大江作業所が豆スイーツを開発〜鬼のまち福知山市でONIversal City Project始まる
エンタメ障害者就労支援施設の大江作業所が開発した豆クッキー「おにさんこちら」
京都府福知山市は、酒呑童子伝説の舞台でもある大江山を擁する「鬼のまち」として町おこし活動をしています。活動の一環である「ONIversal city project」では節分目前の2月1日に発表会が開かれ、豆を投げない節分の形として「鬼とヒトが仲良くなれる豆クッキー『おにさんこちら』」が公表されました。
この豆クッキーの製作を担ったのは、市内の就労継続支援B型事業所である「大江作業所」です。今回は福知山市のプロジェクト担当者や大江作業所のスタッフに豆クッキー開発や町おこしの想いについてなどを伺いました。
大江山を擁する町
大江作業所のみなさん──作業所の概要や特色を説明してください
「我々大江作業所はB型事業所に属し、障害の種別や程度を問わず受け容れるスタンスで働いています。主な事業は食品、資源回収、雑貨作りなどです」
──福知山市と鬼にどのような関係があるのでしょうか
「大江町には酒呑童子の伝説で有名な大江山があり、その風習が福知山市に統合されてからも続いています。大江町以外にも、福知山市内には鬼にまつわる別の伝説があり、市全体で鬼に関するプロジェクトを立ち上げた感じです」
──プロジェクトに参加したきっかけは何ですか
「去年5月ごろ、市からお菓子を作れる業者を探していると聞かされ、私達も新しい商品を作ろうと思っていたので、誘いに乗りました」
「福祉施設を優先するつもりはありませんでした。3年ほど前から(『鬼滅の刃』に影響された)鬼ブームが来ており、鬼文化をPRする一環として活動していました。今回は地域の方と一緒にやろうと思っておりまして、大江町を中心に探していた次第です」
──プロジェクトの狙いや期待される影響は何ですか
「鬼文化プロジェクト全体の話になるのですが、地域の方と一緒に福知山の魅力を発信していきたいと思っておりまして、市としては町おこしとして臨んでいます。豆開発に関しては、豆を『投げるもの』でなく『食べるもの』として、福知山から発信していきたいです」
地域一丸の豆菓子作り
福知山マラソンでは豆クッキーの試食コーナーも──開発は大江作業所が中心なのですか
「豆スイーツ作りそのものは大江作業所にお任せしており、開発までの会議は地域の方々と『鬼とは何か』『鬼の好きな食べ物は』など話し合ってきました。そして、大豆でお菓子を作ろうと決まってからも、有識者を交えて試行錯誤を重ねてきました。大江作業所、地域の住民、有識者の皆様、全員が一丸となって作ったお菓子です」
──本格的な豆スイーツに見えますが、プロが関わっているのですか
「パティシエのようなプロはおりませんが、目標に合うお菓子をどう作るか調べてきました。まろやかさと程遠い大豆を、どうやって優しい味に仕上げるか、よく考えながら作りました」
「普段の作業に加えて新しい商品開発をせねばならない中で、実際に作る作業所の利用者にも負担にならないメニューに仕上げられたのは才能を感じましたね」
──地元の住民や団体との交流について聞かせてください
「作業所としては『大江の町づくり住民協議会』と協力してイベントを開いたり参加したりしてきました。今回も同様に、住民やメンバーの方々から知識や伝統について教示や援助を頂きました」
福知山の新たな顔に
──これからの販路やプロモーションで工夫されていることはありますか
「販売というのは我々福祉関係にとって悩ましい分野です。今は委託販売で置いて頂いてる状態ですけれども、鬼という独特のパッケージやネーミングなので、鬼に関する場所で売らせてもらえればと思います」
「鬼滅効果が波及して、大江町への観光客は増えています。しかし、大江町独自のお土産は少ないです。そこで今回作ったお菓子が役目を担えたら嬉しいです」
──パッケージデザインについては今後考えていますか
「プロジェクト名の『オニバーサル』とは、鬼も人も含めたユニバーサルシティという意味です。キービジュアルも福知山出身のイラストレーターに依頼しました。パッケージについてもそれに合わせたものになっていくと思います」
──将来的にプロジェクトをどのようにしていきたいですか
「福知山市としては、地域の特色や資源を活かしつつ、地域の方々と共創しながら発信していきたいと思っています。豆菓子についても、福知山独自の新たな節分文化として、観光資源にまでなってくれるといいですね」
「作業所としましても、大江町のことを全国の方に知ってもらいたいです。大江町は福知山から天橋立の中間地点に過ぎず、素通りされるような地域でした。今回のプロジェクトを通じて、大江町の方も見てもらいたいです」
──福知山には他に有名なものはありますか
「花火、あるいはJRの脱線事故でイメージされる方が多いですね。ただ、歴史上では明智光秀ゆかりの地という顔がありますし、肉やスイーツの町としても発信しています。いいイメージを高めていけるといいですね」
◆2月1日、“豆を投げない”新節分文化提言および新商品発表会が開催され、豆スイーツ「おにさんこちら」がお披露目された。福知山市出身の千原兄弟の千原せいじさん、千原ジュニアさんがゲストで登場し、イベントを盛り上げました。
©︎京都府福知山市「ONIversal city project」大江作業所 公式サイト
https://o-oe.net/
京都府福知山市発!鬼とヒトが仲良くなれる豆のお菓子をつくりたい!/Makuake
https://www.makuake.com/project/ooe1627/
鬼もヒトも、みんなでワクワク。「ONIversal city project」始動!/福知山市
https://www.city.fukuchiyama.lg.jp/site/promotion/oniversalcity.html