就労の苦労と障碍者への無理解
発達障害 仕事出典:Photo by TAHA AJMI on Unsplash
四年制大学を卒業して大手パチンコ業界へ就職しました。そこ体験した苦労と、障碍への無理解についてお話しようと思います。
就職してから数か月が経過して、優しかった上司の態度が徐々に硬化してきました。パチンコ店には、複雑な機械がたくさんあり、その配線や接続操作を覚えるのが難しく、同じ注意を何回も繰り返されたのが原因です。
心身のストレスが溜まっていき、クリニックに行くと「自閉症スペクトラムと注意欠如多動症」だと診断が下りました。
注意欠如多動症と自閉症スペクトラムについて
注意欠如多動症は、「自分の感情をコントロールする」「物事に集中する」「他人の表情から感情を理解する」などがうまくできない障碍です。これは生まれつきの行動や思考の特性であり、個性や性格に近いともされます。特に注意が散漫になり長時間集中できなかったり忘れ物が多く、成人になるとワーキングメモリの欠如等で仕事が覚えにくく同じようなミスを繰り返してしまうことがあります。
自閉症スペクトラムは、「物事についての拘り」や「対人コミュニュケーション力の欠如」により仕事や日常生活に大きな支障をきたす障碍です。特に社会の中の暗黙のルールや挨拶、礼儀が解らないことが多く、本人の悪気が無くても無礼な人や非常識な人に思われるケースもあります。また、自分が興味あるものは他人も興味あると思い熱心に語ったりもします。
障碍を理解しない会社
障碍の診断が下ってから意を決して、会社に障碍を開示することにしました。開示をすればもう少し働きやすい環境になるという淡い期待を抱きましたが、すぐに失望へと変わりました。
障碍を開示して開口一番に言われたのが「君の月給下がるよ」でした。元々そのことは覚悟はしていましたが、店の売り上げのことしか考えていない発言に唖然としました。更に「アルバイトには絶対言うなよ」と言われ、理由を聞くと「アルバイトに甘えるから」と全く理解のない発言に悲しくなりました。それでも辞めるわけにはいかなかったので一か月歯を食いしばって頑張りました。しかし、上司からの仕打ちに完全に体調を崩してしまいました。
ある日、上司に「今どんな気持ちで働いてる?」と聞かれ「毎日社員の皆に認められたい一心で働いてます」と答えました。すると「ふーん、これでがんばってるんや。正直言わせてもらうと全然必死さが伝わってこないし、頑張るのは当たり前でそんなレベル求めてない。君もう皆から白い目で見られてるよ」と言われ、追い打ちをかけるように教育係だった人に「君の障碍を理解して共存していこうと思ったけど、障碍を理解したうえで一緒に働きたくない」と言われて完全に心が折れ、すぐさま退職願を出しました。
退職願を出してからとその後
医師から傷病手当金が貰えると聞き休職した後に退職することを薦められました。失業手当が出ないので、とてもありがたい提案でした。しかし、休職の書類をスムーズに受け取ってもらえず叱責されました。なんとか本社の方で書類を受理して頂き休職することができました。
しかし事件が起きました。しばらくして上司から電話がかかってきて「お金を貸してほしい」と言われ理由を尋ねると彼女と遊ぶからと言われました。退職前にいざこざを起こしたくなかったのもあってお金を貸しました。そして返済日になっても連絡がつかず会社に電話すると「数日前に退職した」と言われてとことん酷い会社だと感じました。幸いお金は戻ってきましたが「会社まで取りに来い」という始末でした。「本当にこの会社を辞めれて良かった」と改めて思いました。
就労支援に通うまでの経緯と現在
心の傷がなかなか癒えず、再就職に向き合うことは非常に困難でした。母親から「再就職のための人気がある施設見学に行ってみない?」と言われましたが、心の傷が癒えていなく、「働くのが怖い」と思っていたのでなかなか前向きになれませんでした。しかし、行ってみるだけ行ってみよう思いました。見学会でスタッフの方が丁寧に話を聞いてくれ、今後に向けて何をすればいいのかを教えてもらいました。
最初は、昼夜逆転していた生活を治すところから始めました。その間も「今日は、何時に寝ましたか?」「体調はどうですか?」と心配してもらいました。そのおかげで少しずつですが再就職へ意欲が出るようになりました。今では週5日通うことが出来、朝起きると自然に通えるようになりました。就労支援に通えたことを感謝しています。
終わりに
就職を通して、日本は障碍者に対しての理解が遅れていると感じました。一人でも多くの人が障碍を理解できる世の中になっていって欲しいです。また、社会の厳しさを痛感しました。利益を上げるためには手段を択ばないのです。
そして、自分が理解して貰うだけではなく、相手のことを尊重し理解していくことが大切だと思いました。これからは障碍の有無に関わらず活躍していく社会を目指していけるよう、微力ながら頑張って行こうと思います。
参考文献
【一般社団法人全国地域生活支援機構 自閉症スペクトラム障害とは?】
https://jlsa-net.jp/
注意欠陥多動性障害(ADHD) 自閉症スペクトラム障害(ASD)