軽度知的障がい者がテーマのストーリー

Photo by Gracia Dharma on Unsplash

ここ数年テレビ番組や書籍などで「発達障がい」の話題が取り上げらることが多くなり、芸能人や著名人にも、発達障がいを公言する人が増えてきました。

にも関わらず、どこか「知的障がい」の影が薄いと私自身、長年感じていました。しかし、そんな知的障がいに関する書籍、ドラマがようやく近年話題になってきたのです。今回は「知的障がい」の「軽度」をテーマにしたものを紹介したいと思います。

みいちゃんと山田さん みいちゃんが死ぬまでの12ヶ月の話>

X(旧Twitter)で連載されている漫画で、主に夜の仕事をしている女性のリアルを描いてる作品です。

主人公のみいちゃんは中卒でキャバクラや風俗嬢をしており、おそらくですが「軽度知的障がい」の疑いがあります。誰とでも「性的関係」を持ってしまい、その理由として「それでしか、関わり方が分からない」 バカにされ見下されても「そのときは対等と感じられる」

さらに彼氏にドメスティックバイオレンス(DV)されていても、それが「嫌なこと」なのか分からないのです。

「漢字が読めない」「お金の計算ができない」「お店の商品を支払いもせず食べてしまう」「お客さんに本名を平気で教えてしまう」など、健常者には理解できない行動も見られます。

「軽度知的障がい」の私にも共通する部分が多々あり共感しながら、読んでいました。   

なぜみいちゃんは軽度知的障がい者なのか……

ストーリーが進につれて、みいちゃんの両親は兄弟という事実も判明しました。「近親相姦」は現代では禁忌と常識化されていますが、法的に罰せられることはありません。しかし「やってはいけない行為」としてうやむやにされてきました。

しかし、なぜこれまでうやむやにされてきたのでしょうか……

生物学的理由としては、血が濃くなり遺伝子の多様性を獲得できず、病弱だったり、障がいのある子どもができる可能性が高まるといわれているのです。しかし、聖徳太子が近親婚で産まれた子という事実もあるぐらいなので、あくまでもこれは「可能性」であり、絶対ではありません。

私は「軽度知的障がいの女性」が「性的搾取」されるよくある展開を想像していたので、踏み込んだ内容に正直驚きました。ネット上でも意外な展開に、盛り上がりをみせていました。

「みいちゃんと山田さん」という作品は、このコラムの執筆中には、まだ完結していません。しかしサブタイトルが主人公である、みいちゃんの死を連想しているので、悲しい結末が予想されます。  

初恋ざらり

Xで話題になった漫画で、ドラマにもなりました。

「軽度知的障がい」と「自閉症」を持ち、支援学校を卒業した20代女性の有紗(ありさ)が「健常者」の男性に初恋をするというストーリーです。この作品も「軽度知的障がい」の生きづらさがかなりリアルに描かれています。「みいちゃんと山田さん」と共通している部分も多く、誰とでも性的関係を持ってしまい「コレでしか役に立てない」と自分の自信のなさを語っていました。

配送のアルバイトでも「とにかく役に立たなきゃ!」と荷物をたくさん運ぼうと無理をし、商品を落として壊してしまい、パートさんから白い目で見られてしまいます。

しかし、深く関わることのない社員からは、問題なくできているように見えたのか、難しい仕事を頼まれて、会社に大損害を与えてしまったり……と自分と重なることが多すぎて、胸が苦しくなりました。 

思わず応援したくなる有紗の初恋

有紗は念願叶って、好きな人と両想いになっても「障がいを打ち明けるのかどうか……」ひたすら悩んでいました。一緒に住むようになっても「役に立たなきゃ!」と頑張りすぎてしまい、ついに心が折れてしまいます。

彼の両親との食事の際も、お箸の持ち方や魚の食べ方が汚くて、相手の両親を困惑させてしまいます。

恋愛でもかなり自分と重なる場面が多く、作者が「発達障がい」なのもあり、とてもリアリティーを感じられました。

有紗の心情をとても丁寧に描いていて、読者も思わず有紗を応援していたのです。ですが、ドラマ化されたとき役者さんの演技がとてもリアルだったのも関係したのか「気持ち悪い……」という意見もありました。

比較

2つの作品を比較してみると、とても似ている部分もありましたが学歴や仕事、性格など違っているところも、たくさんありました。

おそらくみいちゃんのほうが、障がいが重く、自分の感情に鈍感のように思われます。「知的障がい」があるんじゃないかと、指摘されたときも、とても怒っていました。

一方、有紗は物事を複雑に考えるタイプで「普通になりたい」と「健常者」と比較していつも苦しんでいました。

「軽度知的障がい」といっても十人十色だと感じます。

共感

私自信を主人公たちと比較すると、有紗に似ていると思います。「自閉症」はなくIQも有紗より低いですが、考え方のクセが同じです。

「頑張らなきゃ」「役に立ちたい」「迷惑掛けたくない」「普通になりたい」常に私が考えていることでした。

また、難しい仕事を断れず失敗してしまったり、不器用なのでお箸も上手く使えない、そして魚の食べ方で友だちをドン引きさせてしまったこと、など行動もおかしいほど似ていたのです。  

私が伝えたいこと

「知的障がい者」といっても「軽度」だと見た目では気づきにくいです。また、少し会話をした程度でも、分かりづらいと思います。

さらに、本人もカミングアウトしづらいのもあり、やっと勇気を出して打ち明けても、伝えるのも苦手なので誤解されやすいのです。

そんな誰にも気づかれない「軽度知的障がい者」に焦点を当てていて、テレビやSNSに発信してくれるのは、とてもありがたいことでした。

よくある感動ものではない、正直に伝えようとしている気持ちが、両方の作品から伝わってきました。

この先もっとこういった作品が広まり、知ってもらえるきっかけが増えればいいな、と思います。  

ねこまんま

ねこまんま

知的障がい者ですが大卒で地下アイドルをしていました。現在も配信で音楽活動をしています。見た目では理解されにくい軽度知的障がい者や福祉の支援を受けることが困難な境界知能の人でも夢を持っていきいきと過ごせる社会になればと願っています。

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