心の一歩

あるきつづける 『心の一歩 』vol.11

『心の一歩 』 vol.11 <毎月30日連載>

写真:第34回日本身体障がい者水泳選手権大会 千葉県国際総合水泳場にて


10月は、国民体育大会に出場し、
11月は、日本選手権に出場した。

自慢をしたいのではありません。

障害者として競技水泳を始めた頃、
私が国体などの大会に出てメダルを取るだなんて、
私の回りの誰一人として、想像していなかったと思うし、
私自身も、実際に取れると確信していたわけではなかった。

今年の国体では目標を達成することができたが、
日本選手権では、己の過信と限界を痛感した。
50mバタフライでは最後までフォームを維持することができず、まるで溺れるかのように、辛うじてゴールにたどり着いた。
最近は二足歩行ができず、直立で立っていることもできなくなってきたから、
現実問題としてこれが限界なのかも知れないと、頭を過った。

大会を終えると、友人達が囲んでくれて、私を称えてくれた。
所属チーム「千葉ミラクルズ」のメンバーとも称えあった。
大会では御会いできなかったけれど、応援してくれた方々の声も聞こえた気がした。

今、思い出すと、必死になっている時に聞いた声援は、仲間からの大声援となって心にこだまする。本当に感謝しかない。

私の病気は、進行性である。ここが限界なら、もう、先は無い。
水泳でも何でもいいんだと思う。
何もない人間になるのが怖いから、やり続けてきたのかも知れない。

歩行がままならなくても、立っていることができなくても、
あるきつづけている限り、病気には負けない。
あるきつづけている限り、また仲間に出会える。
そして、それぞれの道を行くお互いと、また、称えあいたいと思う。

佐久間 勇人

佐久間 勇人

私は『脊髄小脳変性症』というだんだんと運動神経が失われていく進行性の神経難病です。今じゃ何をするのも命懸け。それでも大好きな水泳を続けています。溺れているんだか泳いでいるんだかわからなくなる時も増えてきました。心が折れそうにもなります。もう折れているかも知れません。
それでも水泳を通して色々な人と出会いたい。全力で笑いたい。皆で繋がり笑いたい。それが活力。HUG&PEACE

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