障害者はオリンピックに出場できる?公平を保つ難しさ
スポーツリオオリンピックでは、日本は金メダル12個をはじめ、史上最多の41個のメダルを獲得して大きな盛り上がりを見せました。そして、9月7日からはパラリンピックが開催されます。
オリンピックは健常者だけの、パラリンピックは障害者だけのものと思われがちですが、オリンピックにも障害者の出場実績があります。ここでは例を2人ご紹介します。
オスカー・ピストリウス
オスカー・ピストリウスは陸上の南アフリカ代表として、2012年のロンドンオリンピックに400メートル走とリレーで出場しました。彼は生まれつき膝から足首の間にある腓骨と呼ばれる骨がなく、生後11カ月で膝から下を切断しました。
子どものころから義足をつけ様々なスポーツに挑戦し、陸上選手として2004年のアテネパラリンピックに出場、2008年の北京パラリンピックでは100、200、400メートル走の3種目で金メダルを獲得しました。2011年には健常者とともに韓国での世界陸上に出場し、400メートル走で準決勝まで進みました。
そして、ロンドンオリンピックに出場し、400メートル走で準決勝まで進出、リレーの決勝で8位という結果を残しました。
ナタリア・パルティカ
ナタリア・パルティカは卓球のポーランド代表として、2008年の北京オリンピック、2012年のロンドンオリンピック、そして開催中のリオオリンピックにも出場しました。
彼女は生まれつき右ひじから先がありませんでした。姉の影響で卓球を始め、健常者の大会にも参加していました。パラリンピックではアテネ、北京、ロンドンオリンピックではシングルスで3大会連続の金メダルを獲得しました。
そして、北京オリンピックでは女子団体に出場、ロンドンオリンピックでは団体とシングルスに出場し、シングルスで一勝を上げました。リオオリンピックには女子団体で出場し、第一ラウンドで日本と対戦しました。
健常者より障害者の方が有利?
今回のリオオリンピックでは、ドイツのマルクス・レーム選手が出場を断念する事件がありました。
マルクス・レームはウェイクボードの練習中に事故に遭い、右足の膝から下を切断しました。その後、義足で走り幅跳びを始め、昨年の障害者世界陸上で8m40cmという記録を残しました。この記録はロンドンオリンピックで金メダルを獲得した記録を上回るものでした。
彼はリオオリンピックへの出場を希望しましたが、国際陸上競技連盟は出場の条件として、義足を使うことが他の選手に対して優位ではないことを科学的に証明することを要求しました。優位ではないことを証明するためのデータを今年の5月に提出しましたが、国際陸上競技連盟は6月に証明が不十分であるとして結論を持ち越していましたが、結果、レーム自ら希望を取り下げることになりました。
これから先、ルール改定や科学的な証明が進んで、健常者と障害者が何のわだかまりもなく同じステージで活躍できるようになるといいですね。