田中ビネー知能検査とは?どんな検査するの?
暮らし知能検査には、田中ビネー知能検査、ウェクスラー式知能検査、K-ABC心理・教育アセスメントバッテリー、新版K式発達検査などいくつか種類があります。発達障害の検査を受けたことがある方はご存知かもしれません。ここでは、田中ビネー知能検査について解説していきます。
田中ビネー知能検査とは?
日本で使用されている心理検査で、フランスの心理学者ビネーによって考案された知能検査を日本人向けに改良されたものです。心理学者の田中寛一が1947年に発表し、現在までに5回の改訂があり、現行使用しているものは「田中ビネー知能検査V」となります。
そもそも心理検査とは、知的能力や性格の傾向を客観的に調べるもので、知能検査、発達検査、人格検査があります。
では、知能検査とは何でしょうか?理解力、知識、解決力など認知能力を測る検査で、どのような点に個人の特性が現れるのか、知能や発達の度合いを客観的に測定するものです。知能検査での測定結果は知能指数(IQ)を指標とする場合が多いですが、精神年齢や知能偏差値も加味して測定が行われます。
ビネーが考えた知能とは、個々の能力を寄せ集めたものではなく、記憶力、推理力、識別力などの基礎となる「一般知能」があり、ビネーの考案した知能検査法では、この一般知能を測定していると言われています。
田中ビネー知能検査の良いところは、ビネー法に基づいた多角的な総合検査を用いており、「年齢尺度」が使用されているところです。検査の問題に年齢的な基準が設けられており、同年代と比べて、どれだけ発達しているか、または遅れているかが判断しやすい仕組みになっています。
田中ビネー知能検査方法は?
対象年齢:2歳から成人
所要時間:60〜90分
問題:113問 「思考」「言語」「記憶」「数量」「知覚」などの内容で構成
区分:1〜13歳、成人(14歳以上)
検査方法:個別式知能検査(検査者と受検者の1対1で行う検査)
2歳〜13歳:精神年齢(MA:Mental Age)と生活年齢(CA:Chronological Age)から知能指数を算出、発達状態の度合いをみる「発達チェック」がある
成人(14歳以上):精神年齢は算出せず、「偏差知能指数(DIQ:Deviant Intelligence Quotient)」を使用。「結晶性」「流動性」「記憶」「論理推理」の4つの領域で評価する。
参考までに、知能指数(IQ:Intelligence Quotient)とは、実年齢(生活年齢CA)に対して、精神年齢(MA)の程度(発達の度合い)を示しています。
知能指数IQ =「精神年齢MA」÷「生活年齢CA」×100
偏差知能指数(DIQ)とは、同じ年齢集団の平均を100とした時、どれくらいのレベルであるかを示しています。
偏差知能指数 = 100 + 15×(「(各個人の点数 – 同年齢集団の平均点)」÷「同年齢集団の標準偏差」)
検査手順:2歳〜13歳の場合、実年齢と同じ問題から始めます。1つでも間違う問題があれば、下の年齢の問題を解き、全問正解する年齢までの問題を行います。(下限の特定)
次に、全問正解すると上の年齢の問題に進み、全問不正解になり年齢まで問題を解いていきます。13歳の問題を1問でも正解した場合は、成人の問題に進みます。(上限の特定)原則、各年齢の問題順に解いていきますが、14歳以上の場合、成人の問題を全て行い、下の年齢に下がることはありません。
2歳〜13歳の子どもにおいては、下限と上限を調べることで、精神年齢(MA)が算出され、生活年齢(CA)との比較し、知能指数(IQ)が算出されるようになっています。
判定基準は、以下の通りとなります。
知能指数(IQ)の判定、平均を100とした時
健常領域:80以上
知的境界領域:71〜79
軽度知的障害:51〜70
中度知的障害:36〜50
重度知的障害:21〜35
最重度知的障害:20以下
検査結果の数値は目安です。この指標以外にも、育ってきた環境などバックグラウンドも視野に入れて、判断してもらってください。
知能検査を受けたいと思ったら?
田中ビネー知能検査に限らず他の知能検査を受ける際にも、まず地域にある相談窓口に相談してみてください。
【子どもの場合】
保健センター、子育て支援センター、児童相談所、発達障害者支援センターなど
【大人の場合】
発達障害者支援センター、障害者就業・生活支援センター、相談支援事業所など
お住まいの近くに相談機関がない場合には、電話で相談ができる場合もあります。
田中ビネー知能検査について、詳しくみてきました。この検査の優れている点は、年齢層の幅が広く、実施方法もわりと簡単であるため、受けやすい検査となっています。知能検査は、
発達の度合いを測り、発達や学習の支援などに役立てられます。
知能や発達の検査方法がいくつかあるのは、目的によって使い分けられているからです。検査を受ける際には、専門機関に相談して、自分にあった検査を受けていただきたいと思います。