療育のプロが教える本、「発達が気になる子どもへの関わり方を教えてください!」について
発達障害療育のプロが培った52のメソッド
本書の著者である中村敏也さんは、元気キッズグループ代表のほか株式会社SHUHARI代表取締役や朝霞市自立支援協議会委員など様々な肩書を持っておられる方です。中村代表は埼玉県内に福祉事業所を24施設も展開しており、療育に主眼を置いた保育園も運営しておられます。
多くの施設を運営して現場目線を磨いていった中村代表は、「子どもたちの笑顔の為に」という思いのもとで52のメソッドをまとめ上げました。「お店で癇癪を起されたらどうしよう」「こういう時、子どもの気持ちをどう汲み取ればいいのか」といったよくある不安や疑問について、具体例を混ぜながら解説しています。
今回は、そのごく一部について軽く触れてみたいと思います。ご興味を持たれましたら本屋なり通販サイトなりで購入されてはいかがでしょうか。
忘れがちな5つの基本
発達障害を持つお子さんと関わるとき、大前提として押さえるべき5つの基本がございます。「時間がかかり、すぐに効果は出ない」「愛着を育てる」「いいところだけ注目する」「周りに惑わされない」「一人で抱え込まない」これらを理解するところから始まります。
基本ではありますが、親として先生として忙しくなるとつい忘れてしまいがちです。であれば尚更、これら5点を肝に銘じておけば、互いに焦ることなく過ごせるようになります。これから解説されるメソッドの数々は、以上の基本に則っています。
「時間がかかり、すぐに効果は出ない」「愛着を育てる」「いいところだけ注目する」「周りに惑わされない」「一人で抱え込まない」の5点を念頭に置くことから始めましょう。
子どもの気持ちを知る
子どもの気持ちというものは、できれば知っておいた方がいいです。なぜならば、子どもの気持ちを知って「共感」するだけでも困り事などの予想を立てられますし、何よりストレスの軽減にも繋がります。
子どもの考えを想像するには共感の力を養う必要があります。「共感」には相手の痛み辛みを思いやる「シンパシー」と、感情移入し他人の気持ちや考えを想像する「エンパシー」の2つがあり、後者の方が知的に考えるぶん療育において望ましいとされます。
なぜ癇癪が起こるのか
子どもが癇癪(かんしゃく)を起こす理由は、大抵「やりたいことがあるのに出来ない」に集約されます。子どもの「やりたいこと」が叶わなかったり、出来ない状況だったりするときです。定型児であれば諦めがついたり他のことをしたりで収まるでしょうが、発達障害だとそうした「代替品」が見つからず、癇癪に出るわけです。
癇癪を収めるには、原因が明らかであればそれを解消するのが最も手っ取り早い方法です。妥協できるラインを考えつつ、可能な限り要望を叶えてやるのが最短ルートとなる訳ですね。とはいえ、ご家庭では様々な事情で難しい場合もあるかもしれません。
癇癪が酷い場合は、療育施設や専門家に相談する手段もアリです。療育の場は子どもの時間や思いに寄り添う場なので、それなりに柔軟な対応が期待できるでしょう。ゆくゆくは癇癪の回数も減っていくはずです。
発達障害