ペアレント・トレーニング~子育てに悩む親への支援①
暮らし障害を持つこどもの親は、多くのストレスを抱え、子育てに悩んでいます。1974年、アメリカ・UCLA神経精神医学研究所のハンス・ミラー博士によって生まれ、日本向けに改良された「ペアレント・トレーニング」というものがあります。こどもとの関わり方を学ぶ家族支援・プログラムをご紹介します。
ペアレント・トレーニングとは?
障害を持つこどもの親は、多くのストレスを抱え、子育てに悩んでいます。こどもの行動を冷静に観察することで、障害特性を理解し、ほめ方や叱り方を学んでいきます。学ぶことで親子関係、こどもの人間関係も良好になるように支援していくのがペアレント(親・保護者の)トレーニングです。
元々、自閉症や知的障害を持つこどもを対象にしていましたが、日本では、ADHDなど障害種別に合わせた開発プログラムがいくつかあります。また、障害だけではなく、非行傾向のあるこども/虐待を受けたこども/里子/養子を対象にしたプログラムも開発されています。
ペアレント・トレーニングの効果
平成26年度の厚生労働省障害者総合推進事業「市町村で実施するペアレント・トレーニング」に関する調査では、次の結果がでています。
◆親の抑うつ症状の軽減
◆こどもをほめるようになった
◆こどもを叱ることが減った
◆こどもへの対応の難しさ・育てにくいと感じることが減った
また、平成27年7月全国の1,741市区町村を対象にしたアンケート結果(※1)では、次の結果が出ています。
◆親のストレスの軽減
◆親の自己肯定感の醸成
◆こどもの好ましくない行動の軽減
ペアレント・トレーニングで、こどもの好ましくない行動を減少させることで、叱ることが減り、ほめることが増えます。それにより親の抱えるストレスが減り、精神の安定を得、親とこどもの良好な関係を築くことができます。
近年では、病院/保健センター/児童相談所/児童養護施設/学校などの教育機関でも実施されています。
ペアレント・トレーニングの種類
ペアレント・トレーニングには、いくつかの種類があり、実施機関ごとにプログラム内容/費用/所要時間が違います。種類は、奈良方式、精研方式、肥前方式、鳥取大学方式、佛教大学方式、短縮版プログラムなどがあります。費用は、自治体が実施するもので、1,000円に満たないものから、民間だと86,000円と幅があります。プログラムの回数は、6回~10回、所要時間も2.5時間~75時間と実施先のプログラムにより大きく異なります。
まずは相談してみよう
ペアレント・トレーニングに興味がある、ぜひ体験してみたいという方は、自治体や地域の発達障害者支援センターに相談してみましょう。大阪で行われている実施機関は次の通りです。
◈大阪市発達障害者支援センター エルムおおさか
https://www.elmosaka.org
◈守口市役所こども部子育て支援課
http://www.city.moriguchi.osaka.jp
◈門真市立こども発達支援センター
https://www.city.kadoma.osaka.jp
◈大阪YMCAサポートクラス
https://www.osk-ymca-intl.ed.jp
◈NPO法人チャレンジ・クラブ
http://challengeclub1.web.fc2.com
◈SSTのコーチング1
https://www.sst-coaching01.com
◈放課後デイサービス テゾリーナ
http://tezoryna.com
◈発達障害のこどもたちのための教室 特定非営利NOW
http://now-smile.jp
◈NPO法人いろどり
http://matsusapo.net
◈くずは心理教育センター
http://kuzuha.kokoro-support.net
◈大阪心理教育センター
http://kitahama.kokoro-support.co
◈梅花女子大学大学院心理教育総合相談センター
https://www.baika.ac.jp
◈ジャパンライムセミナー
http://japanlaim.com/seminar/index.php
◈淀川キリスト教病院
http://www.ych.or.jp
次回は、プログラム内容についてご紹介します。
参考文献
市町村で実施するペアレント・プログラムに関する調査について みずほ情報総研株式会社 *1
https://www.mhlw.go.jp/index.html
日本におけるペアレント・トレーニングの展開と今後の方向性
/愛知教育大学 幼児教育研究 高尾淳子
https://aue.repo.nii.ac.jp
軽度発達障害フォーラム
http://www.mdd-forum.net
発達障害児に対する有効な家族支援サービスの開発と普及の研究/主任研究者 中京大学 辻井正次 国立障害者リハビリテーションセンター
http://www.rehab.go.jp