「HDMI」に代わるものを考えてあげよう
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ADHDの隠語として「HDMI」が使われており、本気で間違える人さえ現れたという話を以前しました。もしHDMI以外に選ばれるものがあるとしたら、それは何なのでしょうか。他の候補も挙げながら、ひとつひとつ説明していきましょう。
ADHD
「Attention-Deficit Hyperactivity Disorder」の略で、注意欠陥多動性障害とも呼ばれます。注意力が欠けたりあちこちに興味が分散したりして、特に学童期は落ち着きのなさを指摘されやすいです。ある当事者は「“やるべき事”の前に次々と別のものが割り込んでくる、整理されていない行列」と例えています。多動性(Hyperactivity)が比較的認められないADD(注意欠陥障害)という障害もあります。
HDMI
「High-Definition Multimedia Interface」の略で、高解像度の映像(ハイデフ)を音声と共に出せるようになる端子です。端子には原則オスとメスの概念がなく、映像と音声をまとめて入出力できるため利便性はかなり高く今日まで愛されています。ADHDの隠語として選ばれたのは、「HD」が共通しているためではないかと思われます。
MDMA
「MethyleneDioxyMethAmphetamine(メチレンジオキシメタンフェタミン)」を正式名称とし、「合成麻薬」の代表でもある違法薬物です。特にセロトニンが異常に放出され、親近感・高揚感・多幸感をもたらし、効果が切れると睡眠障害・食欲減退・記憶障害といった禁断症状が現れます。例に漏れず依存性もあり、用量が増えすぎると体温調節機能が乱れ、体温上昇からの肝不全・腎不全・心不全などを起こして最悪の場合死に至ります。
発達障害と違法ドラッグを同一視する露悪性から、隠語として選ぶならこちらではないかと思っていました。しかし日和ったのでしょうか、MDMAがADHDの隠語となることはありませんでした。ちなみに、MDMA自体の隠語には「エクスタシー」「モリー」「バツ」などが存在します。
ADSL
「Asymmetric Digital Subscriber Line」の略で、「非対称デジタル加入者線」とも訳されます。最初期のブロードバンド回線で、歴史的にはダイヤルアップと光ファイバーの橋渡しにあたる存在です。2000年代前半に爆発的な普及をし、日本中にインターネットの恩恵を広めました。現在はかなり古くなっており維持も困難なため、2020年代から通信各社が次々とサービス終了を決定しています。
SMBC
3大メガバンクの一角である三井住友銀行のことで、略さず言うと「Sumitomo Mitsui Banking Corporation」となります。日本語と英語の表記で入れ替わっているのは、三井と住友の対等性を示すほか、国際的には住友のほうが有名であるからといわれています。
FD3S
マツダが販売していたロータリースポーツクーペ「RX-7」の中で、「世界で美しい車ランキング100」にも選ばれた曲線美を特徴とする型式です。スポーツカーが出てくる漫画やゲームでは現在でもお馴染みの存在となっており有名です。
こうして並べてみると、隠語まで持ち出して揶揄したいのであれば素直に「MDMA」を持ち出せばいいのではないかと思ってしまいます。同じく合成麻薬の一種である「LSD」は、自閉スペクトラム症(ASD)の隠語を担うのでしょうか。ただ、ASDのほうは「アスペ」で済まされることが多いですし、LSDにも車の部品やランニング用語で同じ略称の言葉があるので、事情が違うと言えばそうなのかもしれません。
注意欠陥多動性障害(ADHD)