「障害者」の表記は改めるべき?〜歴史や海外の例から考える

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法律では「障害」と表記されていて、この呼称が一般的に多く用いられています。最近は「害」という漢字ではなく「障がい」という表記もよく見られるようになりました。「障害」の表記や呼称については、いろんな意見があります。そこで、今回は「障害」の表記について、歴史や海外の表記例から考えてみたいと思います。

「障害者」の表記・呼称の日本での歴史

「障害」という表記は江戸時代末期からに使われるようになったと考えられています。それ以前には「障碍」という表記が存在し、「しょうげ」と読まれていました。「悪魔、怨霊が邪魔すること。物事の妨げになること」という意味で用いられていたのです。

明治には「障碍」を「しょうがい」と読むようになり、大正には「障碍」より「障害」のほうが一般的に使われるようになりました。1949年の身体障害者福祉法の制定を機に、当用漢字の制限や国語審議会により「障害」のみを採用することになり「障害者」という表記が一般的になりました。 近年は後に解説する理由により、地方公共団体や大手企業などを中心に「障がい者」という表記の使用が広がってきています。

表記に対する主な意見

「障害者」

肯定意見:社会モデルの観点から「障害」がふさわしい。広く普及している。変更してもいずれ、同じ議論を繰返す。問題は表記ではない。
否定意見:「害」の文字のイメージが悪い。「害」の文字から障害当事者が「他人を害する」ように捉えられかねない。

「障がい者」

肯定意見:「害」の漢字に否定的なイメージが強い。表現が柔らかい。
否定意見:過度な言葉狩りである。日本語として不自然。表意文字である漢字をひらがなにすることにより、意味が通じなくなり誤解される恐れがある。

「障碍者」

肯定意見:「碍」は「壁」という意味。当用漢字ではないという理由で意味の違う漢字「害」が充てられているのが問題。漢字圏では「障碍(礙)」が使用されている。
否定意見:仏教の「障礙」に由来する。変更しても根本的解決にはならない。

海外での表記例

①中国などの漢字圏

「障碍(障礙)」が使用されています。また「残疾人」が使用されることがありますが、差別的な意味合いを含むということで批判的な意見もあります。

②英語圏

アメリカでは「Disability」が一般的に使われています。イギリスでは「disable person」と呼ばれることが多いようです。

最近では、「person with a disability」、「persons with disability」、 「people with disabilities」という表記をアメリカの障害者とジャーナリズムに関する全国センター(NCDJ)が提唱しています。「個性(個別的属性)としての障害」という考えに基づいています。「障害」よりも前に「人」を置くことがモラル的に正しいとしています。

また「The Challenged」という表現も使われはじめていて、アメリカ英語の「challenged」が語源と言われています。「障害」をポジティブに捉え、「挑戦するという課題や使命、資格を与えられた者」「より重い荷物を背負わされ、それらに立ち向かう力のある者」という意味です。

「handicap」「handicaped」「the handicaped」のように日本で使用されることのある「ハンディキャップ/ハンデ」は英語圏でも使用される言葉ですが、語源的に「物乞いをする人が手に帽子を乗せている(hand in cap)」状態を指すとも言われており、使用頻度は減っています。

当事者である障害者本人またはその家族には「障害者」「障がい者」「障碍者」などの表記にこだわりはあまりないという意見も多くあります。また、このような議論自体が単なる「言葉狩り」であり、不快感を感じるという意見もあります。表記を変更するにしても、否定的または差別的なイメージが付けば、同じ議論を繰返すことになってしまいます。表記の問題も大切ですが、その前に障害者を取り巻く社会的状況を改善していくことが重要ではないでしょうか。

障害者ドットコムニュース編集部

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「福祉をもっとわかりやすく!使いやすく!楽しく!」をモットーに、障害・病気をもつ方の仕事や暮らしに関する最新ニュースやコラムなどを発信していきます。
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