自分が障がい者だと受け入れるまで
統合失調症私は自分が精神障がい者だと受け入れるまでには約20年くらいかかりました。幻覚も妄想もすべて現実の出来事だと思い込んでいました。意識が完全にふれてしまって家族に強制的に入院させられることが度々ありました。
恥ずかしいこと
当時、私も家族も精神病院に入院するなんて恥ずかしいことと思っていました。特に母は世間体が悪いと、必死で隠していました。友達にも少しだけ精神的に弱っている程度には話はしますが詳しいことは隠していました。何だか自分が嘘つきになったような気がして嫌でした。後に、自分が障がい者であることをオープンにするようになって気付いたのですが、世間体を気にしていたこと自体が自分にとってストレスとなり、症状を悪化させていたと思います。
障がいをオープンにするという考え方
約20年ほど前、カナダ旅行中に精神状態が悪くなり、現地で入院してしまいました。その病院のスタッフから聞いたのですが、カナダでは自分が精神障がい者であるということをオープンにする人が多いそうです。同じ病棟に入院中のカナダ人女性の病室に、彼女のボーイフレンドがよくお見舞いに来ていました。2人が明るく過ごしていたことが強く印象に残っています。その彼は彼女に偏見があるようには見えませんでした。2人は仲むつまじく楽しそうに話をしていて、時折私にも話しかけてくれました。自分も彼女の様に障がいのことをオープンにできたらいいなと思いました。
障害年金の申請
日本に帰国してから、姉が障害年金の申請を勧めてくれましたが、障がい者というレッテルを貼られるような気がして、その時は申請しませんでした。自分の中での自分に対する偏見にとらわれていました。姉は「私の職場でも精神障がいの人はいて時々、入院する為に仕事を休んでいるよ。それに最近はどの会社も精神障がいの人も多いよ」といってくれました。その言葉を聞いて障害年金の申請をする気になりました。それでもまだ自分の中に障がい者であることに対して偏見がありました。
簡単に消えた自分の中のこだわり
今から約2年ほど前に症状が悪化して、再び入院してしまいました。そのとき同室だった女性と仲良くなり、彼女の助言や、彼女の身の上話などを聴きました。彼女は自分と似ているところがあったり、似ている経験をしていたり、私は「自分だけじゃないんだ、この人も同じ経験をしているんだ」と思いました。他の部屋の入院患者さんにも、ご自身の障がいについて聞いてみました。何人かの話を聞いてみて私自身、身も心も軽くなりました。他人の経験を聞くというちょっとしたきっかけで、何だか一気に妄想が消えていき、自分の障がいに対する偏見が消えていき、肩が軽くなったことを今も覚えています。「後悔先に立たず」といいますが、もっと早く自分の中の障がいに対するの偏見がなくなっていたら、私の人生も変わっていたかもしれません。障がいがよくならない一番の原因は、自分自身に対する偏見だったことに気付かされました。
まとめ
今では、自分が精神障がい者であることが恥ずかしいことだとは思っていません。以前より精神的に強くなった気がします。友人や知り合いに対しても平気で自分の障がいの話ができます。私の失った20年を、せめて半分の10年間だけでも取り返そうと思い、毎日を過ごしています。