セコラム!〜伴走者の立場から障害福祉を考えてみる〜

「障害を意識していくこと/障害を意識しないこと。その平衡感覚を持ち合わせていくこと。」(セコラム!第19回)

『セコラム!〜伴走者の立場から障害福祉を考えてみる〜』 vol.19 <毎月25日連載>

ぼくは障害に関する様々なプロジェクトに関わっています。その1つ、障害のある方に「生きざま」を中心とした取材を行い、その取材内容と生まれた感情をもとにうたをつくっていく生き様ソングプロジェクト(仮)。

「オープン/クローズ」「アナログ/デジタル」と往来していきながら、完成までの過程を一緒に共有していくプロジェクトをこれから行っていきます。そのプロジェクトの打合せが先日ありました。

打合せの前に行う「チェックイン」。そこで紹介する項目する1つに「あなたの特性」を入れました。特性=弱い部分/苦手な部分とぼくは思い込み、そこを補えるよう意識しながらプロジェクトを進めたい意図があり、項目に追加しました。

取材をお願いした車椅子ユーザーのおっちゃんは、こう答えました。「ぼくの特性は、人を巻き込むことです」と。車椅子に関連する特性が出てくると思っていたので、少し反応が遅れました。いわゆる予想外な回答。その回答のおかげで、持つべきではないバイアスが取り除かれ、真っ新で純粋な話し合いを行うことができました。

障害を意識していくこと/障害を意識しないこと。その平衡感覚を持ち合わせていきたいと思えた出来事でした。また、このプロジェクトを通し、これからの打合せを通し、障害の線引きが曖昧となる瞬間を見ていきたい。それは相手を知ることからでしか生まれないと思います。

1人ひとり考えや立場、生きざまは誰だって相手の思いや生きづらさを完璧に理解することはできません。でも、はなしを聞くことはできる。だから、このプロジェクトを進めるにおいて、個と個の関係性をつくっていくことを大切にします。次回の打合せでは、「わたしが話しやすくなるルール」を1つ持ち寄り、それらのうち3つを打合せのルールとしていきます。単純な決めごとだけれども、誰かがつくったルールに則ることで、新しい気付きが生まれることを期待しています。

世古口 敦嗣(せこぐち あつし)

世古口 敦嗣(せこぐち あつし)

就職活動に失敗し、何となく障害福祉の世界へ。障害者が暮らしやすいまちをつくるNPO法人サポネや医療福祉エンターテインメントのNPO法人Ubdobeなどを経て、農業を中心とした障害のある人が働く拠点「三休 – Thank You -」を今年4月にオープン。それ以外にNPO法人月と風と理事やKAIGOLEADERS OSAKAコアメン、ふくしあそび探求舎代表を務める。

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