新型コロナウイルスで崩壊の危機にある福祉業界~福祉崩壊を防ぐために
その他の障害・病気 暮らし出典:Photo by Stephen Mayes on Unsplash
新型コロナウイルスで休業自粛の波が福祉施設にも影響を与えています。障害者施設や福祉施設では、新型コロナウイルスで政府から言われている「3密」を避けることが困難です。必要な物資や人手不足などが重なり、利用者も逼迫した状況になっている現状を知って欲しいという、介護現場から悲鳴のようなSOSが出ています。
「3密」を避けるのが難しい福祉の状況
新型コロナウイルスでの感染拡大を受けて、訪問介護を運営する複数の事業者が連名で政府に「危険手当」を要望しました。
もともと介護の現場では、接触をしなければ出来ない仕事のため、新型コロナウイルスの感染リスクが高い「3密」の状況を避けるのが難しいです。
介護施設や福祉施設での新型コロナウイルスのクラスターが発生しやすい状況では、利用者と濃厚接触するホームヘルパーは、常に感染リスクを抱えながら介護現場で働いています。
以前から、高齢者介護の必要性が高まる一方、人手の確保や施設運営の維持さえ難しいケースが起きていました。その上、新型コロナウイルス影響で、現場の介護スタッフへの負担も大きくなっています。マスクや防護服などの感染防護具が不足する中、感染防御の知識に乏しい介護スタッフも現場に立たざるをえない状況です。家庭内感染の不安から職員が出勤できない施設もあります。災害発生時にはこれまで、施設同士で助け合って職員の応援を呼べたものの、今回は感染リスクから、介護施設や都道府県をまたいでの移動は自粛要請で出来ないのです。
自治体や保健所に訪問介護事業者への感染予防や感染対策への具体的な指示、支援体制の強化を求めています。特に訪問型ホームヘルパーは、1人で利用者宅を訪問して業務をこなすことが多いため、ホームヘルパー自身の感染症に対する理解が重要です。また、介護現場や障害者施設で不足しているマスクやアルコール消毒液、防護服など、安全に介護をするうえで欠かせない必要物な物資の優先支給を要望しています。
介護福祉職の現状とは?
もともと介護職員の待遇は、現場で働く人が満足するレベルに至っていません。現役介護職員を対象に調査したアンケート結果でも、「もっと働きやすくなるためには給与の引き上げと待遇の改善が必要だ」との回答が67%にも上がりました。
現場では職種によって、給与や勤務体制に待遇の格差が広がっていることも問題となっています。同じ介護現場で働いていても、訪問系管理者や通所系管理者といった一部の国家資格を持っている職種は、介護職の全体平均年収350万円を上回っていますが、訪問介護や通所介護の職員に限れば、それぞれ平均280万前後と平均年収に届いていません。介護現場で働くホームヘルパーの間では、給料や福利厚生などの待遇面で不満が以前からありました。
そのため、退職する職員も後を絶ちません。福祉施設へのアンケート調査でも、福祉施設の66%が深刻な人手不足であると回答。とりわけ訪問介護員の不足を感じている事業所は82%にも上っています。新型コロナウイルスで医療従事者に支援金を配る動きが出てきていますが、同じリスクを抱えている福祉業界にも、手が回っていないのが現状です。
医療崩壊ならぬ介護崩壊が迫っている
緊急事態宣言から7都府県で249の介護事業所が自主休業をしています。そのほとんどが訪問介護やデイサービスです。
そのうえで、通所介護をはじめとする介護サービスの事業所は利用者や収入が減っており、事業所への補助がなければ連鎖的に事業所が閉鎖され、医療崩壊ではなく福祉崩壊すら懸念されるような事態です。介護サービス事業所で働く人材と経営の両方に対して、専門家が必要とされている。新型コロナウイルスで必要な物資が後回しにされていると指摘しています。
医療現場の逼迫は、メディアでよく報道されていますが、福祉施設の状況を報道しているメディアが少ないように思えます。医療崩壊ならぬ福祉崩壊にも真剣に考えなければいけない現実に一人でも多くの方に気づいていただければ幸いです。
【NHK7都府県で249の介護事業所が自主休業 介護崩壊の懸念も】
https://www.nhk.or.jp/
【みんなの介護第857回 訪問介護、政府に危険手当を要望!介護崩壊を食いとめるにはヘルパーに手厚い支援を】
https://www.minnanokaigo.com/