用量を守らない自傷行為の一種、オーバードーズ
暮らしPhoto by Myriam Zilles on Unsplash
薬局で買える医薬品のCMなどでは必ず「用法・用量を守り、正しくお使いください」という注意書きがされていますね。このうち「用量」をわざと守らず、薬品を大量に摂取することをオーバードーズ(OD:overdose)といいます。医療や健康を扱ったマンガだけでなく、一般のテレビ番組でも取り上げられたため、知っている方も多いのではないでしょうか。
市販薬の中には、麻薬や覚醒剤などと同じ成分がごく微量ながら入っています。記載された用量を守っていれば全く気にする必要はありませんが、何十錠も一気に服用すれば話は別です。気分の落ち着き或いは高揚、そして依存性を発揮してしまうのです。用量を逸脱した薬はまさに毒そのもので、何度も繰り返していては最悪の場合死に至る事さえあります。
市販薬を数の暴力で脱法ドラッグに変えてしまうオーバードーズですが、どちらかといえば薬物乱用よりも「自傷行為」の括りで語られることが多いです。辛苦を一人で抱え込み続けた若者世代が、いっとき苦痛から逃れたり、ネット上の仲間と承認や所属の欲求を満たし合ったりするために、オーバードーズすることがあるようです。実際に、10代の薬物乱用でいま最も多く挙がっているのが「市販薬」となっています。
自傷行為であるからには、その対処もリストカットなどと似通っています。まず頭ごなしに否定せず辛い気持ちに寄り添い、己が味方であることをアピールします。元凶となるつらさに寄り添いながら、少しずつ薬の量を減らしていくことになるのですが、場合によっては年単位かかることもあるでしょう。
それから、「餅は餅屋」です。気付いた時には大抵、本人や家族だけで解決できないほど深刻化しています。医療・福祉・行政といった専門機関への相談も積極的にやっていきましょう。普段家庭を顧みなかった人も、市販薬の消費ペースくらいは目を向けた方がいいかもしれません。
参考サイト
10代に急増する市販薬の乱用 私たちがオーバードーズ(OD)する理由とは?
https://www.nhk.or.jp