郷土料理のいぶりがっこ作りで障害者に就労支援〜「大仙地域福祉事業所いぶりん」加藤雅代施設長にインタビュー

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秋田県大仙市にある就労継続支援B型・就労移行支援事業所の「いぶりん」は、郷土料理である「いぶりがっこ」作りを中心に幾つかの作業を請け負っています。

いぶりがっことは、秋田弁で「燻(いぶ)した漬物」を意味し、主に大根などの野菜を燻製にしてから漬物にする郷土料理です。これだけでは1年の間に作業できる期間が限られていますので、地元農家の手伝いや内職なども作業に入れています。

いぶりがっこ中心の事業所を始める

──農福連携含め、事業を始めたきっかけを教えてください
「10年以上前、病院清掃を請け負う別の事業所にいました。そこでいぶりがっこ作りが始まり、これを主にするB型事業所を立ち上げようと思いました。事業所を立ち上げてからの6年間、毎年いぶりがっこを作っていることになります。1年分のいぶりがっこを集中して作るので、それ以外は他の作業をします」

──いぶりがっこ以外の作業は何がありますか
「地元農家のお手伝いに行っています。土を触れない利用者もいるので、内職や袋詰め、動物用のクッキー作りなども幅広くやっています。他の事業所もそうなのですが、頼まれたことを請け負っている感じですね。保存用の巨大な冷蔵庫でもあれば1年じゅういぶりがっこ作りだけで運営できそうですが、そのような冷蔵庫を買うお金はありません」

──クラウドファンディングや助成金は受けないのですか
「公的機関の建物を借りているので、公的な助成金を受けることが出来ないんですよ。真空パックに入れて保存するための冷蔵庫は民間の助成金で賄えましたが、国の助成金は制度上受けられません。漬物加工の許可を得るために事業所を移転したのですが、その移転先が公的機関の建物でした」

地元農家とも協力

──農家を手伝う作業については契約を結ぶのですか
「施設外就労として契約を結んで3年になります。農家の皆さんは、仕事のない冬は事業所に来て一緒に作業するなどしています。20代から30代の若い個人農家さんが臨時の手伝いを求めたり、シール貼りを協力したり他の大根農家を紹介したり、多くのやり取りの中で良い関係性を保っています」

──事業所としての強みは何ですか
「最初からいぶりがっこを中心に立ち上げていたので、体力のある支援学校上がりの男性など様々な利用者が志願して来てくれるのが嬉しいですね。秋田の事業所はほとんど自身の田畑を持っている所が多く、土地や農機具の貸し借りはどこも当たり前です」
「農家の人手不足という課題にも僅かながら貢献できている気もします。農家は常に人手が欲しいのではなく、片付けや収穫といったごく一瞬だけ人手を欲します。そのニーズにも応えていきたいです」

今後の展望

──今後のビジョンは何かありますか
「農業に限らず何処も人手不足に悩んでいます。その課題解決に少しでも貢献できるよう、経営を頑張っていきます。難病や障害だけでなく、引きこもりなども当事者採用がされていますね。兎に角、働くことが困難な人が少しでも地域課題の解消に結びつくことで、本人も家族も喜びます。その架け橋となっていけたらいいですね」

障害者ドットコムニュース編集部

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