デジタルデトックスのススメ
暮らし出典:Photo by Jenny Ueberberg on Unsplash
NTTドコモモバイル社会研究所では、2023年1月にスマートフォン(以下「スマホ」と呼称します)およびケータイの所有動向についての調査を実施しました。
2010年にはスマホ所有率は4%程度でしたが、2015年に所有率50%を突破し、2023年の調査では所持率は96.3%と増加しています。
今やスマホを持っていない国民が、ほとんどいない状態の日本。
スマホはSNSはもちろん新聞閲覧、果ては映画やテレビ視聴にまで対応しています。そのせいか、数年前までは電車内で新聞を読んだり読書している人もいましたが、今では殆どの人がスマホの画面に釘付け。
電車内どころか歩きながらのスマホ、食事をしながらのスマホ、友達と会っていてもスマホ、用がなくてもなんとなくスマホ、挙句の果てに自転車や車を運転しながらスマホを見るという、犯罪行為をする人まで出る始末です。
これはもはや、日本中に「スマホ中毒者」がいるといっても、過言ではありません。
それでもスマホ中毒になっていることが、身体面や精神面に有害にならなければ、問題はないと言えるでしょう。
しかし残念なことに、近年スマホやPCの長時間利用による子どもの視力の低下、睡眠障害やうつ病などの精神疾患の発症などの問題が指摘されています。
健常者が睡眠障害やうつ病を発症するくらいなのですから、すでに精神疾患を抱えている患者や、二次障害を起こしやすい発達障害者にとっては、より悪影響になることは想像できますよね。
加えて、長時間同じ姿勢でスマホやPCを見続ければ、肩こりや腰痛、ストレートネックなどが起こることもあります。
それに、スマホで扱える無限のコンテンツから入ってくる、大量の情報をずっと受け取り続けている脳はどうでしょうか。
脳は、毎日大量に入ってくる情報を処理するためにフル稼働することになり、その結果優先順位がつけにくくなり、脳疲労につながってしまうのです。
つけ加えると、スマホに頼り過ぎていると、とっさに人の名前が浮かばない、漢字を読めても書けない、簡単な暗算ができないなどの一時的な脳機能の低下をも起こしやすくなります。
これでは、仕事でいつ大きなミスを起こしても仕方のない状態ではないでしょうか?
そんな脳が疲れ切ってヘトヘトになっている、現代の日本人に必要なのは、デジタルデトックスです。
「デジタルデトックス」とは?
「デジタルデトックスってなんだろう?」という方のために、簡単に説明させていただきます。
といっても、そんなに難しいことではありません。デジタルデトックスとは「スマホやPCから一定の時間距離を置く」ただそれだけです。
「でも、スマホがないと何となく手持無沙汰で……」と戸惑う人もいると思います。それに、いきなり何日もスマホから離れるのも、それはそれでストレスになる可能性はあるでしょう。
そこで今回みなさまにおすすめしたいのが「短時間型デジタルデトックス」です。
例えば、午前中の仕事が終わったら、スマホの電源を切って鞄にしまい、食事をじっくりと味わいながらとるのです。食事が終われば、15分程度の軽い昼寝ができそうな人はぜひ昼寝をしてみて下さい。
15~30分程度の昼寝は、脳に残ったアミロイドβなどの脳疲労につながる物質を、減少させるのにも有効です。
あるいは一日の仕事が終わったら、もしくは夕食を終えたら、スマホの電源を切って鞄にしまうのもおすすめします。
特に夜にスマホを通じて長時間SNSに接していると、脳の疲れから過剰に腹が立ったり、落ち込んだりしやすくなります。
深夜についSNS上で過激なやり取りをしてしまい、翌朝になって後悔したことがある人も、中にはいるのではないでしょうか?
過激で攻撃的な、その反対にひどく陰鬱な内容のSNS投稿を防ぐためにも、夜のデジタルデトックスは非常に有効です。
また、休日には思い切ってスマホを自室に置いて外出してみましょう。
のんびりと散歩がてら日光浴や森林浴をする。ウインドウショッピングを楽しむ。新たなカフェなどの飲食店開拓をおこなうなど、現実世界に身を置くのです。
これを機会に気になっていたバンドのライブや、いくかどうか迷っていた映画や美術展を見に、足を運んでみてもいいでしょう。
ひとりでの外出が苦手な人は、友達や恋人と会う約束をして、心ゆくまでおしゃべりを楽しむのもひとつの方法です。
このようにして、スマホやスマホを通じたネット世界から距離を取る時間をつくることで、毎日のように押し寄せる大量の情報を処理したために、疲れ切っている脳を休ませてあげて下さい。
「最近頭の中がぼんやりして、ずっと疲れている気がする」と悩んでいるそこのあなた、今からスマホの電源を切って鞄にしまい、デジタルデトックスをはじめましょう!
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