『好き』は発達障害の原動力(『発達障がい~神からの贈り物~』第59回)
発達障害出典:Photo by Serena Repice Lentini on Unsplash
『発達障がい ~神からの贈り物~』 第59回 <毎月10日連載>
本コラムをできるだけ期限前に入稿するよう努めている私ですが、今回は公開日前日にペンを走らせています。それには理由があり、人生初の公式な水泳大会を先程終えたばかりで、そのことを踏まえて入稿するつもりでした。
今回参加したレースは海で泳ぐオープンウォーターレースと呼ばれるもので、その中の最も短い500mにエントリーしました。結果はまあそれなりに自身の実力が現れたもので一定の成果と新たな課題が生まれました。
普段から自転車、水泳、野球、ジョグ、格闘技サークルなどスポーツ全般を心ゆくまで楽しんでいる私ですが、30歳までは全く泳げないそんな人間でした。そんな私が今や波とともに1時間以上も海面を漂うことができるようになった、これこそが発達障害のもたらす原動力であることを伝えたかったのです。
発達障害は得手不得手、好き嫌いが極端で得意なことや好きなことは幾らでもできる、そんな人が沢山存在します。これこそが才能のようなもの、後はこれをどのようにマネジメントするのかで結果が大きく変わります。
私は離婚とともに仕事を辞め、その頃からプールと英会話のトレーニングを始めました。英語についても学生期には最も苦手にしていた科目で、水泳同様にそれまでの自分を変えたいという意志から来たものだと思います。
その時に自身の中で決めたことがあります。それは水泳も英語も好きになること。元々苦手なので実力は他人より劣っていたとしてもずっと水泳と英語を好きできる、これを心に刻み込みました。
当初はうまく行かなかったこともあったが、好きなものはやはり段々と打ち込めるようになってきました。気がつけばTOEICは800点、水泳は4泳法に加え立ち泳ぎ、横泳ぎなどの日本の伝統的な泳法もできるようになった。本日のレースも27人中の21位、50代のスイミングクラブも学校の水泳部も経験していない男が様々な年齢のアスリートたちに混じってなかなかの成績だと思いませんか?
私の場合は基本的に多動と注意欠陥が優勢ですが、一つスイッチが入ると凝り性を遥かに超える過集中の特性も強く、泳ぎに関してもプールでただ単に距離を泳ぐのでなく本や動画などで徹底的にフォームや身体理論を研究し、スマートフォンのチェックリストでその日の課題を管理し、一つ一つクリアしていく、そういうスタイルが自分でも大好き。
以上のことって多動性と自閉症の良いところ両取りに思いませんか?
私の場合は苦手なことでも好きになろう、好きになっても構わない、そう思えたことが大きな要因かもしれません。何はともあれ、好きなことには周りから止められてもやりきらずにはいられない、それこそが発達障害の大きな原動力だと思います。
この能力、眠らせたまま人生を過ごして勿体なくない?
発達障害