苦手なものに囲まれる日常~僕の感覚過敏
その他の障害・病気時々「よくこんな眩しい場所で作業とかが出来るなぁ」と、思うことがあります。例えば、会社が高層ビルと道路で囲まれているために、走行する車の音が反響する場所にあり、白い壁と昼白色の照明で囲まれた部屋の中で、表面も白い机を使って仕事をする場合です。そう思う理由は僕に『視覚過敏』と『聴覚過敏』があって、周りの人よりも自分が耐えられる明るさや音の範囲が狭いからです。
僕の感覚過敏① 視覚過敏
幼い頃は、ブロックや人形遊びと同じぐらい、ぬり絵をたくさんして遊んでいました。高校時代は、写真部と放送部を掛け持ちしていました。僕の主な被写体は、植物や空といった自然でした。文化祭・体育祭などを部活動の一環としての撮影ではない限り、人物を被写体として撮らなかったほどです。この頃から、パーソナルカラーや色の組み合わせに興味を持ち始め、ウインドショッピングでマネキンを見る度に、「僕ならこの色の服には別の色を使うのになぁ」などと考えるようになりました。友人や母親と服を買いに行って「どっちがいい?」と聞かれた時は、「それの上や下に、何色の物を合わせるかによる」と答えています。
自分自身の服装に関して、レディースであっても、中学の頃から地味な色を選んできました。そんな僕が、メンズを好む理由には、単純にかっこいいからや、心が男である時に落ち着くからも、もちろんあります。ですが、一番の理由は、『視覚過敏』です。なぜなら、同じ色の服をメンズとレディースで見比べると、確かに実際に着た時サイズ的にはブカブカですが、メンズの方がワントーン暗いことが多いからです。レディースの明るい色や蛍光色を見ると、僕は目がチカチカしてします。
僕の感覚過敏② 聴覚過敏
僕はいつもノイズキャンセル機能がついたイヤフォンで、いつ話しかけられても答えられるように、自分が聞き取れるギリギリの音量にして音楽を聞きながら過ごしています。それでも時々、車内や屋内が僕にとって地獄になります。その原因は、小さい子ども声や赤ん坊の泣き声、周りのことを気にせずに大きい声で談笑する数人のグループ、イヤフォンからの音漏れに気づかずに音楽・動画を楽しむ人たち、食器同士が擦れる音、カタカタという家具や機音の存在です。僕の場合、これらを聞くと耳鳴りや頭痛、イライラや体の震えが起こります。それが電車内で、我慢できない場合は次の駅で降りるようにしています。屋内であった場合は、一旦その場を離れるか、イヤフォンを外して耳栓に切り替えます。
「これくらい暗い方が、私にはちょうど良くて、過ごしやすいです」以前、あるテレビ番組で発達障害が取り上げられたのを見ました。この時に初めて『感覚過敏』という言葉を知りました。そして『視覚過敏』を持つ人の部屋が紹介された時、その部屋の薄暗さと本人のこの発言の両方に驚きました。僕自身にも『視覚過敏』があると分かった今、この人の気持ちが良く分かります。『視覚過敏』と『聴覚過敏』の持ち主から言うと、世の中は眩しさや騒音で溢れています。
僕の場合は、先に自分が『聴覚過敏』だと気がつきました。当時、遮音性があるイヤマフをして食事に行ったら、外すように注意されました。それ以上注意をされたくなくて、僕はその場でイヤマフを外して、自分の食事が終わるまで、周りの騒がしい音や声を我慢して聞いていました。その後しばらくしてから、自分に『視覚過敏』があると気がつきました。それ以来、裸眼でいる時に「読めない、見えない」「目が痛い」と、よく言うことが増えました。これらを正確に言うと、「フォントの書体や大きさ、使われている色のせいで、書かれている内容が読めない、見えない」「色のコントラストのせいで目が痛い。」です。最近になって、「グリーンノート」と呼ばれる商品が有名文具店等で売られるようになりました。確かに緑色の用紙を使用した方が、一般的な白紙よりの時よりも眩しさは軽減されます。そのおかげで、集中できる時間が延びます。それでも、手元が眩しいと感じる時があります。なぜなら、部屋に使われている照明が昼白色だからです。
ヘルプマークだけでなく、“聴覚過敏保護用シンボルマーク”や感覚過敏を知らせるパスケースも登場していますが、『感覚過敏』という言葉と同様に、まだ広く世の中で周知されていないのが現状のようです。本当の意味で、感覚過敏を持つ人が過ごしやすくなるのはもう少し先になりそうです。
参考文献
EXE CARE SYSTEM
http://www.eye-care.co.jp
FNN PRIME
https://www.fnn.jp/
株式会社 石井マーク
http://www.ishiimark.com
子ども情報ステーション
https://kidsinfost.net
その他の障害・病気