先日、朝の情報番組では珍しく「女性のADHD」についての特集をしていました。ですが、「しかし」いうか「やはり」というか、全体的な構成は良く見かけるADHD関連の書籍をなぞったような内容でした。何も知らない人には最初から説明するのが親切だし間違ってはいません。ただ、説明が足りないというか、違和感が拭えない。はっきり言うと「気分が悪かった」が率直な感想です。

今回紹介されていた当事者は、以前教職に就いていたものの、書類などの提出期限が間に合わないことが多く、生徒の親や同僚から信頼を失い、鬱病になってしまい退職した経緯を持っています。気になったのは、彼女の境遇よりも先に、散らかり放題の部屋の中、コンビニ弁当を食べるという構図を映し、「何があったのか」より「だらしない現状」を強調しているように感じました。

また、やはりと言うか犯罪についての話題が取り上げられ、今回は当事者である女性の受刑者へのインタビューがありましたが、短時間での紹介だから省かなければならないこともあるかもしれません。しかし、発達障害関連の特集をするとお決まりのように犯罪が絡んだ話題を取り上げてきます。観た人に残るのは発達障害者=犯罪者の簡略化された図式。複雑な背景が印象に残る人は少ないだろうと思います。

特集の最後、少しだけ女性の発達障害者向けの自助会を紹介してましたが、正直こちらの紹介をメインにした方が良かったと感じました。発達関連のイベント、施設は表立って宣伝されることが少ないので、特に地方の自助会やお店の情報はとても有りがたいのです。

本当に犯罪を侵した当事者は無理に取り上げずそっとしてあげてください。発達障害者に限りませんが、悪意を持った人に運悪く出会わなければしっかり更生して社会復帰出来るのです。

当事者ゆえの甘い評価かもしれませんが、発達障害関連の特集は一貫して目に見えない隔たりを感じます。今回は犯罪がメインじゃないだけマシなものの、感覚の違いから認識がずれるのか「そうじゃない」という内容に溢れています。少なくとも今回観た特集からはネガティブなイメージしか感じませんでした。

「発達障害者は不幸だ」「発達障害者は役に立たない」「発達障害者は周りに迷惑をかける」
ゆえに「発達障害者は社会で働くべきではない」というメッセージを感じたのは大げさかもしれません。

個人的な意見ですが、発達障害者は不幸とは限らない、ダメ人間でもない。ましてや必ず犯罪者になる、なんて健常者も当事者も絶対に思わないで下さい。あくまでも環境が悪かったため、運や間が悪かったために成長の機会を奪われただけで、ADHDでもやり方さえ分かればきれいな部屋を保てる、計画を立てればご飯の献立も考えられる、忘れない工夫で期限も覚えていられる・・・特性と対策を立てる機会を運よく得ることが出来れば、結果的に発達障害者も「ちゃんと」は出来るんです。

叶うならば、社会に復帰するために頑張っている当事者の特集をして欲しいです。特性理解と対策、職業スキル習得など、努力を地道に積み重ね、希望に叶う就職先で働く姿。もしくは、希望に添えなくてもそれをどうやって対策していくのか、前向きに模索していくような、発達障害者が未来への希望を感じさせる内容の特集を作ってくれたら、もう少しポジティブな印象を持ってもらえるのではと、思います。