うつ病と自殺の関係

うつ病

画像:なり損ねコピーライター

うつ病と自殺を関連付ける言説があります。うつ病をこじらせた果てに自ら命を絶つという事例が見られるごとに、それは一般的な認識として受容されてきたと言えるでしょう。うつ病と自死の因果関係については多くの専門家が指摘していることですし異論はありません。ただし、うつ症状の悪化が自殺に直結するという短絡的な構図に還元されるのは、少々乱暴ではないか。うつ病患者の誰もが自殺に至るわけではないといった個人差や比率の問題ではなく、根本的な誤解がそこにはあるような気がしてなりません。  

基本的な、あまりに基本的なこと

うつ病の症状として

① 憂鬱な気分が延々と続く
② やる気が起きずそれまで当たり前に出来ていたことも出来ない
③ 何に対しても関心がもてず、好きなことをしていても楽しくない
④ いつも疲れている
⑤ 眠れなくて身体が休まらない
⑥ 不安感にとらわれ否定的な感情に支配される

とまあ、ネット検索してみれば概ねこれらのような例がすぐに見つかるかと思います。延々と続く憂鬱な気分と否定的な感情を結びつけて‘自殺’という解が導き出されるのでしょうけれど、それほど単純な話ではありません。なぜならここでは、やる気が無くいつも疲れているといった大きな要素がごっそり抜け落ちているからです。平たく言えばうつ病の症状が重いときには、死ぬ気力も体力すらも無いということです    

個人的な体験

私個人の話をすれば、過去に自殺未遂らしき行為に及んだときに感じたのは、そうそう簡単には死ねないということでした。未遂ではなく確実に死に至ろうとするなら、最初にいつどこでやるか。そして手段の選択からそれに必要な道具なり何なりを事前に用意すること、等々周到な準備を要します。皮肉ではありますが、行為そのものはネガティブでもそれをやり遂げるのは前向きな行動力です。

一日中怠い身体で満足に動けずトイレに行くことすら億劫なうえに、頭は常に朦朧としていて思考も定まりません。そんな状態で何か計画を立てて事を為すなんてとてもできません。眠剤を服薬する度このまま目が醒めなければいいのにと、ただそれだけを毎晩望んでいました。    

ささやかなお願い

 繰り返しになりますが、うつの症状が重い状態で自死に至る例はあっても稀です。これは裏を返せば、症状が楽になって多少元気になったときにその可能性が高くなるということです。

ぐったりして目に力が無く抜け殻のようだった状態と比べると、表情らしきものが顔にもどり口数も増えて、積極的とまではいかなくても自分の意志で何かしら行動できるのは良いことですし、寛解の兆しが見えてきたと当人はもちろん周囲の人たちも安堵することでしょう。でもそれは同時に危険水域に踏み入った瞬間でもあると認識することが大事です。家族や友人などの身近な人にありがちな、励ますつもりの「ここまで良くなったんだから全快も近いんじゃないか」等々の声かけが当人をいかに精神的に追い込むか、このことだけでも知っておいて欲しいと願わずにはいられません。   

なり損ねコピーライター

なり損ねコピーライター

リーマンショック後の不況のあおりを受けて年々劣悪になっていく職場環境と労働待遇によるストレスからうつ病を患って早十年。
紆余曲折を経て現在は在宅でも就労可能なWEBライターを目指して慣れないPCと格闘中。

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