緊急事態宣言解除後の「アフターコロナうつ」「荷おろしうつ」に注意
うつ病 暮らし出典: Photo by Adam Nieścioruk on Unsplash
過去に前例のない緊急事態宣言で経験のない長期自粛生活がもたらす「アフターコロナうつ」に専門家が警鐘を鳴らしています。SNSでは、「ようやく、在宅ワークに慣れてきたので、以前の生活に戻りたくない」「家で仕事できるのだから、このまま在宅勤務を続けさせてほしい」という声も上がっています。アフターコロナうつとは何か考察します。
アフターコロナうつとは?
東邦大学医療センターの小山文彦教授は、「アフターコロナうつ」と呼ばれる、長い休み明けでみられる動悸や、頭痛、不眠といった五月病に似た「適応障害」が起きるのではないかと、警告を発しています。
全国的に緊急事態宣言が解除されました。緊急事態宣言が出て自粛しているときは「自粛が終わったらどこかに出かけて遊びに行きたい」と思っていたのに、緊急事態宣言が解除されても、「なんだか、やる気が出ない」という状態の人も多いのではないでしょうか?
このような状態を「アフターコロナうつ」といいます。そこで皆さんに伝えたいのは、適応障害というのは誰にでも起こる可能性があることを知ることが大事です。気持ちうつというやや病的な状態で、自分の仕事を辞めるなど大きな決断を早めてしまい、取り返しがつかない状態になることが危惧されています。
緊張感が緩むことで生じる「荷おろしうつ病」とは?
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う国の緊急事態宣言がほぼ解除され、日常生活が徐々に戻りつつあります。解除後にそれまでの緊張感が緩むことで懸念されたのが、精神的重荷から解放された時に生じやすい、うつ状態「荷おろしうつ病」の増加です。
「荷おろしうつ病」とは?
「荷おろしうつ病」の症状はうつ病と同様で、抑うつ状態、睡眠障害、食欲の減退などがあります。一般的に、全力を注いで大仕事をやり遂げた後、燃え尽きたような状態になると発症しやすいと言われています。
今回の緊急事態宣言で、多くの人は感染しないよう外出を自粛するなど、不安とストレスを感じながら2カ月以上生活してきました。緊急事態宣言が解除されて生活が落ち着き、緊張の糸が切れれば、「荷おろしうつ病」が発生しやすくなるのです。
また、緊急事態宣言の解除後、一般的なうつ病の要因となる新たなストレスも心配されます。
解除前は、大半の人が、「自粛しなければ」という気持ちがあり、外出自粛などに取り組みました。しかし、解除後は自分と他者との差が気になり始めます。例えば、休業や自粛で収入の減った人が、影響のなかった人を見ると、自分が不利な状況にあると感じてストレスが溜まります。このストレスが「うつ病」の原因になるのです。
過去の事例では、災害直後よりも、何カ月が過ぎて、生活の見通しが付く人と付かない人となどの、他人との差が見えてきた時、不利な状況にある人が精神的にダメージを多く受けていたようです。
「アフターコロナうつ」を防ぐために
具体的な予防策は?
過度に情報を入手しすぎないことはとても大切です。テレビなどでネガティブな情報を集めすぎると不安感が増すだけです。情報は国や自治体などの信頼できるサイトを1日2回だけ確認するといったマイルールを設けた方がいいでしょう。
次に、体を動かすことも重要です。散歩や運動などの適度な刺激が、落ち込んだ気分の改善に繋がります。
病気の予兆を感じたら?
人とコミュニケーションを取ることが一番の対策になります。コミュニケーションは孤独感を解消するだけではなく、心を健康に近づける働きもあります。また、掃除や断捨離も効果的です。これらをやろうと決意すると、頭を集中させて体を動かすので、脳の活性化に繋がります。また、部屋がきれいになることで抱く達成感も、心の健康に安定をもたらすでしょう。
終わりに
普段と比べて、不安や緊張が強い、気分が落ち着かない、疲れやすい、眠れない、めまいなど体の変化や、考えがまとまらない、記憶力が低下するなどの考え方の変化が予兆と思われます。心の変調を感じたら、まずは近所の保健所などに相談してから、病院などに通ってみてはいかがでしょうか?
参考文献
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