多様性を魅せるエンタメに〜東ちづる演出で、まぜこぜ一座が新作舞台「歌雪姫と七人のこびとーず」を公演
暮らし一般社団法人Get in touchによる劇団「まぜこぜ一座」が、新作舞台である「歌雪姫と七人のこびとーず」の公演を行います。「まぜこぜ一座」としては、これが最後の公演となり、3月5日(日)の1日限りで、前日の4日(土)夕方には同じ会場でリハーサルが行われます。
今回の公演に至るまでの歩み
企画・構成・演出を務める俳優の東ちづるさんがこの公演に対する思いを語っています。
「2017年、品川プリンスホテルにて『まぜこぜ一座』は産声を上げました。芸能界などのエンターテイメント業界は大きな影響力を持っており、そこでマイノリティの方々と一緒に仕事をすることで『この世界には様々な人がいる』と伝わるのではと思っていました。ところが現実は、多様な人々と共演する機会がほとんどないわけです。私たちがその機会となることで、『こんなパフォーマーが世の中には居るのか』と伝わればいいなと思っています」
「まぜこぜ一座には30人以上のメンバーが所属しています。2017年の初公演では様々な声を受けながらも、魅了されて再演を望む声も増えて細々とやってきました。今回は1年越しの新作を用意してきたわけですが、本当は今開催する予定ではありませんでした。東京オリパラやまぜこぜアイランドツアーを経て、『レガシー』の次をどうするか決めあぐねていたら、渋谷区が協賛を申し出てくれました。渋谷区は『違いを力に変える街』というスローガンを掲げています」
魅せる「見世物」をエンターテイメントに
「今でも『見世物ではないのか』と言われることがありますが、見世物です。ただ、過去の見世物小屋とは違って、“魅せる者”であると思っています。最初は色々な声がありましたが、エンタメを見ただけで全ての疑問は吹き飛びました。人間ってすごい、生きるってすごい、表現ってすごい、そんな声を聞いて自身が付きました。最初の頃はどう表現するかだいぶ議論しましたが、今は私達も割り切っていて、見に来る人も純粋にエンターテイメントとして評価しています」
「新作のお題は『歌雪姫と七人のこびとーず』です。歌雪姫という幻の歌手が現れ、彼女に嫉妬したドラァグクイーンがSNSで叩き始めるところから物語が始まります。加熱する中傷の中、『こびとーず』という七人衆が歌雪姫を庇い、SNSとは、善悪とは、それぞれの美しさとは、パフォーマンスでこれらの疑問に迫っていく舞台となっています。私たちの公演を通じて、周りに多様な人間が居ないのは何故なのか、そんな疑問を抱いてくれれば幸いです。公演は製作費の都合上1日しか出来ませんが、映像に収めてアナザーストーリーの制作にも繋げるつもりです」
「まぜこぜ一座の公演は、これでピリオドを打ちますが、多様性に関する活動は継続していきます。東京レインボーパレード、世界自閉症啓発デー、世界脳性まひデー、『私はワタシ』の上映会など、参加予定は数多くあります。」
出演者からのメッセージ
大前光市(義足のダンサー)
「東さんが座長の本公演は、非常に意義のあるものだと思っています。取材の方も多く、全ての発信地である東京で行われることに意味があります。僕がキャラ立ちに四苦八苦するほど個性的で魅力的な出演者ばかりです。人間の魅力の幅というものが多くの人に伝わって時代が変わることを切に願っています」
佐藤ひらり(盲目のシンガーソングライター)
「新作の公演が出来て本当に嬉しいです。私の歌で少しでも、個性や特性やまぜこぜの良さを感じてもらえるよう頑張ります」
後藤仁美(低身長モデル)
「今回の公演を楽しみにしています。低身長症の俳優は海外だけでなく、日本にも居ることをアピールしたいと思います。私の夢は、ごく普通の役をすることです」
マメ山田(日本で一番小さい手品師)
「まぜこぜ一座には結成当初からお世話になっております。今年78歳を迎える最年長なので、この身長この歳でもやっていけることを見ていただきたいです。白雪姫モチーフの劇には出たかったので、夢が一つ叶いました。もう一つの夢は時代劇に出ることです」
ダンプ松本(現役女子プロレスラー)
「毎回出させてもらっていますが、東さんの行動力には驚かされっぱなしで、留まりがちな自分の興行と対比しては反省させられてばかりです。東さんは太陽のような存在で、自分もそうなりたいと思っています」
「私が新人の頃、小人プロレスには5~6人の選手がいて、歌を歌ったりドラマやCMに出たりと活躍されていました。それでもプロレスラー以外で低身長症の人にお会いしたことがなく、(まぜこぜ一座の)舞台に出してもらって知見が広がりました」
「極悪ファミリーのファンがよく見に来てくださり、『温かい気持ちになれる』『自分を見直せる』と感想を頂きます。このような舞台に出させて頂いて非常に嬉しいです」
三ツ矢雄二(声優・マルチクリエイター)
「東さんとは『私はワタシ』のイベントで知り合い、主にナレーションを任されました。まぜこぜ一座は実に多様な方が所属され、『まぜこぜの社会を目指す』というスローガンを掲げていますが、今回の舞台はその『まぜこぜの社会』について理解してもらうきっかけになるのではと思っています」
「公演で披露される全てのパフォーマンスが素晴らしく、全力で自分たちの存在をアピールしていけるよう取り組んでいます。これを見れば多様性について少しはご理解いただけるのではないかと感じています。本当に誰でも、好奇心だけでもいいので沢山の方に見ていただいて、人は皆違っていても一つのものを作り上げられると分かってもらえれば幸いです」
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