。本当は辛いのに無表情もしくは笑っている、身振りや手ぶりなどの非言語的サインを上手く使えない、自分の欲求を言葉にするのが苦手です。自分の欲求を社会に適した言葉などで伝える能力が未発達なのは、多くの子どもにも当てはまります。しかし、発達障害はそれが著しくなるか、不適切になりやすいです。

Bちゃんの場合も、怖くて辛いという気持ちやその理由を上手く伝えられず、代わりに泣く、叫ぶ、暴れる、自傷行為というかんしゃくで、自分の辛さを訴えています。これは、言葉を発することができない赤ちゃんやネグレクト等で傷ついた動物等にもよく見られる、原始的な自己防衛と似ています。自分の辛さを内側に溜め込んでいくと、やがて怒りや悲しみなどのネガティブな感情を爆発させてしまいます。

さらに事例のC君が相手の状況と意図を察するのが苦手な場合、「自分はちゃんとルールを守っているつもりなのに訳も分からず怒られた」、「そんなルール聞いていない」、と不満や戸惑いを覚えます。そういった他者とのコミュニケーションの齟齬(そご)も、発達障害の子どもの不安や戸惑い、さらには孤立を強め、かんしゃくに繋がることもあります。

③見通しを立てるのが苦手
先の見通しを立て、臨機応変に行動するのが苦手な所も、発達障害の子どもに当てはまります。大人と比べ、子どもは自分の行動がもたらす結果や予期せぬ未来を想像し、柔軟に対処する能力が未発達です。個人差はありますが、発達障害の子どもはこの能力の発達が遅れやすいか、大人になっても控えめなレベルで持ち続けます。例えば、電車というものは行き先や線路を突然変えるはずがないのに、自分が乗っていた電車が突然大阪行きから東京行きへ変わっていれば、皆さんはパニックになるはずです。発達障害の子どもにとって、急な予定変更やイレギュラーな状況とはそれぐらい大きな不安や恐怖なのです。Bちゃんの場合も、周囲からすれば小さな変化ですが、それがパニックやかんしゃくの引き金になっている可能性が高いです。

④感情や衝動をコントロールするのが苦手
ADHD(注意欠如多動性障害)の衝動性が強かったり、自閉スペクトラム症で思い通りにいかない出来事に強い怒りや不安を感じたりする場合、感情のコントロールが難しくなります。C君がADHDである場合、「ブランコで遊びたい!」という欲求や、「なんで僕ばかりを怒るの!?」という感情が先立ち、周囲や相手の状況を確認する前に手足が動いてしまいます。子どものADHDは、本人の意識や努力だけではコントロールが難しいものです。本人は決して悪気があってルールを破っているのではないのです。そんな中、周囲に責められ続け、問題児というネガティブなレッテルを張られることで、本人の自尊心や安心感は損なわれます。

⑤病気や障害が背景にあることも
かんしゃくがかなりひどく、原因に心当たりがない場合、何らかの病気や障害が背景にある可能性もあります。

・てんかん
・チック症
・反抗挑戦性障害
・強迫性障害
・子どものうつ病

子どもの場合、上記に挙げた病気や障害の症状が、かんしゃくや強いイライラ、という形で表れやすいです。周囲がどれほど工夫してもかんしゃくが改善しなければ、上記を含む病気や障害の可能性もふまえて、困ったら医療機関や発達の専門支援機関に相談してみましょう。

かんしゃくへの対処法

かんしゃくの理由が分からない内は、戸惑いや不安を覚えるとは思いますが、まずは周囲が落ち着くことです。そのうえで、その子の特性に合った対処を本人と共に探り、実践していくことが大切です。

①好きな刺激を増やし、嫌な刺激を減らす
発達障害の感覚過敏への対処として、その子が不快に感じる刺激をできる限り小さくする他、本人が好む刺激を与えることで、安心感を得られるようにしましょう。事例のA君の両親は、A君が安心できる子守歌の音楽CDを夜も流すことによって雑音をかき消し、心地よい聴覚刺激を与えました。また、触覚過敏が理由で抱っこを嫌がる場合は、触り心地の良い毛布越しに、その子を抱きしめてみましょう。肌が直接触れ合わないため、本人は苦痛を感じずに済み、安心感を持てます。

子どもがかんしゃくでジタバタと暴れる場合は、クールダウンできる場所へそっと誘いましょう。怪我防止のために、周りのモノを片づけ、毛布やクッションなどの防御をまとって本人に近づいてください。また、押入れや毛布トンネル等の暗くて狭い所や、ついたてやカーテン付きの遮断スペースにひきこもると、落ち着くケースも多いです。

②子どもが感情を表出できるようにする
発達障害に限らず、子どもはかんしゃくを起こすことよって、上手く表現できない気持ちを訴えます。そのため、かんしゃくを単なる問題行動と見なし、無闇に叱って止めるのではなく、本人が感情を吐き出せる時と場所を与えましょう。

子どもが話せる時は、本人の言葉に耳を傾けます。ただ、「どうして」「なんで」と質問しても、本人は上手く答えられないことが多いです。「何があったのかな?」、と状況や出来事を訊いてみてください。あいまいな質問が苦手な子どもの場合、「〇〇の出来事があって、それで不安になったのかな?」、とイエスかノーで答えやすい質問をしてください。子どもが自分の感情を言葉で伝えられるように、周囲は気持ちを受け止めることです。子どもの想いを聞けた後は、「なら、どうしたらよかったのかな」、と適切な方法を一緒に考えます。

言葉による意思疎通が難しい子どもの場合、㈰のように安全を確保したうえで、かんしゃくが治まるのを見守ります。さらに、その子がかんしゃくを起こす時・起こさない時の状況は何か、本人の行動パターンやかんしゃくの引き金は何なのか、観察してみてください。

③切り替えの呪文や工夫をする
切り替えの苦手な子どもに対しては、見通しを立てることで安心感を与えます。

・スケジュールや変更を予告しておく:一日のやるべきことやその流れを予め知っておくことで、予想と安心を立てやすくなります。変更があった場合は早い段階で伝え、その変更にどう対応すればいいのか具体的に伝えます(例:授業変更で4限は理科に変わった→変更を伝える+理科室に移動してね、とすべき行動も教える)。

・合言葉や合図を一緒に考える:作業中にいきなりストップをかけられると、頭が追い付かずに戸惑うこともあります。そのため、「残りは、あと5分だよ」、「あと3問解いたら、やめようか」、と具体的な数字で間を置いて伝えたり、タイマーを使ったりします。声かけだけでは頭に入ってこない、忘れてしまう場合は、絵図や時計などの視覚的ツールで分かりやすく伝える方法もあります。

・かんしゃくに代わる行動やサインを考える:クールダウンができる合図や行動を身に付けるようにします。怒った時は、深呼吸をする、落ち着ける呪文やフレーズを声に出す、別の場所へ移動するなどがあります。その子がしっくりくる合図と行動を、一緒に考えてみましょう。切り替えのための合図や方法を習慣にしていくことで、本人が自分をコントロールする力を身に付ける練習にも繋がります。

ちなみに、『※うちの火星人』に登場する発達障害のお子さんは、かんしゃくやケンカが起こった時に、家族が「たまごにな〜れ!」と呪文を唱えます。すると本人も、「(たまごに入るイメージで)よし、今は落ち着かせよう」、と切り替えがしやすいようです。※参考文献を参照。

④ルールと約束を具体的に決める
本人が、暗黙のルールやあいまいな指示を理解できずに戸惑っている場合、周囲は本人と一緒にルールや約束ごとを具体的に決めます。C君の例であれば、ブランコの順番待の列を指さし、「最後の列に並ぼうね」、と具体的な言葉で教えます。具体的な指示を伝えても、頭が抜けてしまう、耳から入る情報に弱い場合は、前述した視覚的ツールやこまめな声かけによって、具体的なルールを身に付けていける手伝いをします。

⑤好ましい行動は褒め、好ましくない行動は無視する
行動心理学の視点も考えると、子どもは自分の要求に応えてもらう手段として、かんしゃくを起こすこともあります。例えば、買い物の時に起こったかんしゃくを止めるために、根負けしてほしいものを買ってあげたとします。すると、かんしゃくを起こせば買ってくれる、と子どもは学習してしまいます。この場合のかんしゃくに対しては、無視することによって、かんしゃくが無意味な行動である、と学習してもらいます。さらに買い物の場合、買い物リストをあらかじめ作り、それ以外のものは買わない約束を交わすのも、一つの方法です。そして、子どもが好ましい行動を取った時は必ず褒めてあげることで、行動を強化するのが重要です。

まとめ

発達障害の子どもや赤ちゃんのかんしゃくについて、以下にまとめます。

かんしゃくの原因や背景
・感覚過敏によるストレスが高じた結果。
・言語発達の遅れやコミュニケーション障害のため、自分の気持ちを表現するのが苦手。
・見通しを立てることが苦手で、パニックになりやすいため。
・感情や衝動をコントロールすることが難しい。
・病気や障害によって起こっている場合。

かんしゃくへの対処
・かんしゃくを問題行動と見なし、無理して抑えつけない。
・感覚過敏の子どもが苦手な刺激を小さくし、安心できる刺激を与えるなどの環境調整。
・子どもの気持ちに耳を傾け、言葉にしていく作業に付き合う。
・切り替えがしやすくなる合図やサインを一緒に考える。
・具体的なルールや約束事を明確にする。
・絵図や時計、文字など、その子が自分を表現しやすい、相手の意図を理解しやすくする視覚的ツールを活用する。
・病気や障害によってかんしゃくが起きている可能性があれば、医療機関に相談する。

いかがでしたか。発達障害の子どもや赤ちゃんのかんしゃくは、本人も周りも苦しい思いをすることがあります。その子の発達特性を知ることに留まらず、本人のストレスとなる環境や対応などについても考えることです。

かんしゃくは、ただの問題行動ではありません。苦しい、怖い、辛い、といった気持ちを上手く表現できずにいる、その子なりの伝え方の一つです。

かんしゃくを改善することは、本人と家族などが安心して生活し、自己表現やストレスへの対処法を身に付けていくためのプロセス、として捉えることが大切です。

参考文献

・「かんしゃくとは(子ども)」ブリタニカ国際大百科事典(コトバンク)
https://kotobank.jp

・平岡禎之(2014)『うちの火星人・5人全員発達障がいの家族を守るための「取扱説明書」(マンガ)』光文社

・赤木和重・他(2009)『ホントのねがいをつかむ・自閉症児を育む教育実践』全障研

・テンプル・グランディン他(1994)『我、自閉症に生まれて』学研

・ドナ・ウィリアムズ(訳:門脇陽子・他)(2008)『ドナ・ウィリアムズの自閉症の豊かな世界』明石書店

・小笠原恵(2011)『うちの子、なんでできないの?親子を救う40のヒント』文藝春秋

・清水將之(2012)『子どもの精神医学ハンドブック第2版』日本評論社

ライタープロフィール
*Misumi*
*Misumi*

自閉スペクトラム症のグレーゾーンにある、一見ごく普通のネコ好きです。10代の頃は海外と日本を行き来していました。それもあいまってか、自分ワールドにふけるのが、ライフワークの一つになっています。好きなものはネコ、マンガ、やわらかいもの、甘いもの、文章を書くこと。最近は精神保健福祉士を目指しながらコミュニケーションを学び、今後の自分について模索する心の旅人。

  • HSPと、ともに。
  • 発達障がい〜神からの贈り物〜
  • 生きる!生きる!心の叫び
障害福祉サービス事業所を探す
ページの先頭へ