小池都知事が一日民生委員として周知活動に参加
ニュース「民生委員・児童委員の日」である5月12日、周知活動の一環として新宿通りでパレードが行われました。パレードには小池百合子東京都知事も「一日民生委員」として参加し、約1,500人の民生委員と共に新宿を練り歩きました。
今年12月の一斉改選を控え、懸念されているのが担い手不足と委員の高齢化です。運営母体である全民児連のネット調査によれば、20代までの若い世代が興味を示す一方で活動内容についてはほとんど知られておらず、ミスマッチによる次期改選への影響をどう抑えるかが問題となることでしょう。
小池知事は「虐待防止」を焦点に
小池知事がパレード前に行ったスピーチによれば、「都の児童虐待防止条例を正しく施行できるよう、民生委員による子どもを守る働きには期待している。」と、民生委員による児童虐待の早期発見や予防について期待を寄せていました。
民生委員の数ある働きの中でも「虐待防止」に焦点が当たった形となります。千葉の虐待死などもありましたので、より重要な位置づけとなってくることは疑いありません。ただ、民生委員の役割としてはかなり高度な部類になるでしょう。
そもそも民生委員とは
民生委員の役割は、一人暮らしの高齢者や障害者・ひとり親世帯を対象に訪問や電話を行い、時に生活相談も受けることです。超高齢化・核家族化・地域コミュニティーの希薄化によって相談先が制限されている昨今、民生委員の重要性は増しています。それとは裏腹に委員の高齢化や担い手不足が問題視されており、100年を超える歴史に暗雲がたちこめていることもまた事実です。
相談する人がいない孤独さは虐待の一因でもあります。多少専門性に欠けていようとも民生委員という相談先が知られているだけで、保護者にとって心強い存在として認知されることでしょう。虐待防止にフォーカスした小池知事のスピーチはかなり的を射ています。
ボランティアであることの障壁
民生委員は厚生労働省委嘱の非常勤公務員として定義されていますが、ボランティアでもあります。というよりも、完全にボランティアです。交通費程度の手当ては出ますが、ボランティアなので無報酬です。
民生委員の重要性こそ増しているものの、ボランティアに多大な責任を背負わせるのはリスキーです。秘密を暴露されるなどのトラブルも皆無ではないのです。さすがに守秘義務程度は守るべきですが。
ボランティアに報酬はありません。すなわち、お金をもらうプロと同じだけの責任感を求めるのは多少の無理があろうと思われます。パレード後に寺田晃弘会長が「民生委員は単なるボランティアでなく、国から委嘱されたもの。使命感を持って、より多くの人に参加してもらいたい。」と述べられましたが、国が後ろ盾といえども無償は無償だと思います。
人として守るべき責任(守秘義務など)は果たすものですが、無償のボランティアに対しプロ並みの責任を求めていないかどうかは精査していったほうがいいでしょう。
まとめ
周知活動の一環として行われた民生委員のパレードに、一日民生委員として出席した小池都知事。虐待防止策の一端として、民生活動が持つ役割に注目していました。
人員確保が苦しくなってきた民生委員にとって、12日からの1週間は周知活動に注力されます。活動を知ってもらう事で、民生委員になった後のミスマッチ感を抑えるのは大事でしょう。
しかし、厚生労働省に委嘱されたとはいえ無償のボランティアです。モチベーションや責任感を高めるのは難しいかもしれません。おまけに今後生活相談のレベルも上がってくるかと思います。