ベビーカーを押して気づいた、街の罠

暮らし

出典:Photo by Tim Mossholder on Unsplash

先日、高齢の母をともに愛犬を動物病院に連れていくときに、犬用のベビーカーのようなものを押して行ったのですが、その中で「バリアフリーってなんだろう?」と思ったことがありました。

普段は気づかなかった視点から見た点字ブロック

点字ブロックは、視覚障害者の方にとっては道しるべであり、命を守る大切なものでもあります。最近では音声によるガイダンスがされる場所も増えてきているので、トイレの場所などもわかりやすくなりましたね。

この大事な点字ブロックですが、わたしの母にとっては危険な存在でもありました。

わたしの母は「リウマチ性多発筋痛症」という病気を抱えており、手足が思うように動かないことがあります。80歳という高齢による筋力の低下もあり、点字ブロックのような小さな段差でもつまずいてしまうことがあるのです。

命を守るための点字ブロックが、命を危険にさらす可能性も秘めているというわけです。

それと同時に「車いすの方がここを通ったら、結構な振動を感じることになりそうだな」とも思いました。

もちろん「点字ブロックが悪い!撤去しろ!」といっているわけではなく、便利さの代償も多少は含んでいるのだと感じたのです。

現状の点字ブロックに成り代わるものが現れる可能性は低いかもしれませんが、車いすの方や歩行が困難な方が苦労せず、なおかつ視覚障害の方にもわかりやすいものが発明されると素敵ですね。

大通りより危険な住宅地

ベビーカーを押していて最も怖かった、危険だと感じたのが住宅地の道路でした。

大通りの歩道ではさほど感じなかった危険性ですが、住宅地に入るとそれが一変しました。

歩道と車道が分かれておらず、車が来るとうまく端に寄って避難しなければなりません。

ベビーカーを押しながら、足の不自由な母親とともに車から逃げるのはなかなかに怖く、緊張するものでした。

こういった場所では前述の点字ブロックもなく、視覚障害者の方は車の音を頼りに避難するしかありません。街のすべてに点字ブロックを設置するのは不可能ではありますが、何もないというのもまた悩ましい問題かと思います。

また余談ですが、昨今のハイブリッド車はすごく静かなので、接近していることがわからなかったのも少し恐怖しました。

誰もが住みよい未来を願って

わたしの母は杖や手押し車を使用して外出することがほとんどですが、いずれ遠くない未来に車いす生活になるだろうと思います。

そうなった際に備えて「母を連れていける場所はどこだろう?」「このルートは危険ではないだろうか?」と考えることが増えました。

公共施設にスロープがあることや、エレベーターがあることはとてもありがたく感じますが、その近隣の道路がずさんな工事によってデコボコだったりすると「また遠回りするのか」と少しがっかりすることも……

ハッキリとわかりやすいバリアフリー化でないと実績として評価されにくいのかもしれませんが、細かい部分にも気を配ってほしいなと少し感じました。

わたしは身体障害はなく、精神障害のみなので少し的外れな意見かもしれません。

歩行が困難でない人間がベビーカーを押すだけでこんなにも危険を感じるのだから、身体障害者の方の苦労は計り知れません。

日本のバリアフリー化がどのような進歩を遂げていくかはわかりませんが、全員が満足するような構造は厳しいんだなと感じた、動物病院の帰り道でした。


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新井 一生

新井 一生

社会人になってからパニック障害、統合失調症などを患った精神障害者。
精神病になってからも沢山の失敗を経験しながら、なんとか生きている。
好きなものはゲーム。

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